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コーヒー講座で伝えたいこと

先日、尾鷲市内の住友生命さんでコーヒー講座を開講しました。

久しぶりに、コーヒーのこと、コーヒーの淹れ方、コーヒーの楽しみ方について講演・実演してきました。

参加者提供。住友生命様の会議室にて。


講座ではまず座学をして、コーヒーに関しての基礎的な知識を教えます。
次に実際にコーヒーを淹れるための見本を実演で行い、その後、参加者のみなさんにも淹れてもらい、最後にまた、淹れてもらったコーヒーを飲みながら、質疑応答をして終わります。


座学ではまず、

「コーヒーとは何か?」

を説明します。

具体的・実質的なことと、抽象的・概念的なことに分けて説明します。

コーヒーを抽象的・概念的なことで、ひとことで言ってしまえば『嗜好品』です。

『嗜好品』をいう語句をWikipediaでひいてみると

1.普通の飲食物ではない。:栄養・エネルギー源を期待しない。
2.普通の薬ではない。:病気治療を期待しない。
3.生命維持に強い効果はない。
4.ないと寂しい感じ。
5.食べると精神(心)にいい効果がある。
6.人の出会い意思疎通を円滑にする。

というざっくりとした定義が出てきます。


定義の1〜3を見てみると、嗜好品は栄養源でもなくエネルギー源でもなく、人間が成長していくのに必要な栄養素もなく、人間が新陳代謝を行っていく上でもなんの役にも立ちませんし、薬理効果もなく、病気の回復を促すものでもありません。

つまり『生命の維持』において『なくても良いもの』なんです。

お茶、お酒、タバコなんかもそうです。
お菓子もそうです。

言い換えれば『贅沢品』です。

しかし4〜6を見てもわかるように、人間が社会生活を送っていく上で『ないと寂しい感じ』がするものなんです。

同じようなジャンルのものは、例えば芸術があります。

文学、演劇、映画、音楽、美術。

広義の意味においては、例えば『趣味全般』も、『嗜好品』といえるかと思います。

それらがなくても、人間は生きてはいけます。

しかしそれらがないと『寂しい感じ』がしてしまいます。

『生命維持に必要のないもの』、言い換えれば『不要不急』ということになります。

過疎化が進む地方では、この『嗜好品』の周辺に属するもの.....お茶、コーヒー、お酒、タバコ、音楽、映画、演劇、文学......総じて『娯楽』などは「別になくても生きてはいけるでしょ?」ということで、真っ先に予算が削減され、不要不急の名の下に衰退していきます。。

当然のことかもしれませんし、私もまた頭のどこかで、カフェの経営は『真っ先に不要不急と言われてしまうもの』という自覚があります。

しかしその一方で心の奥では『カフェでコーヒーも飲めない生活なんて』という気持ちもあります。

カフェの経営をしている矜持のひとつは(全てではありませんが)、『不要不急と言われ、真っ先に衰退せざるを得ない嗜好品の文化を死守する』為でもあります。

私がカフェで映画鑑賞会をして、映画について話そう、というイベントをしたり、友達の書店の書籍をお店で取り扱ったり、ライブをしたり、あるいはカフェ同士が連携する、というのは、

『不要不急』と言われる(言われかねない)、『文化的なもの』は、相互に寄り添って支え合っていかないと、それ単体では『不要不急の圧』に潰されてしまうからです。

….とまあ、そんなことを説明します。


具体的・実質的には、コーヒー豆の特徴をお話します。
(焙煎と味の関係や、お湯の温度などについて)

その後、参加者の皆さんに、実際にコーヒーを淹れてもらいます。


コーヒーを淹れ終わったあとは、この日は私が持参した焼き菓子とともに、実際に自分で淹れてもらったコーヒーを飲んでいただきながら、談笑しました。

コーヒーを自分で淹れ終わったあとは、自然と、参加者のみなさんから質疑があるので、残りの時間を使って質疑応答の時間になります。


コーヒー講座をする時は『最も伝えたいこと』をひとつに絞って、そこから枝葉を伸ばしたような内容にしています。

コーヒー講座で最も伝えたいことは『コーヒーとは”嗜好品”である』、ということです。

質疑応答の時間では必ずと言っていいほどに健康効果についての質問がありますが、コーヒーは、飲みすぎなければ著しく健康を害することはありませんが、しかし逆に、コーヒーを飲んだからと言って特定の疾病が治癒することも期待できません。

つまりフィジカルな面において特に大きく作用することはなく、もしあるとしたらカフェインの効果によって覚醒効果があるか、利尿作用が促進されるくらいです。

嗜好品である以上、フィジカルな作用に期待するよりも、メンタルの作用に期待した方がいいと思います。

健康効果を期待して飲むよりも、嗜好品を楽しむ時間そのものを『贅沢な時間』として堪能することが大事だと思います

繰り返しになりますが、私がコーヒー講座をする時には、コーヒーの『健康効果』については語りません。

それよりも『贅沢をする』とは何か、ということを『嗜好品』というカテゴリに含まれるコーヒーという飲み物を通して伝える、ということを主眼に置いてます。

コーヒー講座をする時は、そんなことを伝えられたら....うまく伝わるといい、と思っています。



コーヒー講座では、野外イベントに出店するための機材をそのまま使って、出張でコーヒー講座ができます。



コーヒー講座はいつも、かなりぎゅうぎゅうのタイムスケジュールですが、『もうちょっと詳しく知りたい』くらいで終わるのがちょうど良いと思っています。

『コーヒーの世界への入り口』まではしっかりとガイドしたつもりなので、その先はそれぞれの好奇心と向学心に従って追求していただければ、と思っています。

充実したコーヒーライフが送れますよう、願っております。


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