見出し画像

ヴァニラ画廊で三罰三

4年に1回開催される三罰展の3回目が、この春にあった。
会場は銀座のヴァニラ画廊。空山基、ロッキンジェリービーン、オレのエキシビジョンショーで内容はエロ寄り。「罰当たりが3人集まったんだから三罰展だよ」と空山大兄貴が1回目のショーが決まった時にそう宣言した。あとの2人はさておき自分ではどこもバチあたりではないのでやや遺憾に思ったが、空山さんに仲間に加えてもらえたようでうれしかった。なんとなれば空山基とはオレが高校生の頃からスター級のイラストレーターであり、天上界の存在を思わせる超絶なる絵のテクニックを持ち、なによりもあのメタル感を全身に纏い人ならぬものでありながらも肉感的とすら思わせるセクシーロボットを生み出した人だからだ。

当時のイラストレーション誌に掲載されたHowToDrawのページの空山さんの手から生み出されるセクシーロボットの質感に「人間がこれを手で描けるんか」と驚愕し平伏しつつ高校生には高価だったリキテックス(5色くらいしか持ち得なかった)、一度はその扱いの難しさに折れてしまい込んでいたそれに再度挑戦させてもらったあの記憶を思うと、同じ空間で絵の展示を並んでやる、という恐るべき未来がここにあったんすか!と感嘆に耽るヒマもなく、なんせもうひとりはこれまた恐るべき画風とイカすモチーフの男、ジェリービーンなのであるからこの展示が決まってからはズーーっと胃が重いのであった。いてて。

三罰のテーマは一貫してエロなんだが、エロは人間の数だけその種類があると言われているので、もちろん3人とも表現が異なるのも当然なのであり、だからこそ切り口の違いを展示で目の当たりにして、ああっ、とか、ううっ、とかの妙な声を漏らしてしまうのだった。ひとりひとりの想像の域は、個人差はあれど実のところそんなに広くもなく、その表現者の経験や知識、その組み合わせから規定されていくと思っている。従って普段から如何に連想を飛躍させるか、異なるくみ合わせで妙なる音色を奏でることができるのかを、練習によって(らくがきともいうが)分厚くしておくかにトライしてるつもりなんである。つもりなんだが、だがしかし自らが知らずに嵌めていた自分への枠がある。そこをどう超えるかは、けっこう偶然にちかい確率しかなくて、だからこそできるだけ量をこなして量を考え、あわよくばその確率をあげていこう、という思想の元にオレのらくがきはあるわけです。
展示の予定が増えすぎると、こなすのに精一杯になりがちなので、ここはひとつ落ちついて日々らくがきにいそしもうと思う次第です。がんばれよオレ。

と言いつつも展示は無事に始まりそして終わり。毎度展示は始まるとホッとして、終わるとやや寂しいワケですが、まあ既に次の展示に向かって走り出してると済んだことをぐだぐだ考えるのも無駄なので(反省はだいじだがな)胃近辺がまたしてもウググ、となりつつ日々が過ぎていくのだった。
とりあえずは三罰四もできるといいですね!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?