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初心者がAPEXをプレイした。次の初心者へと伝えることがある。

 私はカエサル。今日はAPEX Legendsの話をする。エーペックスレジェンズ……名前くらいは知っているだろう。銃で撃ち合ってその島の最強を決めるサバイバル・ゲームだ。私はこのゲームの初心者だったが、先日シルバーランクにランク・アップし、完全に手練れのベテランになったと言える。

 そして今日は、もしあなたが急遽APEXをやらなければならなくなったときのために重要なことを教えようと思う。人生には何があるかわからない。明日にはAPEX狂いの革命家がこの世界を支配し、APEXの戦績に応じた税率で生活していかなければならないという可能性もある。そのときに備え、先人である私があなたに知恵を授けよう。つまり、初心者指南というわけだ。

 さっそくいこう。

・銃で撃たれると負けて死ぬ。

 最初に教えることはこれだ。APEXというゲームは開始直後、飛行船の上から絶海の孤島に落とされる。そして、チャンピオンとなるチームを決めるのだが、その方法はじゃんけんトーナメントではない。殺し合いだ。「話し合いかドッジボールで決めようよ!」と思うかもしれないが、このゲームにそういった交渉の余地は一切ない。

 私も最初は驚いたものだ。島に着陸し、「ここはどんなところなんだろう、ファミリーマートあるかな」なんてことを考えモタモタしていると、丘を越えて敵がやってきた。奴らは私に銃口を向け、あろうことか引き金を引いたのだ。「撃たないで! 暴力はやめて! ガンジー!」私はそう叫ぶも、返事は銃声だった。

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 私は傷つき倒れ、数秒後に画面に「部隊全滅」と表示された。APEXは殺し合いのゲームだった。つまり、あなたも敵の命を奪い取らなければならないということだ。負けて死なないために、敵を負かして死なすのだ。

・銃はスナイパー(当たらない)とそれ以外(ほぼ当たらない)の二種類。

  戦う覚悟を決めたなら、次は得物を選ぶ時間だ。APEXにはいろんな銃が落ちているが、種類が多すぎて全てを把握することは不可能だ。なので、初心者のあなたが覚えるのは以下の二種類だ。

・スナイパー

 紫色の弾を使う銃がスナイパーだ。遠くにいる敵にも攻撃できるが、全く当てることはできない。なので初心者にはオススメできないが、このAPEXというゲームでは銃をふたつまで持つことができるので杖代わりにひとつ持っていてもいいだろう。見分け方だが、デカイ銃や長い銃はスナイパーの確率が高いので要注意だ。

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↑スナイパーの中でも唯一オススメできるのはこのチャージライフル。
撃つとビームが出てカッコイイ。

・それ以外

 スナイパー以外の銃は大体一緒だ。対応するボタンを押したりマウスをクリックしたりすれば、銃弾が飛び出て運が良ければ命中する。ボタンを押し続ければ銃弾も発射し続けるので、敵に当たる確率も高まるだろう。たまにボタンを押し続けても発射が途切れてしまう銃があるが、それは壊れてるのでたくさんボタンを押せ。もしくは弾切れだ。

・敵キャラクターは人間が操作している。

 いつも大魔王クッパかレイドボスとしか戦ってない奴にはわからないかも知れないが、このゲーム、なんと敵キャラクターも人間が操作している。この文章を読んでるあなたはきっと人間だと思うが、APEXの敵も人間だ。つまり、対戦になったときに「よく狙って撃て」以上の完全な攻略法は存在しないということだ。

 遠距離にいれば敵は隙の大きいジャンプ攻撃をしてくるのでそこをステップで躱し、攻撃を二回入れてまた離れ……。NPCから貰った小さなオルゴールを使うとボスが怯むのでその隙に攻撃を…………。みたいな攻略パターンは存在しない。なので私から教えてやれることはほとんど何もない。しかしゲームを通して一言だけ言うのなら、むやみに敵に突撃するとろくなことにならないということだ。

 ガールズ&パンツァーというアニメを知っているか? 戦車で戦うことをテーマにしたあのアニメには、突撃ばかりしている脳が少し足りない知波単学園というチームが居た。彼らは突撃して返り討ちにあうということを繰り返していたが、ある日、福田という奴が「突撃ばかりしていてはダメなのでは?」と気づき、成長した。

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↑彼女が福田だ。人員不足で徴用された少年兵にしか見えないが、知波単学園きっての智将である。(画像はGuP公式から)

 APEXも同じだ。敵を見つけると、殺し合いが始まるという興奮、敵に撃たれて死ぬかもしれないという恐怖感、早く引き金を引きたいという好奇心、その他もろもろからアドレナリンが分泌され頭に血が上って叫び声をあげて敵に突撃したくなるかもしれない。しかし、相手も知能のある人間なので、そういった突撃兵は3人がかりのリンチにあって死ぬ。

 なので、冷静になって気を伺わなければならない。戦局を見極め、周囲と連携して攻撃するのだ。時には撤退という選択肢も必要になる。勝利のための撤退だ。尻尾を巻いて逃げ出す勇気を持て……。福田のように。福田になれ。

・しかし、味方は人間ではない。

 APEXというゲームは3人1チームでゲームを行うが、一緒に遊んでくれる奴がいない場合はランダムに選ばれた他のプレイヤーとチームを組むことになる。いわゆる、「野良」という奴だ。

 さきほど、智略に富み残忍で狡猾な人間が敵キャラクターを操作していると言ったが、残念ながら野良の味方に限ってはそうではない。恐らく、味方はアライグマかチワワが操作していると思われる。これは私の統計上間違いない。味方キャラクターは知恵のある人間ならそうはしないだろうという愚かな突撃もかますし、自分と協力して動いてくれることなどほぼない。私が必要としているアイテムを目の前で奪っていくし、敵から隠れて潜伏行動しているときに余計な音を出して敵に気づかれる。そんなたわけたプレイングばかりだ。

エーペックスれじぇんす

 しかし、それにイラついてはならない。何故ならあなたは人間で、動物には愛を持って接するべきだからだ。彼らは「Noob」という鳴き声を上げるが、これは嬉しくなった犬が尻尾を振ってワンワン吠えるのと一緒だから気にしないでいい。

 たまに、たまーにだが賢いワンちゃんが味方キャラクターを操作しており、自分と協力し戦略も同調して戦ってくれることがある。それはとても運の良いことなので、ジャーキーでもプレゼントしてやるべきだ。もしかしたら人間かもしれない。そんなときはチャットで「arigatou」と送ってやるといい。もし人間なら伝わるはずだ。

 ちなみに私のプレイングはアライグマ以下だ。恐らくジャンガリアンハムスターと同じ程度にしか役に立っていない。いや、ハムスターは可愛げがあるからまだいいが、私の使用するヒューズというキャラは口汚い言動ばかりするオヤジなのでそれ以下かもしれない。

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↑「爆発物の信奉者 ヒューズ」
私も爆発が好きなので彼を使っている。

・弱キャラという幻想

 そう、ヒューズだ。私はヒューズというキャラクターを使っている。たくさん爆発して楽しいことと、「ダイ・ハード」や「ビバリーヒルズ・コップ」みたいに口汚くタフに戦うところがクールだと思っているからこのキャラクターを使っている。しかし、このキャラクターはいわゆる弱キャラらしい

 「APEX キャラランク」なんて調べれば分かるが、17キャラクターいる現在、ヒューズはワースト3には入ってしまう性能のようだ。私はまだまだAPEXの経験が少ないからわからないが、きっとビッグデータに基づいた説得力のあるキャラランクなのだろう。

 しかし、あえて言おう。「弱キャラ」というのは存在しない。「でもでもだって、みんな言ってるよ! あのキャラが強くてこのキャラはザコキャラって……」あなたはそう思う。しかし、それはあくまで「誰かが勝手に言っている」にすぎない。ゲームで一番偉いのは「ゲームを作ってる奴」だ。APEXの公式HPにいってみろ。どこにも「ヒューズは弱いので使うな」なんて書いてはいない。「あるく破壊兵器」「誰よりも強く、カリスマに満ちた闘士」と勇猛果敢な文言が書いてある。だからヒューズは弱キャラではない。

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(↑こんなに自身満々の顔をしている。私も自信満々に使ってやらねば失礼というものだ)

 これは綺麗事やおためごかしだと思うか? それならば、たまにいるレアキャラ使いのトップ層の選手のことをどう説明つける? 彼ら全員が、いわゆる強キャラと言われているキャラクターを使えばもっと強いと本当に言い切れるだろうか?

 「強いキャラ」というのはほとんどの場合「使いやすいキャラ」だ。つまり、誰かが「このキャラは強い」という分にはまだいい。しかし「このキャラは弱い」と発言するのは「わたしには使いこなせません」と言っているのに等しい。

 そして何事にも相性というのは存在し、人によって肌に合うキャラクターというのは存在する。そうでなければ、何故ゲームを作る奴は色んなキャラクターを実装するのだろうか? 「弱いから誰も使わないと思うけど、上司が作れって言うからヒューズを作った」なんて言うと思うか?

 だから、好きなキャラを使え。その方がゲームの開発チームも喜ぶだろう。「強いキャラが好き」「戦うのが好きなんじゃない。勝つのが好き」というのなら攻略Wikiのキャラランクを参考にするのもなんら間違いではない。しかし、「見た目が好き」「声がカッコイイ」「動きがマッチョ」という理由のキャラクターセレクトを否定するのは間違っている。

 キャラクターが好きというのは、ゲームに対するモチベーションをあげる一因にもなる。強いキャラを使っても、ゲームに飽きてしまったら元も子もない。これは競技性の高いゲームを好んでプレイする人間や、その周囲にいると勘違いしてしまいがちだが、「目先の勝ちだけを追って好きでもないことをやる」より「例え弱いキャラでもモチベーション高くプレイし続ける」方が長い目で見れば得なのは明らかだ。

・APEXは取引先との接待じゃない。

 そして、このAPEXというゲーム、先ほども述べた通りチーム戦だ。すると、頭がメロンパン入れではなく脳みそが詰まっているあなたはこう考えるかもしれない。「自分が下手くそだったら味方に迷惑をかけるのでは……?」と。

 そういう意味でははっきりと言おう。「迷惑はかけている」。へたくそな私ですら「なんだこの味方……邪魔だよ!」と思うことがあるのだ。つまり私がその10000倍味方に迷惑をかけているというのは想像に難くない。だが、チームメイトは取引先ではない。だから、迷惑をかけてもいいのだ。

 あなたは素晴らしいママに育てられた。「他人に迷惑をかけてはいけないよ」という常識を教えてくれたのだから。しかしそれは人間世界での話だ。大自然の摂理が支配するAPEXでは、「他人への迷惑」など何の意味も無い。野ウサギを捕食するオオワシが「ウサギさんに迷惑かなぁ」と反省したりするだろうか?

 あなたのママもヒューズを使っていたのなら「好きにマザーロード撃ちな。その方が派手で楽しいぞ」と言うだろう。マザーロードというのはヒューズの必殺技みたいなもので、派手な割に使いづらく、有効なシーンがかなり限られる。しかも撃ち方をミスると自分にダメージが入ったりして散々な結果になりかねない。しかし私はバンバン撃つ。何故なら、その方が楽しいからだ。

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(↑マザーロードを撃つと、大きな爆発を引き起こし……)

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(↑火の海を作り出す。が、あまり強くはない。)

 「楽しむためならば何をしてもいいの?」に対して、私は自信を持って「そうだ」と言おう。「じゃあ自分が楽しむためにチートをしてもいいの?」なんて言い出す奴は極論を出して喜んでるだけのキッズなので最初から話すことは何もない。味方にグレネードを投げたり「迷惑をかけることを目的としたプレイ」で喜んでいるだけのキッズも、どうせすぐ飽きてゲームをやめるから気にすることはない。

 例えばあなたが、友人とチームを組んでAPEXを遊んでいたとしよう。どうしようもなく下手くそなあなたがたくさんヘマをやらかすので、何度やってもすぐに負けてしまう。そして友人が「コイツとチームを組んでも勝てねえからつまんねえな」と思ったとしよう。

 そこで友人が賢い奴ならば、「腹が痛い」とかなんとか言ってゲームを止めて、二度とあなたとはプレイしないだろう。それは少し寂しいかもしれない。だが、それまでだ。別にあなたのLINEアカウントをブロックしないし、二度と口きいてやらねーとはならない。学校裏掲示板に「アイツのAPEXはジジイの散歩」とか書き込まれることもない。しかし、もしそうなったら……そんな奴はアホなので友達を辞めた方がいい。

 そして友人がもう少し賢い奴だったならば、有益なアドバイスをしてくれるかもしれない。「Shiftキーを押すと走れるぞ」とか「なんとかマガジンを手に入れると弾がいつもよりいっぱい撃てる」とかそういうのだ。何故なら、賢い奴は「仲間を強くするのが長期的に見て自分の利益になる」と知っているからだ。これには伝え方が難しいという問題もついてくるのだが……、まあ、賢い奴は賢いからどうにかするだろう。そういう奴には一定のリスペクトをしてやれ。

 あなたが「最初から迷惑をかけるつもりで」周りに迷惑をかけてない限り、周囲から何かを言われる筋合いは無い。それでイライラしたり「おまえ弱いからゲームやめろ」なんていう奴がいたら、ソイツの方がゲームに向いていないから気にするな。だから、自由にやれ。逆にあなたが「皆で楽しくAPEXをやる」のが目的で、周りに少しばかり気を使ってプレイするのも別に否定はしない。もちろんそれだって自由だ。ただ、「皆」に自分が入っていることを忘れるな。

 しかし……もしかしたら今後、ゴルフのように取引先と接待でAPEXを遊ばなければならない日が来るかもしれない。そうしたら……どうすべきだろうか? 強いアーマーをゆずる? 敵のアーマーを削った後にわざと倒さずにラストヒットを取引先に譲る……? 色々思いつくが、なんにせよゲームの実力がないとどれも上手くいかないだろう。だから今はまだ、爪を研ぐべきときだ。

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(↑上位のアーマーを見つけたら取引先に「アーマー見つけましたからどうぞ! いや自分はいいっす! 今着てるの気に入ってるんで!」と言おう)

・基本的に勝てないゲームだ。が、楽しめ。

 さて、このAPEXというゲーム、20チームの中からチャンピオンを決めるというのが基本の戦いだ。なので単純に考えれば勝率は100÷20で5パーセント、しかし味方がアライグマとチワワなこと、そして自分はハムスター以下なことを考慮して計算すれば現実的な勝率は2%といったところだろう。

 つまり、100回やれば98回はチャンピオンにはなれず負けるゲームだということだ。そんな負けてばっかで楽しいの? とあなたは思うかもしれないが、これが意外にも面白い。何故なら、チャンピオンになれずともゲームを楽しむことはできるからだ。

 扉を蹴破って敵が襲い掛かってくる。もう対話で解決することを諦めたあなたは、銃を手に取ってはちゃめちゃに撃ちまくった。相手の攻撃がこちらに命中し、アーマーがガリガリと削れていく。しかし、なんとあなたの放った銃弾が運よく敵の頭に命中し、ソイツは絶叫して地に伏した。撃破だ! そのときの快感を言葉で表すことは難しい。しいていうなら、「自分が主人公になった感覚」だろうか。

 ハリウッド・ムービーの主人公はどんな銃弾の雨の中でも致命傷を負うことなく相手を打ち負かす。それと同じような瞬間がAPEXにもあるのだ。目の前の敵を己の攻撃で撃破する。それは別に世間から見ればスゴイことではないのかもしれない。上級者からすればしょうもないザコ同士の小競り合いかもしれない。しかし私たちには世紀の一戦だ。

 だから敵を一人倒したら全力で喜ぶべきだ。それがたとえ偶然によるものだとか、たまたま相手の体力が減っていたとかは関係ない。地元の酒場に駆け込んで、「余裕で瞬殺だった。ワンパンだよワンパン」とふかして回るべきだ。もしチャンピオンでも取れた日には村をあげての祝祭を始めるだろう。一切ダメージを与えられず負けてしまったとしても「相手は完全にチビってた。自分も重りをつけたままだからギリ負けた」くらいの精神性を持て。

 これは何も「どうせ勝てないから小さな喜びで満足しろ」という話ではない。「遠い目標のため、自分の成長に自覚的になれ」という話である。APEXに限らず、対戦ゲームを楽しむために必要なのは、「続ける」ことだ。そのためには自分で自分を褒める能力…………それが必要になる。己を鼓舞し、戦い続けろ。

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 参考までに自分の戦績を載せておこう。K/Dは0.24……これはキル・デス比(キルレート)という奴で、平均で自分が一回死ぬまでに何人の敵を倒せるかという値だ。つまり0.24とは、自分が約5回死ぬまでには1回は敵を倒せるということだ。これがどれくらいのレベルなのか気になり……私はグーグルで「k/d 目安」と検索してみた……。

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 初心者 0.6-0.9 k/d …………? あまりにも不可解な検索結果がそこには表示されていた。「0.6未満の階級はどこ? 初心者以下なら私は何なの?」そう訴えたが、グーグルは何も答えはしなかった……。

 だが、2か月前のK/Dが0.16だったことを考えると、私は如実に成長しているということがわかる。0.16から0.24、2か月で150%の上げ幅、株価なら急成長中の超人気ファンドだ。だから私は自分に期待し、投資する。ゲームを楽しみ続ける限り、成長が止まることはないと私は信じている。


 さて、そろそろ私は行くとしよう。もちろん、次のAPEXゲームへだ。この記事を読んで興味を持ち、もしあなたもこのAPEX Legendsというゲームを始め、そして私と同じ島に敵として着陸したならば……、その時は私の持てる全力を投じてあなたを打ち負かしてやろう。少なくとも、5回に1回は。


Twitter:@caesarcola

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