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分譲マンション管理組合の監事って何するの?(4)辞任手続き

監事が辞任を申し入れる方法

体調不良や理事長との人間関係に疲弊してしまった監事がその職を辞めたいと言う相談は意外にもそれなりの数、当事務所にも寄せられています。

人間関係には相性があります。

どちらが良い悪いを検証してもあまり良い結果にはならないと言うのがこれまでの経験です。

生活に支障が出るほど負担になっているのではあればその職を一度、辞職することを検討すべきです。

輪番制とは言え組合員から選ばれた以上、全うしたいと思う気持ちが強い責任感のある方に多く見られます。

「マンション管理組合の職をそこまで重責と考えなくても良いですよ」とお話ししてもなかなか心の中の重荷は消えないようです。

「監事の職を辞められたらどうですか?」とお話しすると「えっ、辞められるんですか」と一瞬の驚きとホッとされる表情をされます。

今回のテーマは監事(理事も同じ)を辞める方法についてです。 

辞任の意向を伝える

辞任の意向は理事長に申入れます。

この時、書面で申入れることが重要です。

言葉では「聞いていない」と言われればそれまでです。

理事会に出席して意向を示しても良いですが、体調不良であればそこまでする必要はないでしょう。(説得されたり留任をお願いされると厄介です。)

とにかく、心の負担を軽くして体調を戻すことを一番に考えてください。

マンションを買ったのは家族で幸せに暮らすためのはずです。

それが理事会等の役職で心や体に支障をきたすことは本末転倒です。

まずは辞任の意志を書面で伝える、それだけで終了します。

後任が決まるまでは業務を行う必要性は?

監事や理事は委任契約による契約です。

契約の解除権があるため、相手(この場合は管理組合)にそれを認めないことできません。

*総会の合意は必要ないことは覚えておきましょう。

解任(辞めさせるため)には任命者である総会の普通議決が必要です。

その違いは間違えないでおきましょう。

辞任の意志を聞いた理事会は、辞任によって管理組合が損失を受けたとすれば損害賠償請求が可能ですが、「やむを得ない事情」に該当する相手に損害賠償を求めても認められるとは思えません。

気になることとして後任者が決まるまでの業務についてです。

一般的には、自己都合で辞職する場合は後任者が決まるまで継続することが求められるとされます。

しかし、「やむを得ない事情」で特に病気が原因であればそれも難しいと考えるのが一般的ではないでしょうか。

再委任の可能性

体調不良等の病気による辞任の時に本人(監事)が代わりの人にお願いすることも考えられます。

例えば、配偶者や同居する家族、他の区分所有者などが該当します。(ただし、規約に役員等の資格に定めがある場合)

ただし、委任契約の再委任は原則禁止されていますが、受任者(管理組合)が再委任を認めれば再委任は可能です。

理事・監事の欠格要件に該当する場合はできませんが、それ以外であれば規約の変更により、本人の配偶者や同居する家族や他の区分所有者(居住の条件も含めて)、またマンション管理の専門家への委任も可能にする定めができることは覚えておきましょう。

精神を病む必要はない

監事の辞任についてお話ししました。

「監事なんてやりたくない」と言った利己的な理由以外は認められませんが、病気等が理由であれば仕方がありません。

特に役員に就任したことで精神を病むまでのプレッシャーや人間関係に不信がある場合には辞任を考えてください。

もともと、委任契約は無償が原則で委任者と受任者の信頼関係があることを前提にした契約です。

規約で定められていますが、委任契約書も総会議事録程度です。

理事会は総会の委任を受けた理事で構成される組織であり、理事会内、あるいは監事を含めた役員間で不信がある場合は委任契約自体が成立しない状況にあるとも考えられます。(解釈は色々あると思いますが、専門家ではない私でも委任契約の根本になる信頼関係は理解できます。)

その影響で心身に支障をきたすに至っているのであれば、職を辞することも有効な手立てです。

もちろん、組合に多少の迷惑をかけることは確かですが、身体を守ることに勝るとは思えません。

是非、ひとつの解決策として知っておいてください。

次回は理事や監事の急な辞任(引越しを含めた)が起きた時の理事会の対応方法について説明します。

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