ビワイチでぽこピー追体験
はじめに
ビワイチとは、滋賀県にある日本一大きな湖の琵琶湖(びわこ)を自転車で一周することを言います。琵琶湖大橋よりも北の部分を指す「北湖(ほっこ)」だけで一周約150kmあります。山手線を約4周する距離です。
私の好きなVTuberコンビのぽこピー(狸の忍者「ぽんぽこ」と5才児の「ピーナッツくん」)がビワイチを達成していて面白そうだったので私も挑戦してみました。ぽこピーのビワイチ動画は以下の2本あります。
この記事の構成は以下のようになっています。
ぽこピー追体験のプラン(というか単に私の選択したこと)
リスクと対策(ただしサイクリング素人の意見です)
その他(施設の感想・装備の紹介・実際に走ってみた感想)
ぽこピー追体験のプラン
条件
以下のような条件で計画を立てました。
ぽこピーの追体験がしたい
➡スタートとゴールをサイクリストの聖地碑にして北湖を一周するクロスバイク等の長距離走行に適した自転車を持っていない
(あるいは持っていてもスタート地点まで運ぶことは考えていない)
➡スタート地点付近でレンタルしたいスタート地点付近に住んでいるわけではない
➡スタート地点付近に泊まれると都合がいい
選択肢
調査した結果 レンタルサイクル、宿、スケジュール の選択肢が以下の通りに絞られました。
レンタルサイクル:サイクリストの聖地碑から道を挟んで向かいにある ジャイアントストアびわ湖守山 か みさき自然公園(美崎公園) でクロスバイクを借りる
宿:サイクリストの聖地碑から徒歩圏内にある 琵琶湖マリオットホテル、セトレマリーナびわ湖、ホテル琵琶湖プラザ、ラブホ のいずれかを借りる
スケジュール:「体力に自信があるか」「夜間の走行を気にしないか」に応じて、「ピーナッツくん方式」「ぽんぽこ方式」「一般的な方式」のいずれかで行く
ピーナッツくん方式:体力に自信があり夜間の走行を気にしない場合
➡レンタルサイクルの営業開始に合わせて訪問、1泊2日でクロスバイクを借りてスタート、営業終了後にゴールして付近に借りた宿で1泊、翌日にクロスバイクを返すぽんぽこ方式:体力がやや心配だが夜間の走行は気にしない場合
➡前日にレンタサイクルにて2泊3日でクロスバイクを借りて付近に借りた宿で1泊、翌日の早朝(営業開始前)にスタート、営業終了後にゴールして付近に借りた宿でもう1泊、翌日にクロスバイクを返す
(美崎公園の場合は7:00から借りれるので当日から1泊2日で十分かも)一般的な方式:体力はともかく夜間の走行が心配な場合
➡レンタルサイクルの営業開始に合わせて訪問、1泊2日でクロスバイクを借りてスタート、途中で1泊して翌日早朝から再開、営業終了前にゴールしてそのままクロスバイクを返す
(途中で泊まる宿は サイクリストにやさしい宿 から選ぶといいかも)
私は、ジャイアントストアびわ湖守山でクロスバイクを借り、ラブホに泊まり、ピーナッツくん方式のスケジュールで行きました。
選択肢について補足
レンタルサイクル店について ロードバイクは初心者では扱いが難しいかも?と思い、クロスバイクを借りることにしました。クロスバイクをレンタルできるお店・施設を調査した結果、サイクリストの聖地碑付近だと「ジャイアントストアびわ湖守山」と「みさき自然公園(美崎公園)」の2択になりました。それぞれの特徴は下表の通り。
翌日にビワイチを決行しようと考えていたので、空きさえあれば当日でも電話予約できるジャイアントストアびわ湖守山で借りました。感想は「施設の感想」にて。
宿について Google Map等でサイクリストの聖地碑付近を表示してホテルを検索すると、前述のような選択肢になります。価格の高いものから並べると、セトレマリーナびわ湖 > 琵琶湖マリオットホテル > ラブホ > ホテル琵琶湖プラザ の順に安くなっていきます。ジャイアントストアの開店に合わせて行けるように前日入りしようと考えていたので、宿泊当日に宿を探す格好となり、その時点で他のホテルは高騰しているか埋まっているかだったので、空きがあって予算的に許容できたラブホ(ホテルファイン琵琶湖Ⅰ店)を借りました。感想は「施設の感想」にて。
スケジュールについて 一般的には12~15時間かかるという話があるので、ジャイアントストアの開店から閉店までが10時間であることを踏まえると、レンタル当日中には返せそうにありません。間に合わなかった場合のペナルティも重いので(延長料金がそもそも高い+次に使うはずだった人の補償が別途発生しうる)、最低でも1泊は必須だと考えました。夜間の走行は構わないし、宿をゴール付近に取るのでゴールが深夜に食い込んでもOKと考え、前日からレンタルして早朝にスタートすることはせず、開店に合わせてレンタルしてスタートすることにしました。
条件を変えた場合の選択肢
スタートとゴールがサイクリストの聖地碑でなくともよい場合
➡この場合、大津・草津・米原などは駅近くに手頃な宿があり、クロスバイクを借りれるレンタサイクル店もある。
この点に関しては、サイクリストの聖地碑をスタート兼ゴールにするこだわりは捨てられなかったので却下した。クロスバイクをサイクリストの聖地碑付近まで運べる車がある場合
(あるいはそういう車をレンタルする)
➡この場合、クロスバイクをどこでレンタルしてもいいしどこに泊まってもよくなる。
この点に関しては、丸一日乗らないのにレンタカー代が発生すること、積み降ろしに慣れてないこと、疲れた状態で運転する気がしないことを踏まえて却下した。サイクリストの聖地碑付近の予算内の宿が埋まっていたか、クロスバイクの予約がいっぱいだったらこの選択肢もあったかも。なお、レンタカーを予約できるかという別の問題も生じる。
リスクと対策
まずは夜間走行するのかしないのか
夜のビワイチのイメージですが、なんとなく「交通事故の危険性が高まるかな?」くらいに思っていて解像度が低い状態でした。実際に走ってみると、低速コースなら基本的に縁石の内側を走れて、縁石がなくても道幅が広かったり車がほとんど通らなかったりするので、車の危険には比較的晒されずに走れたように思います。場所によっては歩行者がいるので、むしろ轢く側になる危険があり、スピードの出しすぎや前方に注意が必要だと思いました。このような交通事故に関する危険の他に、以下のような問題がありました。
景色の楽しみがない
休憩に適した場所が少ない
ルートの目印を見失いそうになる
路面状態を把握するのに気を使う
民家もなく車も通らない場所でトラブったらやばそう
それぞれ掘り下げていきます。
景色の楽しみがない 昼間は常に景色の楽しみがあった分、精神的にきついものがある。街灯もまばらな道をライトの光を頼りにひたすら走る。修行です。
休憩に適した場所が少ない 琵琶湖の上から下に向かうマ高島市キノ町~今津町あたりで日没を迎えてから、宝船温泉までの20kmほどは、低速コースだと真っ暗で何も無い区間が長い。人もあまりいない。夜でも休憩したくなるような場所は、明るくて人がそれなりにいる場所だと思うが、そういう場所が沿道にない。横道に少しそれればコンビニがあったりするので立ち止まってマップを確認した方がいい。キャンプ場はいくつかあって、多少明かりがあって人もいるので、敷地に少し入って適当なスペースで休憩するのはありかもしれない?
ルートの目印を見失いそうになる これはそんなに深刻ではないけど、湖西は看板やブルーラインが雑な区間があって、判断に迷う場面がある。暗くて少し先の目印が視界に入らないからというのもあると思う。ルートの目印を見失ったときはサイクリングマップを見るべし。似たような雑さのパターンが続くので、予想がつくようにはなる。
路面状態を把握するのに気を使う 路面状態の把握は重要です。不用意に段差に突入すると手やケツがめちゃくちゃ痛いので、段差に気づいてスピードを落としてショックを吸収する体勢をとることはよくやると思います。想定外の凸凹で転倒したり、強い衝撃で機材が故障する可能性もあります(チェーンが外れてしまった上級者のビワイチ動画もあります)。夜間において路面状態を把握するには強いライトが必要です。ジャイアントストアで借りたクロスバイクにデフォでついてきたCATEYEのURBANは800カンデラ(光の強さ)、漕ぐことで発電する一般的なダイナモライトは2000カンデラらしいです。出発前に店員さんに夜道を照らすのには十分じゃないと警告を受けていたのですが、実際デフォだと光が弱くて視野が狭くなって気疲れする場面があったので、強いやつを買って使うとよいです。返却時に聞いたところ、強いライトのレンタルはしてないとのことでした。乾電池モデルだとURBAN2が1700カンデラ、KEENが2500カンデラでいい感じ?どちらも3000円ほど。URBAN2はカインズ彦根店に売ってました。わざわざカインズに寄るまでしてなぜ買わなかったのか…(URBAN2が家にある気がしてダブるの嫌だなと思ったんですよね…。家に帰って確認したら手持ちはURBANでした。てかダブるかどうか以前に危ないだろっていう)。ジャイアントストアの店員さんはVOLTが定番と言っていたけど充電式なので前もって買って充電しておくかバッテリーを繋ぐかする必要があるかも。強いやつを使うとしても、光が強いほど電池が持たないので、夕暮れ時にはデフォのURBANを使い、真っ暗になってから強いのを使い、しかも状況に応じてボタンで強弱を変える、みたいな使い方が必要かも。
民家もなく車も通らない場所でトラブったらやばそう 今回は何事もなく済んだのでよかったけど、真っ暗すぎて星空があまりにも綺麗な場所もあったので、想像の及ばないリスクは残っている、と思った。とはいえ、何にもなさそうな場所でも、少し横道にそれると民家があったりするし、よっぽど怪我とかしたらどのみち救急車を呼ぶなどするしかないんではと思う。携帯は繋がるので電池に気を付けることが重要かも。
実はそんなに心配いらない、かもしれないこと
パンク等の機材トラブル ジャイアントストアに限って言えばデフォで修理キットが付いてくる。YouTube見て自分で修理できるかもだし、できなくても親切な方がサポートステーションにいるかも。ビワイチ週間の一部(11/3~5)には特設エイドステーションが何ヶ所かに設けられており、サポートを受けられる。とはいえ夜間走行するなら自力でなんとかする覚悟は必要。
ルートを外れること 自転車で慣れない道を長距離走るとなると、スマホホルダーを自転車に取り付けて常にマップが見えるようにしておいて…みたいなイメージを持つかもしれないが、地図を確認する場面はあまり多くない。ほとんどの区間でブルーラインはわかりやすく示されており、曲がるときは「200m先で左折」みたいな看板がある。100mくらい進んでも青の矢印(^)が見えなくて不安になったり、間違えて交通量の多い上級コースに来たときは、サイクリングマップを開いて現在地表示すれば簡単にルートに戻ることができる。
意外とやばかったこと
トイレどこ 秋は日差しが暑くなく、風をもろに浴びるので思ったより汗をかかない。にもかかわらず「運動してるんだし水分取るっしょ!」というノリでスポドリを飲んでるとすぐトイレに行きたくなる。そもそも何時間も漕ぐのでトイレには何度も行くことになる。「次どこにトイレがあるのか?」は気になる。Googleマップで「トイレ」を検索すると割と出てくるが、もっと安心なのがサイクリングマップ。ルート沿道のトイレが多数示されており、ルートから少し外れたところにあるトイレも示されている。神。ありがとう。ついでにルートも確認できる。トイレ以外にもいろんな情報があるので(ルート上の注意箇所など)お好みで表示をON/OFFするとよい。
その他
施設の感想
クロスバイクを借りたところ:ジャイアントストアびわ湖守山
適切なサドル位置やギア操作など店員さんがいろいろ教えてくれるので安心。バッグやライトなどの装備も買える。修理キットとワイヤー錠を入れるための自転車に取り付けるタイプのバッグに余裕があって、ゼリー飲料やチョコ菓子を入れることができた。ドリンクホルダーも1つ付いていて、大きさが調節できるので、500mlのペットボトルも1Lのペットボトルも入れられた。
泊まったところ:ホテルファイン琵琶湖Ⅰ店
いわゆるラブホ。祝日込みで3連休だというのに宿泊当日に宿を探し始めてしまったので予算にギリ合うのがここしかなかった。向かいに琵琶湖ⅠⅠ店もあるので注意。自転車は外に止めるのはもちろん、室内持ち込みもOKだった。ただし、自転車を縦にしないとエレベーターには入らない。クロスバイクが軽くてよかった。フロントで自転車スタンドを借りることもできた。室内広々。ベッドの質よし。お風呂の装飾がすごい。特殊な仕組みだなと思ったのは、室内に精算機があるが、外部サイトで予約して事前決済しても精算機を支払い済みに設定できないみたいで、ドアを開けるとフロントに警報が鳴るので(未払いだよーって)、外出の際は内線でフロントに一言入れるようにとお願いされた。枕元にコンセントがなくて、少し離れたマッサージチェアに携帯を置くことになったけど、目覚ましが聞こえる距離だったのでよし。枕元に充電ケーブルはあったけど反応しなかった。連泊料金は1泊料金より高い。デイユースの機会を奪うことになるからか。近くに来来亭(23:30まで営業)やセブンイレブンがあるが、夜遅くてもフードメニューを頼めるのは貴重かも(利用しなかったけど)。
奥びわ湖ロッヂ
メニュー上の表記では「カツ鍋定食」だった。豆腐はデフォで付いてくる。よくあるカツの卵とじとは少し違う鍋っぽい味わいであっさりめ(関西だから?)。ごはんがおいしい。ビワイチはごはんがおいしい旅でもある。
なお、11時までは朝パンか朝めししか注文できないらしい。途中で一泊するつもりでいて、奥びわ湖ロッヂでカツ鍋定食を食べたい場合は訪問タイミングに注意。
宝船温泉
大浴場をイメージしていたが違った。内湯と露天風呂がある。入店時に内湯か露天風呂かを選んで片方しか入れない。男の内湯は民宿の貸切ファミリー風呂みたいな広さで、シャワーが3つと、3人くらい入れる湯舟があるもので、温泉としてはこじんまりとしていた。道を挟んで向かい側にあるキャンプ場から人がたくさん来てるようだった。キャパが小さいのでタイミングによっては待たされる。タオルはフロントで有料で借りれる。脱衣所に鍵付きロッカーは無くカゴがあるのみなので、貴重品を含めて荷物はフロントに預ける。20時までなのでジャイアントストア開店から行くとそれなりのペースで行かないと間に合わない。私は閉店1時間前に着きました。ずっと前傾姿勢で漕いできて首と腰が痛かったので、湯船に浸かって頭を湯船のへりにあずけて休憩できたのがよかった。ちなみに、源泉が冷たい「冷泉」というもので、熱して温泉にしているが、実はサウナもあって、冷泉を水風呂にしているとのことで気になる。
装備の紹介
実際に走ってみた感想
時々録っていたボイスメモと撮った写真からタイムラインを再構成するとこんな感じ。①〜⑩の数字は後掲するインスタの写真の順番。
糖分不足で力が入らなくなるハンガーノックという症状に陥らないようこまめにエネルギーを摂取しました。トータルで3000kcal前後を摂る必要があるので、カツ鍋定食+2000kcalくらい?チョコ菓子やおにぎりが200kcal前後なので、かなり意識的に食べておかないとエネルギー不足になります。
向かい風と坂がきつかった。走行中は手と首と腰とケツが痛くて、時々体をひねったり、(イルカが脳みそを片方ずつ眠らせるように)お尻を片方だけサドルに乗せたりしながら、だましだまし走りました。次に長距離サイクリングするときはパッド付きのグローブやパッド付きのサイクルパンツを試したい。達成感あるんだけど「まじでやったのか…」ってちょっと引く気持ちもある。翌日自転車を返しに行くときが一番身体の痛みが鮮烈だった。手とケツと膝。もう脳内麻薬切れてて「実はこんなに痛かったんや…」って感じ。
ぽこピーのビワイチ動画を改めて見返すと、ぽんぽこさんは白髭神社以降で上級コースを通ってるみたいでした。最後のコンビニ休憩に立ち寄ったであろうファミリーマート和邇(わに)南浜店や、都会に来た!と言ってる時に映っている洋服の青山は上級コースの沿道にあります。このへんの低速コースのほうは暗い&お店ない&入り組んでるので、交通量や歩行者が減る夜間では上級コースの方が走りやすいかもしれません。一方で、序盤で、キレイすぎて止まってしまった、と言って立ち寄った「あのベンチ」(この名前でGoogle Mapで見つかります) は低速コースの沿道にあります。コース選びに何か法則があるとしたら、低速コースと上級コースとで道が分岐するときはなるべく琵琶湖に近い方の道(反時計回りなので左側)を選んでいたのかもしれません。
おわりに
いい景色がたくさんあったし、オシャレなお店もたくさんあった。ごはんもおいしかったし、よさげなキャンプ場もたくさんあった。また行きたいな~。…え?
おまけ
ビワイチ詰め合わせ
アフタービワイチ
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