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#27 アスファルト防水をマスターしよう

いよいよ防水の説明に入りますが、防水工法は基本的な2つに分類されることを覚えてください。

これが基本になります。
イメージとしては密着工法は、防水面に防水材を塗る、溶かす方法です。
絶縁工法は、防水面を防水材で覆う方法です。
塗膜は密着、シートは絶縁に分類されます。

アスファルト防水

アスファルト防水の歴史は長く100年以上続いています。
アスファルトは重油の生成過程で発生する最も重い炭化水素類の総称で特定の成分を意味するものではありません。
身近なアスファルトと言えば舗装道路です。

アスファルト防水の基本は単純です。
溶かしたアスファルト防水面に流し層を形成します。
その上を防水シートで覆います。

これを繰返し積層させることで防水能力を高めます。

至ってシンプルな防水工法です。

表面仕上げが異なると名前が変わる

積層した防水層の最終表面に使用する材料によって防水方法の名前が決まります。
コンクリートで保護すれば「アスファルト防水 コンクリート押さえ」。
砂が付いたシートで保護すると「露出アスファルト防水」。

テキストでよく聞く名称ですよね。
基本はアスファルト防水、最終保護層の仕上げ材によって名前が決まられています。

この方法の弱点と改良

アスファルトを溶解させるには高温にする必要になります。
その際に発生する刺激臭が強く、何度も繰り返すことで住民の環境にも影響を与えます。
防水シートを貼る際にしわが発生したりすることもあり、職人の腕に依存する欠点がありました。
そこで、溶融する方法が改善されました。
注意したい点は、アスファルト防水であることに変わりはありません。
あくまでも工法(アスファルトを貼る方法)が変わっただけです

アスファルトを溶解する防水工法は3つの工法があります。
1、トーチ法
2、熱工法
3、冷工法(常温粘着法)

それぞれの特徴を説明します。

1、トーチ法

トーチとはガスバーナーのことです。
アスファルトを染み込ませたシート貼り、その上からバーナーをあてることでシートに含まれたアスファルトを溶かします。
これにより、刺激臭の発生を抑えることができます。
これがトーチ法です。

この方法が開発されたことでアスファルト層と防水シートをひとつのシートにすることができ、この方法が「改質アスファルトシート防水」と言われるようになりました。

2、熱工法

従来工法です。
釜でアスファルトを溶解し、防水面に流し込み、その上から防水シートを貼ります。

3、冷工法(常温粘着法)

「冷工法」や「常温粘着法」「自着工法」などと呼ばれる工法です。
この方法の最大の特徴は熱を使わない点です。
そのため、この方法は密着法ではなく、絶縁法に分類されます。
トーチ工法で使う「改質アスファルトシート」の裏に、「ゴムアスファルト粘着層」をコーティングしたシートを使用します。
この粘着層を防水面に貼り付けます。
トーチ法より周辺への影響がないため、都心や住宅地で広く使用されています。
ただし、絶縁法です。
シート間の密着性が防水性能になります。
シート同士の隙間を埋めるために、何枚ものシートを重ねる必要があります。
防水層全体の重量が重くなるなど一定のデメリットもあります。

以上がアスファルト防水になります。
ネットで調べると積層される防水シートに様々な種類が使用されていることがわかります。
素人から見ると別な工法のように思えますが、基本はアスファルト+防水シートの構造は同じです。

アスファルトを溶かす方法によって工法が異なることも含めて覚えましょう。

次回はシート防水です。

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