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Eagle's Eye〜タイムマネジメント②〜

前回に引き続き1/26(日)のFE名古屋vs東京Zの試合で気になったプレーの紹介です。
ちなみに前回の記事はコチラ。未読の方はぜひこちらもどうぞ。

紹介したいプレー

今回紹介したいのは、第4Q残り24.1秒からのFE名古屋のオフェンスです。この時点でFE名古屋は3点ビハインド。残り時間を考えると絶対に3Pが欲しい場面です。
ここでFE名古屋は、ボールをフロントコートに運ぶと、特に何もしないまま10秒ほど時間を消費します。その後、残り時間が10秒を切ったくらいでようやく動き出し、ホーキンソン選手が見事に3Pを決めて残り3秒で同点とします。
このオフェンスで、ボールを運んだ後に何もしないまま過ごした10秒には何の意味があったのでしょうか。

何もせず過ごした10秒の意味

前回の記事をご覧になった方ならもうお気付きかもしれませんが、この10秒は、相手にもう一度オフェンスする機会を与えないために消費した時間でした。

先に書いた通り、ホーキンソン選手の3Pで同点に追い付いた時点で、東京Zに残された時間は3秒でした。そして最後の東京Zのオフェンスでは、たった3秒ではまともな形を作ることができず、かなり遠い位置からの3Pがエアボールとなって延長戦に突入することになりました。
ここで、仮にあの10秒がなかったとしたらどうなるでしょうか。ホーキンソン選手の3Pで同点に追い付いた時点で残り時間は13秒。オフェンスを組み立てるには十分な時間です。しかも同点なので、FE名古屋にしてみればFTを与えることすら許されない状況。なかなか分が悪い賭けになることが予想できます。

つまりFE名古屋は、あの場面で同点に追いつくだけではなく、その後の東京Zのオフェンスを凌ぎ切ることまで考えて残り時間をできる限り減らしたかったのだと思います。

FE名古屋の選択に伴うデメリット

結果だけを見ると、非の打ちどころのない作戦に思えるかもしれません。しかし、何のデメリットもない作戦なんていうのはどこを探しても存在しないもので、当然この作戦にもデメリットはあります。

それは、「そもそも3Pを決めるのが難しくなる」ということです。

先に紹介した通り、あの場面は絶対に3Pが欲しい場面です。逆に東京Zからすれば、3Pさえ守れれば最悪2Pは決められても良い場面となります。そんな中で相手のディフェンスを崩して3Pを決めるのは、そう簡単な話ではありません。
それに加えて、今回の作戦では10秒ほどの時間をある意味無駄にしています。このため、もしもホーキンソン選手が相手のディフェンスに捕まって3Pを打てなかったら。また、3Pを打てたとしてもそれが外れてしまったら。あの10秒を無駄にせずもっと早く仕掛けていれば、オフェンスを組み立て直したり、オフェンスリバウンドを拾ってもう一度3Pを打ったりすることもできるでしょう。ですが、残り時間が3秒ではそれもほぼ不可能です。

つまり、今回FE名古屋が選択した作戦は、ワンプレーで3Pを決めることができれば天国、もし決められなければ即地獄行き、というハイリスクハイリターンなものでした。
難しい3Pを沈めたホーキンソン選手、そして、たったワンプレーでも3Pを決めてくれると信じ、この作戦を託して選手たちを送り出した川辺HCに賛辞を送りたいと思います。

まとめ

今回紹介したプレーは、「今のオフェンスを成功させる」ことだけではなく「次のディフェンスも成功させる」ことまで考えたものでした。
また、前回紹介したプレーは、「今のオフェンスを成功させる」ことだけではなく「もう一回オフェンスの機会を確保する」ことを狙ったものだったと思います。
両者に共通するのは、「今のオフェンスやディフェンスをどう成功させるのか」だけでなく、「その後のオフェンスやディフェンスにどう繋げるのか」ということまで考えたプレーだったという点です。
もしバスケットの戦術に少し興味を持ち始めた方がいたら、そんなところまで注目して見てみるとまた違った面白さが見えてくるかもしれません。

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