見出し画像

040‐滅失による建替え議決のルールについて(2)

問題

040-住居用マンションが災害により大規模滅失が起き、建替え議決を行う際、再建するマンションの用途を居住者が住む複合用途マンションとして議決を行うことが出来るか。
1、できる
2、できない
3、わからない

解答

解説

再建時の敷地の考え方

建替え議決62条1項では、建替える建物が存在する場所について次のように定めています。

「当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する」

管理組合が管理をしていた敷地に建替え建築物を建てることはできると定めています。

次に、滅失した躯体の解体等に時間がかかるため、現在所有する土地とは異なる土地を購入、そこに新しいマンションを建てることは認めていません。

購入する土地は現在の敷地に隣接している必要はない

しかし、上記のような場合でも現在の敷地の一部を含む土地にマンションを再建する場合はできるとしています。

覚えるポイントは建替える際は、以前の敷地の一部を含むこと。
これだけです。

(建替え決議)
第六十二条 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

区分所有法62条1項

再建後の用途について

次に再建した建物の用途について考えてみましょう。
再建をする時は、再建費用(自己負担)が必要になるケースが多くありますが、実は実態調査では再建時の費用負担がない割合も6割弱程度あります。(驚きですがこれは事実・・被災マンション再建の実態調査

この理由は容積率の優遇措置や旧建物より高さが高いマンションを建て、部屋数を増やすことでこれをデベロッパーが売却、その資金で再建するケースがほとんどです。(例えば等価交換方式など)

このように建替えにはいろいろな手法があることを覚えておきましょう。

では、再建するマンションの用途について考えます。
区分所有法62条では用途に関する制限の記載がありません。
居住専用マンションを同じように居住専用マンションとして建替えることはもちろんですが、商業施設を含む複合型マンションに建替えることもできます。

今回の設問は建替え後のマンションの用途についての質問でしたが、複合型マンションとして再建することもできるが正解になります。

62条のまとめ

区分所有法62条は「建替え議決」について定めています。
議決に至るまでの手続きが定められている条文です。

前章で説明した内容と併せて次のことをしっかりと頭に入れてください。

1、建替え議決は議決日の2ヶ月までに開催通知の発送が必要。
2、開催通知には組合員が建替えを決断するための2種類(8項目)の資料を記載する必要。
3、開催通知に記載した内容を議決日の1ヶ月前に説明する機会を設置することが必要。
4、これらの期間は規約で伸ばすことができる
5、議決には区分所有者数、議決権の4/5以上の賛成が必要。
6、議事録には賛否の結果を個人名(部屋番号)で記録することが必要。
7、マンションを離れる被災者もいるため、開催通知は、マンション内に掲示することで発送と同等の効果がある。(ただし、規約にその旨を定めることが必要)
8、再建時のルールとして、区分所有者が所有する土地の一部を含むことが必要。
9、再建する際のマンションの用途は自由に決めることが出来る。(居住用がない建物(区分所有がない)については建替えではなく敷地の売却となる)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?