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ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

本書の中でネガティブ・ケイパビリティとは、「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」と定義されている。

本書ではネガティブ・ケイパビリティの歴史としてキーツの「ネガティブ・ケイパビリティ」、精神科医ビオンの「ネガティブ・ケイパビリティ」を取り上げている。本書の著者が精神科医のためか、その後、医療や精神医学の分野、教育の分野でのネガティブ・ケイパビリティを取り上げている。

読んでみてネガティブ・ケイパビリティの能力として言われていることは、ロジャーズの中核三条件と同じではないかと思った。

ロジャーズの中核三条件は下記の本を参照

ロジャーズの中核三条件は上記の著書の中ではカウンセラーの態度として記載されているが、その本質的なあり方の部分や相手に向ける関心や態度はネガティブ・ケイパビリティそのものではないかと思った。

カール・ロジャーズ(1902年1月8日 - 1987年2月4日)とウィルフレッド・ビオン(1897年9月8日 - 1979年11月8日)は同じ時代を生き、共にグループ・ダイナミクスを扱いながらも、アメリカとヨーロッパという文化的差異、臨床心理学者と精神科医という職業的差異から似たような概念をそれぞれ態度と能力として残していることがとても興味深い。

ちなみに本書ではネガティブ・ケイパビリティについての記載はあり、それは能力とされており能力の概要や事例については記載されているものの、肝心のその能力の身につけ方や伸ばし方については触れられていない。能力ということは、身につけることは可能であり、訓練により伸ばすことも可能と考えられる。この能力を身につけ伸ばすトレーニングの一つとしてTグループがあると思う。Tグループについては別記事に記載。

少なくとも知らなければその能力を認知することはできないと思うので、本書を読むことで知ることはできるが、その能力を身につけられるかは別であると思う。私がこの能力が高いかどうかは別にして、私自身の経験からは、これまでのTグループや感受性訓練の中でこの能力が身につき、少なからず伸ばすことができたと思っている。



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