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登-06 登記登録ができる権利を学ぶ(民法の物権を理解する)

不動産登記法は民法であることは説明しました。
登記登録ができる権利を理解するためには、民法の権利を少し勉強する必要があります。

民法は5つの編から構成

  • 総則

  • 物権

  • 債券

  • 家族

  • 相続

どの項目も試験に出題されますが、不動産登記法はこの中の物権の記録に関わる法律になります。

物権は10個ある

物権は10章あり、各権利について細かく決まりが定めてあります。

  1. 総則

  2. 占有権

  3. 所有権

  4. 地上権

  5. 永小作権

  6. 地役権

  7. 入会権

  8. 留置権

  9. 先取特権

  10. 質権

  11. 抵当権

試験では各年度、この権利の中から数問が出題されています。
総則を除くと権利は10個。
みんなが大嫌いな民法はこんなにもたくさんあることは理解しておきましょう。

物権とは何か

解説書では「直接的に排他的に自由に使用する権利のこと」と記載されています。
自分が持っている者は自分の自由に使うこと、譲渡すること、廃棄することができると言う意味だと思います。
先程の10個の物権は、権利の中身が異なるようで大きく2つに分類することができます。

民法の物権の構成
入会権は今回は含めていません。
入会権は用益物権に分類されます。

制限物権

占有権、所有権は直接的に排他的に物を自由に使用する権利です。
第三者に意志に関わらず、本人が用途・用法、譲渡を自由に決めることができる権利です。

それ以外の権利は制限物権と言われます。
これは占有者、所有者がいる物件に制限を定めるための権利になります。
地上権は「家を建て住むための権利」、永小作権は「りんごを育てるための権利」、地役権は「道を利用するための権利」のように一定の目的のために所有者の物権を制限(契約者に使用を許可する)する権利です。

制限物権は2つに分類される

制限物権は用益物権と担保物権に区分することができます。
地上権、永小作権、地役権はいずれも物件から利益を得ることを目的にする権利で、そのため用益物権と言われます。

これに対して、留置権、先取物権、質権、抵当権は債務に対して所有権にある用途・用法・譲渡等の処分を制限する法律になります。
そのため担保物権と言われます。

担保物件はさらに2つに分類できる

担保物件はさらに法定と約定に分類できます。
法定担保物権は、契約等で定めなくても元々法律で決まられている物権です。
これに対して約定担保物件は債権債務者間で事前に取決めることで有効になる物権になります。

物権は民法以外にも定められている

代表的な例では借地借家法の「賃借権」、採掘法の「採石権」、漁業法の「漁業権」などがあります。
これも皆さんは嫌と言うほど勉強したと思いますが、各法律で定めてた事項はその法律が優先しますが、定められていない場合は民法によって決められます。

このように物権には民法で定めた物権とそれ以外の法律で定められた物権が存在します。

なぜ物権の10個を覚えるのか?

先取特権、留置権は法定物権です。
債務者債権者がわざわざ契約書を交わす必要がありません。
債務返済が不履行になった段階で、裁判所に差押えができる権利です。

このように分類された物権はそれぞれ特徴が似ています。
理屈から覚えると民法の難解な出題文にも柔軟に対応することができます。
民法は相互の関係を少し変えるだけで答えを変えることができる厄介な法律です。
すべてのパターンを網羅する勉強方法は、時間を使うばかりで正解率を上げることは難しく、権利そのもの特徴を覚えるしかありません。
そのひとつの目印になるのが「分類分け」です。

登記が出来る物権は何?

では、本題の登記が出来る権利についてです。
所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権が民法で登録できる物件です。
民法以外では賃借権(借地借家法)、採石権(採掘法)がありますが、試験の対象なる権利は民法の物権と賃借権と覚えます。

占有権、留置権は異質な権利

物権の中で登記が出来ないのは占有権、留置権です。
この二つの権利は、物権の中でも異質な権利です。
物を占有している(所有権に基づかない)事実があれば主張できる権利です。
「代々家の土地だと言われている。事実、所有者として自由に使っている。」と言う場合に占有権があります。(法的根拠があるなしに関わらず)
留置権は債務の履行を目的に返還されるまでは手元に置く(留める)権利です。
留置している事実があれば主張できる権利です。

この2つの権利は、契約に基づかない事実に基づく権利と覚えると良いでしょう。

使用権や利用権は民法の物権にはない

いかにも民法の物権にありそうな権利ですが、使用権や利用権は民法上の物権ではありません。
物権を定めることで使用することができる権利になるため、物権を定めれば使用権や利用権は同時に発生すると考えれば理解しやすいと思います。
また、利用権は会員権にも含まれます。
「会員権の権利を利用して施設を使う」と言った使い方をします。

不動産登記ができる権利をただ暗記するより、民法を理解しながら覚えると他の問題を解くとき非常に役立ちます。





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