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#10 打設の現場はこんな感じ(2)

マンション建設現場の打設作業についてイメージはつかめましたか。

打設作業のルール

では打込の続きを説明します。
打込は型枠にコンクリートを流し込む作業です。
ミキサー車一台で同じ平面で連続する容積を目的の量まで流し込む必要があり、そのためには複数台のミキサー車が必要になります。

(7)型枠の高さが大きい場合には、型枠に投入口を設けるか、縦シュートあるいは輸送管の吐出口を打込み面近くまで下げてコンクリートを打ち込まなければならない。(一部略)
(8)コンクリートの打込み中、表面に集まったブリーディング水(染み出す水)は、適当な方法で取り除いてからコンクリートを打ち込まなければならない。
(9)打上がり速度(流し込む速度)は、一般の場合には30分当り1.0~1.5m程度を標準とする。
(10)スラブまたは、はりのコンクリートが壁または柱のコンクリートと連続している場合には、沈みひび割れを防止するため、壁または柱のコンクリートの沈下がほぼ終了してからスラブまたははりのコンクリートを打ち込むことを標準とする。
(11)コンクリートを直接地面に打ち込む場合には、あらかじめならしコンクリートを敷いておくことを原則とする。

以上にような細かいルールに基づいて作業は行われます。(覚える必要はありませんが、マンションの躯体が細かなルールに基づいて作られていることは知ってください。)

これで打設作業が終わるわけではありません。
充填されたコンクリートをより均一にするためにコンクリートの締固め作業を行います。

棒で突いたり機械的に振動を与えながら内部の空気を抜き、表面を滑らかにします。

締固め作業例

養生時間

打込が終了するとコンクリートの硬化を待ちます。
この期間を「養生時間」と言います、
皆さんが2℃以上で5日以上と覚えている時間です。

実はこの覚え方は正確ではありません。
温度は2℃以上ですが、この理由はコンクリート中の水分が氷になることを防ぐためです。
2℃以下になると打込んだコンクリートの強度は失われ、二度と戻ることはありません。

養生期間は一般的に5日以上です。
5日は硬化が進み外的要因(風や雨等)に影響を受け無くなる硬さになる時間です。
完全な水和反応の終了は打設後、28日と言われています。

5日間はコンクリート中では水和反応が起きています。
これを促すために表面を養生シートで覆ったり、表面を水で覆うことの措置をします。

「2℃以上5日以上」

にはこのような意味があることを理解しましたか。

コンクリートの化学反応は外気温に影響されます。
そのため実際には同時期にコンクリート強度を確認する必要があります。

覚えていますか?
打込時前のコンクリートの4つの試験項目の中にあった圧縮強度測定用のサンプルです。
これが重要になります。

養生後5日、6日経過後に圧縮強度を測定して一定強度以上があることを確認します。
この時の強度が圧縮強度が10N/mm2です。

この数値は過去に試験に出題されています。
覚えておきましょう。

養生中は高温、乾燥に注意

硬化中のコンクリートは水が必要です。
そのため、養生中は散水、湿潤養生、シート養生などで覆います。
太陽光による表面の乾燥を防ぐことと水和反応に必要な十分な水を供給することが目的です。

養生の一連の流れ

硬化中に乾燥したり、必要な水分の供給がないとヒビが発生します。
このヒビを「プラスチック収縮ひび割れ」と言います。

プラスチック収縮ひび割れ

致命的なヒビに感じますが、表面にできるヒビは深さが浅いため、硬化後に補修することができます。

型枠の除去

コンクリート圧縮強度が10N/㎜2以上が確認できると型枠を外します。
これでコンクリートの床、壁、柱が完成します。
この作業を1階から最上階まで繰り返します。

以上が打設作業の流れになります。

次回こそ、「コンクリートの不具合」です。
思ったより、長くなってしまいましたが、現場をイメージするには必要な情報です。


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