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028‐マン管過去問 平成28年度問10、違反行為

問題

マンション内で共同利益背反行為を行っている占有者に対して、区分所有者の全員が集会の決議により訴えを提起しようとする場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 .専有部分を賃借している占有者の共同利益背反行為による共同生活上の障害が著しく、行為の停止を求める請求によってはその障害を除去して共同生活の維持を図ることが困難であるときは、賃借人に対し、相当の期間の賃借人による専有部分の使用の禁止を請求することができる。

2 .占有者が専有部分の転借人であるときに、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを請求するためには、転貸人と転借人に加え、原賃貸人である区分所有者を共同被告として、訴えを提起しなければならない。

3 .専有部分を区分所有者から賃借している占有者に対して、原告ではなく、賃貸人である区分所有者に対して専有部分を直接に引き渡すよう求めることはできない。

4 .区分所有者及び区分所有者から専有部分を賃借している占有者に対して、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための決議をするには、あらかじめ区分所有者に対して弁明の機会を与えなければならない。

解答

解説

設問1

1 .専有部分を賃借している占有者の共同利益背反行為による共同生活上の障害が著しく、行為の停止を求める請求によってはその障害を除去して共同生活の維持を図ることが困難であるときは、賃借人に対し、相当の期間の賃借人による専有部分の使用の禁止を請求することができる。

設問の意図は、迷惑行為を続ける賃借人に対して専有部分の使用禁止(区分所有法58条)を請求できるかと言うことです。

弁明の機会で皆さんは管理組合が迷惑な住民に対して行える権利については十分理解しているはずです。

管理組合が出来ることは4項目
1)行為の禁止請求(相手は区分所有者)
2)期間を決めた使用の禁止請求(相手は区分所有者)
3)競売請求(相手は区分所有者)
4)占有者に対する引渡し請求(相手は占有者)

今回の問題の対象は賃借人(占有者)です。
期限を決めた使用禁止請求は2)区分所有法58条に定められ、相手は区分所有者です。
と言うことで答えは✖になります。

設問2

2 .占有者が専有部分の転借人であるときに、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを請求するためには、転貸人と転借人に加え、原賃貸人である区分所有者を共同被告として、訴えを提起しなければならない。

今回の問題の相関は下記関係です。

対象になる法令は区分所有法60条の占有者への引渡し請求です。
迷惑行為を行う人に対して請求を行います。
大家である区分所有者、賃借人である転貸人は訴訟の相手ではありません。
専有部分を占有している転借人を相手に訴えを起こす必要があります。

管理組合が出来ることは4項目
1)行為の禁止請求(相手は区分所有者)
2)期間を決めた使用の禁止請求(相手は区分所有者)
3)競売請求(相手は区分所有者)
4)占有者に対する引渡し請求(相手は占有者)

今回の問題の対象は転借人(占有者)です。
と言うことで答えは✖になります。

設問3

3 .専有部分を区分所有者から賃借している占有者に対して、原告ではなく、賃貸人である区分所有者に対して専有部分を直接に引き渡すよう求めることはできない。

わかりずらい設問ですが、「原告ではなく」とは迷惑行為を行う賃借人ではなくと言う意味です。
賃貸借関係にある区分所有者(賃貸人)に引渡し請求ができるかと言う問題です。
区分所有法60条は占有者に対する引渡し請求です。
区分所有者にする請求ではありません。

設問の状況

設問にあるようにできないことが正解になります。
と言うことで答えはになります。

設問4

4 .区分所有者及び区分所有者から専有部分を賃借している占有者に対して、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための決議をするには、あらかじめ区分所有者に対して弁明の機会を与えなければならない。

弁明の機会が与えられるのは原告です。
迷惑行為を続けている占有者です。
区分所有者(賃貸人)ではありません。
と言うことで答えはになります。

以上が解説になります。
理解が出来ていない方は基本をもう一度確認してください。


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