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005-原始規約の改定、有効についての質問の答えと解説

原始規約の質問

原始規約に関する質問を2問出題しました。

質問1
原始規約は公正証書にした後、作成者は何度でも変更することができますが作成者が変更できなくなるのはいつですか。 次の選択肢か選びなさい。
1、マンションの登記登録まで(1.0%)
2、分譲開始まで(16.7%)
3、管理組合が自然発生するまで(83.3%)
4、最初の総会が開催されるまで(0.0%)
()は回答率です。

答え

質問2
マンションを竣工した事業者は原始規約を作成、公正証書にしますが、原始規約が有効になるのは公正証書として作成した段階である。これは正解ですか。
原始規約と管理規約の違いを理解することで分離処分の禁止など皆さんが苦手なことが理解できます。
1、正しい(20.0%)
2、正しくない(80.0%)
3、わからない(0.0%)
()は回答率です。

答え

解説

原始規約は公正証書で作成されることが一般的ですが、なぜ公正証書にするのでしょうか。

公正証書で定める目的はその証明力になります。
公正証書は、国の機関である公証人がその権限に基づき、厳格な手続きを踏まえて作成することで公文書です。
民事裁判の場に公正証書を証拠として持ち出した場合、裁判官は直ちにこれを拠証として採用できることになっています。

このように強い証明力のある証書にする理由は、定める内容が、マンションを購入する区分所有者の権利に大きく影響するためです。

区分所有法 第32条(公正証書による規約の設定)
 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第4条第2項、第5条第1項並びに第22条第1項ただし書及び第2項ただし書(これらの規定を同条第3項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。

区分所有法32条

 その4つとは以下の通り
・規約共用部分
・規約敷地
・専有部分と敷地利用権とを分離して処分できるとの定め
・敷地の持分

非常に重要な権利関係、管理共用部分、管理敷地、敷地の持分と分離処分が可能な物件であればここに定められます。

デベロッパー(建設会社)が分譲マンションを登記するのはいつか?
宅建士を目指す人であればお分かりですが、柱、壁や屋根が完成すると建物と認められるため権利を確保するとために躯体の表題部登録をします。
この時、法定共用部分以外で共用部分と定める部分、同様に規約敷地があれば定めることになります。

更に土地と配置や土地の所有権の関係で専有部分と敷地利用権とを分離して処分できる建物であればその旨を定めます。(長屋構造のマンション)

敷地の持分ですが、敷地利用権の持分と考えて良いです。
全専有部分の面積の合計に対する戸々の割合です。

以上に様に今後購入する人にとっては、権利に関する重要な事柄を決定するため、購入後にトラブルが発生しないように公正証書に定めることができるとされています。(ただし、必ず定める必要はなく、原始規約がないマンションも多数あります、あくまでもトラブルを未然に防ぐために設定します。)

原始規約の設定時は個人の所有物
建設中のマンションは個人(法人)の所有物です。
物件は区分所有物件ではありません。
個人の所有物であれば、いずれ販売した時の権利関係を定めた原始規約を自由に何度でも変更することできるわけです。
*実際、設計図(建築確認時の図面)と竣工図の共用部分面積や専有部分面性が一致しないことがほとんどです。
*カタログは設計図を元に作成されますが、規約は原始規約を元に作成されるため違うことはよくあります。

原始規約が有効になる時とは
原始規約が権利関係を定めていることより、単独所有から共同所有になる時、原始規約の改定は単独所有者だけでは出来なくなります。
共同所有の物権の民法を考えると判るはずです。

単独所有から共同所有になる時とがいつかと言えば最初に専有部分を誰かが購入した時であり、その瞬間に区分所有法3条に定めるマンション管理組合が自然発生した時になります。
これ以降、原始規約は組合の権利関係を定めた証拠として、デベロッパーが単独で変更することが出来なくなります。

と言う訳で質問1の正解は「3」となります。

原始規約が有効になる時は、デベロッパーが単独で変更ができなくなり管理組合の権利関係が確定するマンション管理組合が自然発生した時になります。

と言う訳で質問1の正解は「2」となります。

原始規約が誰が何の目的で作成するかを理解すれば、出題内容が代わっても理解ができます。
マンション管理士の試験に求められることはそういうことです。




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