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035-令和4年マン管試験 適正化法問47の解説

問題

〔問47〕「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」(令和3年9月 28 日 国土交通省告示第 1286 号)(この問いにおいて「基本的な方針」という。)における記載事項に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。

ア 基本的な方針では、管理規約や使用細則に違反する行為があった場合は、管理組合は、法令等に則り、少額訴訟等の方法によってその是正又は排除を求め法的措置をとることが重要であるとされている。

イ 基本的な方針では、管理組合によるマンション管理の適正化について定めら れており、新築分譲マンションについての記載はない。

ウ 基本的な方針では、住生活基本計画(全国計画)において 25 年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定している管理組合の割合を国における目標 として掲げている旨が記載されているが、地方公共団体における目標設定につ いては言及していない。

エ 基本的な方針では、長期修繕計画の作成にあたっては、あらかじめ建物診断 を行って計画を適切なものとする必要があるが、必要に応じ、建替えについて も視野に入れて検討することが望ましいとされている

正解

2(アとエ)

解説

改正適正化法、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)からの出題です。
管理の適正化は管理計画認定制度、助言・指導及び勧告制度のことです。
改正適正化法(試験の前までに全文をチェックすること)

設問1

ア 基本的な方針では、管理規約や使用細則に違反する行為があった場合は、管理組合は、法令等に則り、少額訴訟等の方法によってその是正又は排除を求め法的措置をとることが重要であるとされている。

以下、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)には下記のような記載があります。

・・・また、管理費等の滞納など管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、少額訴訟等 その是正又は排除を求める法的措置をとることが重要である。

マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)

管理費等の滞納を放置せずに、回収や競売を含めた断固たる措置をとることが重要と定めています。

以上のことより設問1は〇になります。

設問2

イ 基本的な方針では、管理組合によるマンション管理の適正化について定められており、新築分譲マンションについての記載はない。

以下、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)には下記のような記載があります。

また、国においては、既存マンションが対象となる管理計画認定制度に加え、マンションの適切 な管理を担保するためには分譲時点から適切な管理を確保することが重要であることから、新築分譲マンションを対象とした管理計画を予備的に認定する仕組みについても、マンション管理適正化 推進センターと連携しながら、必要な施策を講じていく必要がある。

マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)

管理計画認定制度では既存のマンションに対しては「事前確認」、新築マンション(分譲前)のマンションに対しては「予備認定」と言う制度があります。

事前確認と予備認定で重要になることは次の3つです。

1、事前確認は国土交通省の制度、予備認定はマンション管理センターの制度です。

2、予備認定は自治体の条例は必要ありません。

3、予備認定で注意することは、分譲開始前にしか申請できないことです。
特に物件の引渡しが申請中に行われると申請は無効になります。

以上のことより設問2は✖になります。

設問3

ウ 基本的な方針では、住生活基本計画(全国計画)において25 年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定している管理組合の割合を国における目標として掲げている旨が記載されているが、地方公共団体における目標設定につ いては言及していない。

以下、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)には下記のような記載があります。

マンションの適切な管理のためには、適切な長期修繕計画の作成や計画的な修繕積立金の積立が必 要となることから、国においては、住生活基本法(平成十八年法律第六十一号)に基づく住生活基本 計画(全国計画)において、二十五年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定している管理組合の割合を目標として掲げている。
地方公共団体においては、国が掲げる目標を参考にしつつ、マンションの管理の適正化のために管 理組合が留意すべき事項も考慮し、区域内のマンションの状況を把握し、地域の実情に応じた適切な 目標を設定することが望ましい。

マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)

国土交通省がマンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)として公開した内容では、国は制度(管理計画認定制度、助言・指導及び勧告制度)を制定したが、実施をするのは各地方自治体であり、管理会社やマンション管理士への協力を得ながら適正な管理組合の運営を行いなさいと書かれています。
特に長期修繕計画は、快適なマンション生活の維持と資産価値の維持のためにもっとも重要な計画であり、計画を実現するための資金を確保するためにには修繕積立金をしっかりと管理しなさいとしています。

ひとつひとつの文面を覚えるより、国土交通省のマンション行政を理解することが重要であり、試験対策にはもっとも有効な方法になります。

以上のことより設問3は✖になります。

設問4

エ 基本的な方針では、長期修繕計画の作成にあたっては、あらかじめ建物診断を行って計画を適切なものとする必要があるが、必要に応じ、建替えについて も視野に入れて検討することが望ましいとされている。

以下、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)には下記のような記載があります。

管理組合の管理者等は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、 適時閲覧できるようにすることが重要である。
なお、建設後相当の期間が経過したマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には必要に応じ、建替え等についても視野に入れて検討することが望ましい。
建替え等の検討にあ たっては、その過程をマンションの区分所有者等に周知させるなど透明性に配慮しつつ、各区分 所有者等の意向を十分把握し、合意形成を図りながら進める必要がある。

マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和4年4月1日施行)

国土交通省は、マンションの劣化は避けられないことであり、劣化速度を遅くするためには適切な修繕計画が重要で、そのためには長期修繕計画を定期的に見直すべきと考えています。
また、計画はあくまでも計画であり、それを実行するためには多大な費用が必要になり、そのためには長期修繕計画を実現するため資金を計画的に積立てるべきであると考えています。
しかし、老朽化は避けられないことであり、いずれは建替えが必要になり、マンションの延命以外に建替えも視野に入れた管理を行うべきとしています。

修繕は必要、しかし、いずれは建替えは避けられないと考えていることがわかります。

以上のことより設問4は〇になります。

正しい設問はアとエになり、答えは2つです。


マンション管理士の試験は区分所有法、標準管理規約、マンション適正化法だけに限らず、国土交通省が公開する指針等にまで知識を問われます。
指針等をすべて覚えることは難しいことですが、国土交通省のマンション行政の考え方を知ることはそれほど難しいことではありません。
適正化法は、簡単な問題が多いと言われますが、改正適正化法が施行されて以来、問題は難問になっています。
国土交通省のマンション行政の考え方を知ることが求められていると考えて勉強をすることが必要になります。



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