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時間と手間テトリス

加齢のためか、このところ物忘れがひどいです。
例えば、自分でお茶を飲もうとティーポットにお湯を注ぎ、「5分待ち」と時計を見るのに、必ず思い出すのが30分以上経過した後。
その5分間を、ポットの前でじっと待つことができません。アレをやっておこうコレも気になる、などと動き出してハッと気づくと30分以上経過したスーパー濃渋のぬるいお茶を飲む羽目に。
これが珈琲ならば、ハンドドリップなので淹れ終えるまでその場を動くことなく、淹れたての美味しい珈琲が飲めるのですが、もしもコーヒーメーカーで淹れたとしたら、きっと忘れるに違いありません。T-falの電気ポットでお湯を沸かしただけでも、沸かしたことを思い出した時にはすでに湯が冷めているのだから。

これは、「物忘れ」というよりも、スキマ時間に色々やってしまおうという貧乏性と落ち着きのなさから来ているのかも。さらに、かなりの面倒くさがりなので、手間も省きたくなる性分です。
たとえば料理をする時は、冷蔵庫の開け閉めの手間を最小限にしようと、一度に複数の食材をまとめて出します。「おっとアレ出し忘れた」と二度手間になると負けた気がするし、各料理が出来上がったと同時に、調理に使った鍋やまな板も洗い終えていたい。
誰に強制されたわけでもなく、日々やるべきことに対しても「目標〇時まで→仕上がった、達成!」とか「コレ待ってる間にアレできるね」などと、時間と手間との勝負を常に自らに課してしまうのです。
そして「今夜の夕ご飯は7時」と打ち合わせたならば、7時に向かってすべて整うよう段取りするタイプなので、「6時55分。5分前、さあ出来上がるぞ」という時に夫がおもむろにお風呂に入ろうとしたりすると、「なぜ今このタイミングでお風呂?!」とイラっとします。

時間を無駄にしたくないの! この瞬間に向けて時間と手間をギュギュっと積み重ねてきたの! テトリスのように、空いた時間にやるべきことをうまくはめ込んで、効率よく物事を進めていきたいのです。

では、それほどまでに時間と手間と神経を切り詰めて、作り出したその余暇をいったいわたしはどう過ごしているのか?
9時間も眠ったり、サウナで3時間ボーっと費やしたり、テトリスとかしちゃっているの。「ここ掃除しよう」と思っているのにいつまでも放置したりしちゃっているの。
ものすごく、時間を無駄に使って手間も先延ばしにしているの……。

人生は矛盾に満ちたものですねえ、などと人生と絡めてみせて、自分のダメさをごまかす春です。

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