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三日夜の餅の話。

むかしの日本。
まだ平安の時代・・・くらいかな?
結婚の形式が自由なころ。
性に大らかな時代と言うべきか。

通い婚が主流で、
女性の部屋に、俗にいう「夜這い」的な感じで
男性が訪れ逢瀬を結ぶ時代がありました。

念のため、
ソレに至るまでの手続き的な暗黙の過程というものがあり、
当人同士の気持ちはもちろんのこと、
女性側のお付きの者や家族が逢瀬の可否を判断し、
知っても知らんぷりする辺りが、
犯罪ではないということを書き添えておきます。

さて、話は本題。

男女共に、どこからが「お試し」で
どこからが「結婚」なのか
曖昧なのはマズイわけです。

そこで、「結婚」の線引きができまして、
三日間連続で、同じ女性の部屋に訪れると
「結婚」だぜ!ってなことなのです。

夜、暗くなってから女性の部屋に訪れた男性は
必ず夜が明けるまでに部屋を立ち去るのがマナーでして、
夜明けを過ぎて、いつまでも眠りこけるような男性は
だらしがない、はしたないヤツだと思われてしまうのですが、
三日連続でお泊りした、まさに三日目の朝には女性の部屋にいても良かったそうです。

女性の家で「三日夜の餅(みかよのもちい)」を一緒に食べることで「結婚」の儀式になり、
以後、男性は堂々と女性の部屋に出入りを許されるお婿さんとなります。

…そんな話を、高校の時に習いました。
(だいたいは合ってるはずです。。。苦笑)

だから、同じ男性と3日連続で月を見ると
結婚することになるのよ。

って、にやりと笑った古典の先生の顔が
いまだに忘れられない。。。

旦那さん(当時まだ付き合っていた頃)に
夜、月を見上げながら三日夜の餅の話をしたことがあった。
私は結婚するとか思ってなかったのだけど、
「じゃ、明日も明後日も、ここに月を見に来なきゃね。」
と、さらりと言われた時の動揺は、
嬉しさとか驚きとかを超えるものがあった。

「そうね。」と曖昧に答えた引き締まった横顔から
ずいぶん経ってしまい
今はすっかりゆるんだ横顔になってしまったけれど。

寒い夜、外に夫婦で飲みに出て、
歩いて帰る夜空に浮かんだ満月は
既に少し欠けて「皆既月食」が始まっていた。

月から目を外して隣の顔を見る。
同じ月を見上げて、
「はーん」て口開けてる酔っ払いが、
あの時の、私の背の君だと思うと…
いとおかし。

#みかよのもちい #三日夜の餅 #エッセイ #結婚

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