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Eagle's Eye〜タイムマネジメント①〜

ご無沙汰しております。久しぶりのEagle's Eyeです。
1/26(日)のFE名古屋vs東京Zの試合でぜひ紹介したいプレーが2つほどあったので、2回に分けて書いていこうと思います。どちらも、バスケットボールの「タイムマネジメント」についてです。バスケットLIVEを契約している方は、ぜひ見逃し配信を見ながらお読みください。では始めます。

紹介したいプレー

まず今回紹介したいのは、第2Q残り42秒からのFE名古屋のオフェンスです。
このオフェンスは宮崎選手の3Pで終わるのですが、ショットクロックがまだ16秒も残っているタイミングで、かなり遠い位置からシュートを打っています。それも目の前でホーキンソン選手がポジションを取っているにもかかわらず、です。
このオフェンス単体で見ると、お世辞にも良いオフェンスとは言えません。まだショットクロックに余裕があるので、ドライブやビッグマンへのパスを駆使しながらより良い状況でシュートが打てるように模索すべきだったと思います。
ではなぜ、宮崎選手はこのタイミングでの3Pを選択したのでしょうか。

オフェンスの回数の話

唐突ですが⚪︎×クイズです。
バスケットボールとは、両チームが交互にオフェンスをする競技である。⚪︎か×か。

答えは×です。
オフェンスリバウンドがあるから?シュートまでいけずにボールを失うこと(ターンオーバー)があるから?いやいやそんな話ではありません。
バスケットボールは常に両チームが交互にオフェンスをしているように見えて、実はそうでない場面があります。それは、各クォーター間のインターバルを跨ぐときです。

各クォーターにおいて最初にオフェンスをするチームは、オルタネイティングポゼッションというルールに基づいて決定されます。
簡単に説明すると、各クォーターの開始時を含め「どちらのボールかわからなくなったとき」には両チームに交互にボールの所有権(=オフェンスの機会)を与えることで不公平をなくしましょうね、というものです。

では、各クォーターにおいて最後にオフェンスをするチームはどうやって決まるのでしょうか。当然、試合展開によって変わってきます。
このため、各クォーター間のインターバルを跨ぐときには、先のクォーターで最後にオフェンスをしたチームが次のクォーターで最初にオフェンスをするという状況、すなわち「同じチームが連続してオフェンスをする状況」が生まれることがあります。

各クォーターにおける最後のオフェンスが全て自チームだった場合と、全て相手チームだった場合とでは、オフェンスの回数に4回も差が生まれることになります。バスケットボールは点の取り合いのスポーツなので、オフェンスの回数は多いに越したことはありません。このため、できる限り各クォーターの最後は自分たちのオフェンスで終わらせた方がよい、ということになります。

オフェンスの回数を増やすためのタイムマネジメント〜2for1〜

冒頭に紹介したプレーの話に戻ります。あの場面で宮崎選手が3Pを打った狙いはなんだったのでしょうか。

ここで仮に、宮崎選手があの場面で3Pを打たず、FE名古屋がさらに10秒ほど時間を使ってオフェンスをしていたとします。その場合、FE名古屋のオフェンスが終わって東京Zボールになった時点で第2Qの残りは21秒。当然、東京Zはじっくり時間を使ってオフェンスをし、そのまま第2Qが終了します。最後のオフェンスは東京Zです。

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これが実際には、宮崎選手の3Pが外れて東京Zボールになった時点で第2Qの残り時間は31秒。1回のオフェンスは、ファウルしたりオフェンスリバウンドを取られたりしない限りは最長でも24秒なので、もう一度FE名古屋にオフェンスの機会が回ってくることになります。実際、この場面では東京Zのオフェンスが終わった後も第2Qは10秒ほど残っており、最後にもう一度FE名古屋がオフェンスをすることができました。

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つまり、第2Q残り42秒からのオフェンスにおいて宮崎選手は、多少無理やりながらも早めにシュートを打つことでFE名古屋のオフェンスの機会を1回増やすことを狙ったわけです。

このようなタイムマネジメント術は、バスケットの世界では「2 for 1」と呼ばれます。直訳すると「2のための1」。要するに、残りの時間で2回オフェンスをするために1回目のオフェンスを早く終わらせる、という考え方です。
今回紹介したプレーは、まさにこの考え方に沿ったプレーだったと思います。

2 for 1のデメリット

ここまでで説明したように、この宮崎選手のプレーによってFE名古屋はオフェンスの機会を1回増やすことができました。では、この選択は絶対的な正解だったのでしょうか。いえ、そうとは言えないのがバスケットボールの面白いところです。

2 for 1のデメリットは、短い時間でシュートまでいかなければならないために1回のオフェンスの成功率が低くなりがちだということです。実際、第2Q残り42秒の時点からFE名古屋は2回のオフェンスの機会を得たわけですが、そのどちらも失敗に終わっています。結果論ですが、残り42秒の時点からじっくり時間を使って攻めていたら、オフェンスの回数は1回でも、そのオフェンスを成功させることができたかもしれません。

「2 for 1を選択するかどうか」の二択は、「成功率が低くてもオフェンスの回数を増やすか、1回のオフェンスの成功率を高めるか」という二択に近いです。絶対的にどちらが良いというものではありません。

まとめ

以上のように、バスケットにおいて各クォーターの終了間際には、「どちらが最後のオフェンスをするか」という時間の駆け引きが存在します。特に残り時間が1分を切ったくらいからは、優秀な選手ほど「そのクォーターをどう終わらせるか」を意識してプレーするはずです。
その辺りにも注目してみると、試合観戦がより一層楽しくなるかもしれません。

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