朝鮮半島の土俗的精神世界とホラー・エンタメの融合…韓国映画「憑依」
韓国映画は、昔よくみていたが、長くごぶさただった。韓国映画に限らず、ホラーとか、オカルト系もほとんどみることがない。だから、この「憑依」を見て、いろいろと新鮮に感じることも多く、飽きずに楽しむことができた。普段は、中東地域に関連した、特に社会派系作品をもっぱら鑑賞しているのだが、こうした国もジャンルも違う作品もたまにはいい。気持ちも、映画をみる視点も変わる。
祈祷師の家系の医師で、除霊と称した儀式で金を稼いでいるチョン博士(主人公)を、韓国映画スターのカン・ドンウォンが演じる。ほかにも、博士の敵役で、ベテラン俳優のホ・ジュノも出演している。最近の韓国映画界についてほとんど知らないが、どちらも大スターなのだろう。最初の出だしはコメディータッチだったので、ホラー作品とはいえ、やや、ほんわかした作品なのかな、と思ってみていたが、次第に激しいアクションやオカルティックな展開でたたみかけてきて、テンポがどんどんあがっていった。
オカルト・ホラーというジャンルについて、ほとんど知識もないもので、あまり実のあるコメントはできないことを許してもらいたい。ただ、悪魔払いや交霊の実際だとか、韓国で墳墓の入口などに立てられるという「望柱石」だとかが出てきて、どこまで事実に即しているのかは分からないものの、韓国古来の精神世界について多少なりとも知識を得ることができた。こうした作品が作られるということは、韓国で、伝統的な精神世界に関心を持つ若い世代が意外に多いということなのかも知れない。日本でも大々的に公開されるのも、人気スターの出演だけが理由ではないのかも知れない。
「憑依」は9月6日から東京・新宿ピカデリーなど全国の劇場で一斉公開される。
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