見出し画像

027-占有者を正しく理解しましょう

問題

規約の定めがあるマンション管理組合に居住する者で規約を守る義務がある者は次の中に幾つあるか。
1、区分所有者の家族
2、賃借人の家族
3、無権占有者
4、違法占有者の家族

解答

解説

分譲マンションを購入すると分譲会社から○○マンション管理規約が配布されます。
同時に規約を守ることへの承諾書の提出も行われることが一般的です。
「規約承諾書」と言います。(名称は異なることもあります。)
これにより、区分所有者は管理規約の定めるルールに従う義務を負うことになります。
このあたりのことは管理業務主任者やマンション管理士を目指す人なら当然の知識だと思います。

区分所有者の家族

区分所有者の家族はどうでしょうか。
旦那さんAが区分所有者、奥さんB、こどもCの家族を例に考えてみましょう。

奧さんB、こどもCは区分所有法では占有者になります。(区分所有法、6条3項に規定)

(区分所有者の権利義務等)
第六条
 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。
 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。

区分所有法

さらに標準管理規約で区分所有者の家族について次のように定めています。

(規約及び総会の決議の遵守義務)
第3条 区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会 の決議を誠実に遵守しなければならない。
2 区分所有者は、同居する者に対してこの規約及び総会の決議を遵守させ なければならない。

標準管理規約3条

同居する人の規約や総会の議決を守らせる義務は区分所有者あるとしています。

そもそも占有者って何?

不動産を自分の物のように使用している者のこと
(自分の所有物ではないことが前提です。)
「占有」とは、事実上その不動産を支配している状態のことを指します。
奧さんやこどもは所有権を持つ旦那さんの家族ですが、不動産を所有する権利はありません。
専有部分を自由に使えますが、民法上では所有権の権利を持たない以上、占有者になります。
権利のある旦那さんの家族だから有権占有者(正当な権利に基いている占有者)とでも呼びましょう。・・・この法律用語はありません。

奥さんBとこどもCが占有者とわかれば、区分所有法6条1項にある「区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」の対象になることがわかります。

その上、標準管理規約では次のように定めています。

第5条 この規約及び総会の決議は、区分所有者の包括承継人及び特定承継 人に対しても、その効力を有する。
占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会 の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

標準管理規約

区分所有者の家族が規約や総会の議決に従う必要が理解できたはずです。
では、区分所有者が貸出す部屋に入居する賃借人はどうでしょうか。

賃借人は占有者ですか?

区分所有法には賃借人に関する定めはありませんが、標準管理規約に次のように定めがあります。

(専有部分の貸与)
第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この 規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及 び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相 手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組 合に提出させなければならない。

標準管理規約19条

ポイントは賃借人にルールを守らせる義務は区分所有者(賃貸人)にあることです。
そのため、誓約書を組合に提出させることを義務化しています。
占有者の概念からすれば賃借人、その家族、同居人も占有者になります。
賃貸借契約に基づいて占有している以上、有権占有者(正当な権利に基いている占有者)とでも呼びましょう。・・・この法律用語はありません。

無権占有者とは

不動産を占有する時は占有する理由が重要になります。
賃借人は賃貸借契約に基づく占有者ですが、権利がないのに不動産を占有している人を無権占有者と言います。
では、無権占有者は規約や総会の議決を守らせる義務はあるのでしょうか。

占有者の定義を思い出してください。
不動産を自分の所有物の様に使用する人のことです。
占有する権利があるかないかは定めていません。
区分所有法、標準管理規約でも有権、無権を区別していませんよね。
管理組合のあるマンションに居住する以上、区分所有法6条3項は適用されると考えるべきです。

(区分所有者の権利義務等)
第六条
 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。
 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。

違法占有者の家族は

無権でも違法でも占有者に区別はありません。
当然、家族も占有者に含まれます。

占有者の定義をきちんと理解しておけば、無権、違法などの形容詞がついても無視して考えられます。
無権や違法は専有部分の所有者にとっての契約状態であり、管理組合として占有であることには違いはありません。
あくまでも管理組合は共用部分の保存、管理をするための組織です。
占有者はルールを守る義務が区分所有法6条で定められています。
だって、見た目で無権占有者とか違法占有者の区別はつきませんよね。

共有部分を占拠しているような違法占拠者は、占有者ではなく占拠者として対処することになります。(例えば不法侵入とか別な法律です。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?