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とある東京外国語大学国際社会学部生の4年間の学び【履修】


この記事の狙い


つい先日、東京外国語大学の合格発表があった。入ってくる者がいれば、出ていく者がいて、僕はその後者にあたる。そして、大抵の場合、出ていく者は、自分がいた場所のことを美化して語りたがる。ぼくもそのひとりだ。

しかし、この記事はそういう汗と涙にまみれた思い出話をする記事ではありません。この記事は、

これから外大生になる人

これから外大生になることを目指す人

に、外大ではどんなことが学べるのかをわかってもらうための記事です。題名の通り、「とある東京外国語大学国際社会学部生」が4年間の履修をそのまま晒す記事です。1人の人間の履修をまるまる見る機会はあまり無いと思います。この記事の狙いは、より具体的かつ現実的に、外大での学びをイメージしてもらい、新入生の履修の参考に、また受験生の勉強のモチベーションにしてもらおうということです。

ただ、ぼくの時と、これを読んでいる方の時とでは、ルールも教授陣も変わっていると思うので、あくまでほんの一例、ほんの参考に留めてください。


2018   通年

地域言語A(フランス語Ⅰ) 


東京外大では、1〜2年生の間、週に5コマ、計450分、自身の専攻言語を学ぶことになります。必修です。落としたら留年します。

ぼくはフランス語専攻だったので、1〜2年生の時は毎週5コマ、2年間で計20コマのフランス語授業を受けました。

その内訳は、例えば僕の場合、

月曜日に日本人教師による文法の授業が一つ
火曜日に日本人教師による表現の授業が一つ
水曜日にフランス人教師による会話の授業が二つ
木曜日にフランス人教師によるリスニングの授業が一つ
金曜日はおやすみ

といった具合です。春学期に5つ、秋学期に5つ、授業があります。

1年生のフランス語の成績は、1年終了時に、10コマの成績が一括で提示されます。文法や会話を全てひっくるめた総合評価が、1年間のフランス語の成績としてつけられるのです。


2018 春学期

英語A1
 英語A:Production(E)

英語A3
 Interactive English: Reception (E)

地域基礎2A(西南ヨーロッパ1)
 西南ヨーロッパ史概説—フランスとイタリアを中心に—(1)

基礎リテラシー
 基礎リテラシー

憲法を読み解くA
 憲法A

地球社会と共生1A
 Topics in Intercultural Communication and Miscommunication  

国際社会をひもとくA
 グローバル化を多面的に理解する

スポーツ・身体文化科目A
 サッカー 

地域社会研究入門ⅠA
 地域研究の最先端I 現代社会と地域研究  

政治学入門A
 政治学基礎(政治制度・政治過程)

経済学入門A
 経済学入門A



英語のProductionとかReceptionってのがいわゆるGLIP英語ってやつです。文字通り、二つの技能にそれぞれ特化した授業が行われます。このクラスは入学時のTOEICの成績で分けられます。大概の人はGLIPを履修しますが、春からいきなり新言語を二つ(専攻語とその他の言語)始める猛者もいます。

地域基礎は、言語だけじゃなくて、その言語が使われている地域の文化や歴史などにも詳しくないとダメだよねというやつです。

基礎リテラシーは、大学とはなんぞや的なことが学べるやつです。

そこから下は、東京外国語大学国際社会学部の特徴が出てるところです。ほんとにいろんなことが学べるってことがわかりやすいと思います。

一番大切なことを言います。それは、大学生活のスタートであるこの学期で、できるだけ多くの単位を取っておこうということです。25単位フルで取る人もかなり多いです。大学生は、絶対に、だんだんダラけます。ここが一番単位を取れる学期です。逆に言うと、ここで落単ばっかりしてしまうと、そのあとは、さらに落ちていく一方です。


2018 秋学期

英語A2
 英語A:Production(E)
 
英語A4
 Interactive English: Reception (E)

地域基礎2A(西南ヨーロッパ2)
 西南ヨーロッパ史概説—フランスとイタリアを中心に—(2)

基礎演習
 論文作成法とプレゼンテーション

キャリアデザイン論2B
 メディアの現在と未来を考える(朝日新聞提携講義) (J)

文化のおもしろさB1
 倫理学

世界の中の日本B
 近代日本のなかの東京外国語大学

スポーツ・身体文化科目B
 民族舞踊 

経済学入門B
 経済学入門B   

国際関係論入門B
 国際政治のなかの地域  

言語研究入門B
 おもしろいぞ言語学・日本語諸方言編B   

進路指導論
 進路指導論



基礎演習は、「全外大生に聞いた!今思えばもっとちゃんとやっとけばよかった授業ランキング!!」があったら間違いなく1,2を争ってくる授業なのではないかと思います。ざっくり言うと論文の書き方を教えてくれる授業です。ぼくは卒論を書く時にほんとに思いました。「基礎演習、もっとちゃんと聞けばよかった」と。

キャリアのことを考えたと思ったら、民族舞踊学んだり、経済学のあとに、方言について学んだり、

ほんとにおもしろい大学です。


2019 春学期

地域言語A(フランス語Ⅱ-1)
 メディアの伝えるフランス社会  
   
地域言語A(フランス語Ⅱ-2)
 フランス語中級文法
   
地域言語A(フランス語Ⅱ-3)
 地域言語A(フランス語Ⅱ-3)
   
地域言語A(フランス語Ⅱ-4)
 フランス語 II  

地域言語A(フランス語Ⅱ-5)
 和文仏訳  

英語B1
 Academic English: Skill-based [Listening, Reading]
   
英語B1
 国際学の理論を読む
   
教養外国語(アラビア語A2)
 アラビア語実践

地域基礎2B(西南ヨーロッパ1)
 フランスの歴史と文化 I
 
現代世界論入門ⅡA
 文化人類学基礎1

現代世界論入門ⅢA
 あたらしい人間学  

政治学入門A
 政治分析入門   

現代世界論概論ⅢA
 現代世界と差異

国際法概論A
 国際法入門



2年生からは、専攻語も難しめになります。これはまじ。

成績も一個ずつシビアにつけられます。

あとは、2年生から念願の3言語めに挑戦する人が結構多いです。ぼくの場合は最後までどちらを受けるかで迷ったアラビア語を始めました。まあ、あまりの難しさに単位を落とすんですけどね。

あと何度でも言いますが、国際法、経済、人間学、文化人類学、政治、と、ほんとに「全学問いける??」と思わずにはいられない履修表です。

2年生の春学期、国際社会学部では、ゼミ選択があります。説明会に参加し、教授のアポを取り、面談し、選抜をくぐり、ようやく配属ゼミが決まります。割と大変です。


2019 秋学期

地域言語A(フランス語Ⅱ-6)
 メディアの伝えるフランス社会  
   
地域言語A(フランス語Ⅱ-7)
 フランス語中級文法語彙
 
地域言語A(フランス語Ⅱ-8)
 和文仏訳 

地域言語A(フランス語Ⅱ-9)
 フランス語 II  

地域言語A(フランス語Ⅱ-10)
 地域言語A(フランス語Ⅱ-3)

英語B2  
   
英語B2  
   
文化のおもしろさB1
 都市と物語(文学)

現代世界論概論ⅠB
 現代世界論概論ⅠA
 
社会学B
 現代社会論
 
社会学B1
 居住の社会学および非営利活動論 
 
グローバル・スタディーズB
 グローバルスタディーズの社会思想2019(2):サッチャリズム再考

総合文化研究入門B
 文化研究入門 



ゼミが決まったあとなので、自分の卒論に向けた授業を意識して取るようになる(?)と思います。現にぼくも社会学系の履修が増えてます。

ここまでにある程度卒業単位の目処を立てておきたい。そうすれば就活とかに時間を食われがちな3年生を、比較的楽に乗り越えられます。あと、2年生から3年生に進級する際に、基準があるので、それを満たすことを忘れないように注意してください。


2020   春学期

地域言語A(フランス語Ⅲ-2)
 フランス語作文入門
   
地域言語A(フランス語Ⅲ-3)
 語学試験受検のための中級フランス語 
   
教養外国語(ドイツ語A3)
 ドイツ語 A 会話 
   
教養外国語(ドイツ語A3)
 ドイツ語A (総合)
   
地域社会研究概論ⅠA
 比較宗教論研究

社会学A1
 国際社会学
   
社会学A1
 メディア文化論

政治理論A
 はじめての政治哲学
 
社会学A(専門演習)
 国際社会学演習(フランス現代社会論)

政治理論A(専門演習)
 いのち論をはじめる――声・傷・息

※専門演習=ゼミ



3年生になると、専攻言語が必修ではなくなります。逃げるもよし、極めるもよし、です。ただ、卒業要件的に、なんやかんや3年生までは続けがちです。

あと、3年生からついに専門演習が始まります。毎週の輪読をちゃんとやってるかどうかが、割と4年生になって卒論を書くときに響いてきます。

この学期の終わり頃からサマーインターンとか始まります。

2020 秋学期

地域言語A(フランス語Ⅲ-1)
 フランス語作文中級
   
地域言語A(フランス語Ⅲ-6)
 フランス語作文中級

世界の文化B
 表象文化の世界に触れる
 
社会学B1
 移民と国家の社会学(フランス地域研究)

グローバル・スタディーズB
 現代世界における「フロンティア世界」の動態 

社会学B(専門演習)
 国際社会学演習(フランス現代社会論)

文化・文学研究B
 音楽人類学と黒人音楽  


この学期は、ぼくは就活をしてた記憶の方が鮮明。なんやかんや一番忙しい学期な気がする。あまり、授業を取りすぎないでもいいのかも。


2020 冬学期

地域言語C(アジア諸語2)
 タイ政治研究 玉田芳史


夏学期、冬学期とは、いわゆる夏休み、冬休みのことです。その間、集中講義と呼ばれる1週間ぐらいで単位を取得できる授業が開講されます。


2021 春学期

教養外国語(朝鮮語A3)
 教養外国語(朝鮮語A)
   
教養外国語(朝鮮語A3)
 朝鮮語A  

卒業論文演習A
 卒業論文演習(国際社会学)



普通に履修してれば4年生はこんなもんです。2〜3個授業取ればokみたいな状況になります。空いた時間は、卒論のための勉強や、就活に回すって感じです。


2021 秋学期

アフリカ地域研究B
 アフリカ文化論

卒業論文演習B
 国際社会学演習(フランス現代社会論)

卒業論文
 卒業論文 



なんといっても卒論の学期。卒論を書いてる時はもちろん、書いていない時でも、「書かなきゃ…」という思いに駆られる学期。なんとかなるだろと思ってたら、意外となんとかならない学期。


おわりに

こんな感じの履修で、ぼくは卒業要件を満たし、あとは卒業するだけの男になっています。

これを参考にして、春からの、または来年以降の、生活に思いを馳せてくれたらこれを書いた甲斐があったなと思います。

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