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自己探求と人間回復ーカウンセリングとTグループ

カウンセリングとTグループからTグループの歴史や類似グループ、ゲシュタルト療法や芸術療法、カウンセラーの問題など広く網羅した本。

特に興味を引いたのが第5章カウンセラーと教育者の問題。本書は1973年に発行されており、すでに感受性訓練などでも指摘されていたカウンセラーやトレーナーの質や問題点について言及している。特に集団場面におけるカウンセラーの問題やあり方に対する記述については、メンバーを支配したがること、ある種のメンバーに依存したがること、恐れを抱くこと、メンバーを犠牲にして自らの位置を保とうとすること、自分の意図通りに集団を動かそうとすること等、カウンセラーの陥りやすい罠について述べられている。

また、治療と訓練の違いにも言及されており、この時代にすでに訓練を積んでいないカウンセラー、トレーナーが危険な訓練や粗雑な無責任な世話役になる弊害を指摘している。

このような素晴らしい文献があるにもかかわらず、その後の時代に未熟なトレーナーにより感受性訓練やTグループが衰退してしまうのは残念の極みである。




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