休屋スミ

ギリ昭和生まれ。

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最近の記事

明日の私は今日よりずっと上手にできる

今日、生まれてはじめて、台所の換気扇の掃除をした。 水あめのようにこびりついた、あぶらのかたまりを、少しずつ少しずつこすり落としながら思う。なんで私は換気扇の掃除をしているんだろう。 フードを外し、ほこりをまとったあぶら汚れをウェットティッシュでこそげ取る。手ずから外したシロッコファンを洗剤液にひたし、スポンジでみがく。 最初にふれたときの、ネトっとしたいやな感じが、徐々にゆるんでサラサラになっていく。ぴかぴかと、本来の輝きをとりもどしていく様子を見て気づいた。 ああ、

    • 恋愛は人間をバカにさせる

      父は不倫をしていた。 家族を捨てて出ていった。 母も不倫をしていた。 家に男を連れこみ、ドアにチェーンをかけた。 恋愛は人間をバカにさせる。 男も。女も。老いも。若きも。 私もバカになりたかった。 好きだよ。愛してる。あなただけよ。ずっといっしょにいて。 言葉を紡げばバカになれると思った。 肉体をこすりあわせればバカになれると思った。 そして、気づいてしまった。 私はバカにはなれない。 バカになれない私は、この世にひとりぼっちだ。

      • 余生を生きる

        今このとき、私の心臓が止まったなら。 私は喜んで死ぬだろう、と思う。 結婚をした。 子どもも産んだ。 生物としての役割はもう終えたと思っている。 今の私は、余生を生きている。 子どもたちはまだ幼いが、彼らは産み落としたその時からひとりでたくましく生きている。 乳をやったり人間界のルールを教えたりなどしているが、これは産み落とした当人でなくても、誰がやっても構わないことだ。 いま私が死んだところで、とくに誰も困らないだろうな、と思えるほど、私は大したことをしないで生きてい

        • 一夫一婦制への疑問

          いろんな人とセックスをしてはいけないのは何故なのだろう。 より強いオスの遺伝子を残したいというのがメスの本能であるとしたら、年々劣化していくひとりのオスだけにこだわるのは非効率な気がする。 強そうなオスとセックスしまくって、膣の中で卵子争奪トーナメントを行った方が、より強い遺伝子を残せるのでは?と思う。 だが、それをやると弱いオスは遺伝子を残せなくなってしまう。 ほとんどのメスは、強いオスの子どもばかり孕むであろうから。 人間界の一夫一婦制ってのは、弱いオスのために作ら

        明日の私は今日よりずっと上手にできる

          もしも私が、大きな桃をひろったら

          河川敷を歩いていたら、大きな桃が川を流れていた。 いや、あれは桃なのだろうか。 桃にしては大き過ぎるのでは。 もしかしたら、カブだろうか。 それとも、何かのイベントに使われたハリボテかもしれない。 様々な憶測を重ねているうちに、その桃のようなカブのような大きな物体は、どんぶらこ、どんぶらこ、と川のふちに流れ着いていた。 恐る恐る近づいてみると、やはり桃のようなものに見える。 うっすらと生えた産毛に、川面に浮いていた葉っぱやゴミなんかがへばりついていた。 これはどうした

          もしも私が、大きな桃をひろったら