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#22 サイディング外壁のヒビとその修繕

サイディング外壁は打ちっぱなし壁や塗装外壁とは構造が異なります。
直張り工法のサイディング壁はモルタルや接着剤でボードを固定する工法であると以前に説明しました。
外壁通気工法はサイディングボードと壁には空間があり、コンクリート壁の影響を受けにくいことも説明しました。
コンクリート外壁の塗装|マンション管理士せっかめ|note

試験にはサイディング壁では直張りタイル壁が出題されること多いようです。
皆さんの中にはタイルの落下がタイル1個の落下をイメージしている方も多いと思いますが、サイディング壁の場合はボード1枚の落下のことです。

サイディングの落下については法定検査や落下防止をまとめて説明します。

今回は、サイディング壁の表面にヒビが発生した場合の修繕について覚えてください。

サイディング壁の特徴

サイディング壁の工法について説明しました。
サイディングボードの表面の説明を追加します。
サイディングの材料はセメントや繊維質が成分である窯業系、ガルバリウムやアルミなどを使用した金属系、天然の木を加工して作った木質系、塩化ビニルの樹脂を使用した樹脂系、などの種類があります。

サイディング壁も水や熱には弱く、それらから守るため表面を塗装します。
サイディングの耐久性は30年と言われますが、表面の塗装は塗装外壁と同じ10年程度でメンテナンス(塗り直し)が必要になります。

サイディングの劣化よる発生

サイディングの表面塗装が劣化すると内部へ水が入り込みます。それにより湿気➡乾燥➡湿気が繰り返され、ボード自体にひずむが発生します。
これがボードの反りと言われる現象です。

反りの度合いが進むとボードとコンクリートに浮きが生じます。
さらに劣化が進むと表面の材料が割れます。
これがサイディング表面に発生するヒビの発生原因です。

覚えるポイントは劣化の度合いと現象の関係です。
反り➡浮き➡ヒビ(割れ)

これ以外にも固定用ビスからの亀裂が入る場合や建物の構造上の歪から発生するヒビがあります。

ビス止めによるヒビの発生

釘で止めた部分からヒビが発生した例

サイディングのヒビの代表はボードを留める時に使用するビス由来のヒビです。外壁通気工法に多く見られます。
マンションではあまり使用しない工法ですが、サイディング壁では代表的なヒビの発生原因なので覚えておきましょう。

構造上発生するヒビ

マンション外壁によく見られる直張り工法です。
釘を使わず接着材やモルタルで固定します。
コンクリートの構造上の荷重がかかった時にコンクリートに発生するヒビと同様のヒビがボードに現れます。
下記の写真では下地のコンクリートにもヒビがあることがわかります。

窓枠から発生したヒビ(1)

次の写真も窓枠から発生したヒビです。
上からの荷重に耐えられず、めくり上がるようにボードが浮いた結果ヒビが発生しています。

窓枠から発生したヒビ(2)

直張りサイディング外壁で説明したように外気の要因でヒビが発生することはなく、構造上の負荷によりコンクリートと一体化したボードに同じようにヒビが発生します。
ヒビのような現象が現れないケースでは浮き(ボードの一部が膨らんでいる、端がめくりあげっている)もヒビと同様の構造上の荷重により発生します。

補修方法

サイディング壁のヒビもコンクリート壁と同様に発生原因を調査した上で行います。
反りの浮きに伴うヒビであればビス止めを同時に行います。

ヒビ幅が0.5mm以下であれば充填材による補修が一般的です。

樹脂をヒビに埋込

塗装外壁と基本は同じです。
充填する材料が異なるなど違いはありますが、被膜法や注入法で補修します。

0.5mm以上の場合は、ボードの交換が良いのでしょうが、費用の問題もあり注入法や充填法により修繕されます。

充填法と工程は一緒です。

サイディング外壁もコンクリート同様に素材そのものの耐久性はありますが、水や寒暖差には弱く表面を塗装することで劣化を防止しています。

劣化は反り、浮き、ヒビ、割れと進み、その修繕方法はヒビの幅によって異なり、軽微なヒビであれば被覆法、注入法、大きなヒビや割れには充填法が使用されます。
サイディングはコンクリート違ってボードの交換ができる点は便利です。
デザインが豊富でマンションに個性を与える重要な方法です。

次回はタイル外壁(サイディング)の直張り工法の反り、浮きの修繕について説明します。(アンカーピンニングエポキシ樹脂工法など)


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