CAの鬼門!「お茶こぼし」
皆様、こんにちは。お局CAのYumeです!今日は私の初のお茶こぼし大事件についてお話させてください。
機内ではお茶に限らず飲み物をこぼしてしまうことを総じて【お茶こぼし】と呼んでいました。
白いジャケットにオレンジジュースが。。。
ロサンゼルス行きの便エコノミークラスでのこと。お客様からオレンジジュースのリクエストがありました。一食目のサービス終えたキャビンでは映画の上映中、照明を落としほぼ真っ暗な状態でした。
「お待たせいたしました。」
オレンジジュースをお渡ししようとしたその瞬間でした。ジュースを受け取ろうとしたお客様の手がカップと衝突!お客様の着ていた白いジャケットにオレンジジュースが溢れてしまいました。
「あー!やってしまった!お茶こぼしだ!」
自分の血の気がひいていくのがわかりました。
まずはお客様にお詫びをしました。そしてすぐにエコノミークラスのパーサに報告です。
機内ではCAのTOPにチーフパーサー、次に各クラス(ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラス)のトップにクラスのパーサー、そして各クラスに下々のCAが配置します。下々のCAが各クラス内で何かインシデントを発生させれば、先ずはクラスのパーサーに報告します。
エコノミーパーサーの先輩CAはとても落ち着いて、私にこう言ってくれました。
「熱いものではなかったので火傷などの心配が無くてよかったわ。果汁はあとあとまで染みになりやすいものだから、拭き取らせていたいだくようお客様にお伝えしましょう。」
私はすぐにお客様にパーサーの指示の通りお伝えしました。
「大丈夫よ!気にしないで!」と、お客様。幸いあまりご立腹の様子もなかったのです。
「後からシミが酷くなってしまうことが考えられますので、よろしければジャケットをお預かりして拭き取らせていただけないでしょうか。」
お客様にご了承いただき、私は自分の休憩返上で必死に拭き取りました。
果汁は炭酸水でシミ抜き&コーヒーポットでアイロン・・・のはずが!
私がシミ抜きをしている間パーサーはお客様へお詫びをし、チーフパーサーへ連絡をしてくださいました。報告を受けたチーフパーサーは、お客様の様子を見に行ったあと、ギャレーで必死に染み抜きする私にアドバイスをくれました。
「私も昔経験あるのよ。今回は冷たいお飲み物だったので、お客様に火傷がなくて本当によかった。
果汁は炭酸水で染み抜きすると効果的よ。白いギャレークロスを下に敷いて、そこへ服のシミを移動させるようにトントン叩くとよいわ。
その後、コーヒーポットにお湯を入れてアイロン代わりにするとすぐ乾くわ。」
叱られるものとばかり思っていた私はチーフパーサーの言葉に救われる思いでした。エコノミーのパーサーの方もこのチーフパーサーの方もとても優しく対応してくれて、いつか私もこんなCAになりたい!と強く感じたことは今でも忘れられません。
さて、チーフパーサーの的確なアドバイスでシミ抜きが終わったと思われたその時でした。
なんと!コーヒーポットの底にコーヒーの汚れが付いていて、その底をアイロン代わりにジャケットに圧しつけたため、今度はジャケットにうっすらコーヒーがついてしまったのです。
私は自分の注意を欠いた行動に、不甲斐ない思いでいっぱいになりました。
再びチーフパーサーのアドバイスを頂き、今度は中性洗剤を少し染み込ませてコーヒーのシミを抜きとりました。
必死のシミ抜きの結果、なんとか二食目の朝食サービス前までにはお客様にジャケットをお返しすることができました。
ロサンゼルス到着直前、お客様がパスコールで私を呼んでこう仰いました。
「私も不注意に手を出してしまったのに、一生懸命染み抜きしてくれてありがとう。おかげですっかりきれいになったわ。
いろいろありがとう。これ、うちで作ってるお煎餅、ホテルで食べてね。」
そう言ってお菓子の包みを渡してくださったのです。
本当に血の気のひくようなお茶こぼしでしたが、その対応について先輩方から適切なアドバイスを受け必死に対応した結果、お客様にこんな嬉しい声かけをいただきいたのです。
今回のフライトで、報連相のプロセスやチームワークの重要性など本当に多くを学びました。もちろん!その後お茶こぼしをしないように、細心の注意を払うようになったことは言うまでもありません。
今度は私にも「オーマイガーのお茶こぼし」
この話にはオマケがあります。
滞在先のロサンゼルスの有名な某カフェで、私はアップルパイのアイスクリーム添えをオーダーしました。
女性の店員さんが得意気な表情でプレートを運んできた時でした。私の皮のジャケットにそのアイスクリームを落としてしまう!という事態がおこったのです。
今度は私がお茶こぼしを受ける番だったのかも・・・。彼女も機内で教わった対応をしてくれるかしら?そう思ったのも束の間、
彼女は「オーマイガー!エクスキューズミー!」
そう言って爆笑しているではありませんか!
お国柄?お茶こぼしで爆笑?????まさかの対応に自らアイスクリームを拭きとる自分がいました。もはやお茶こぼし対応の達人(泣)。
本当にいろいろな【お茶こぼし対応】を体験したロサンゼルス便でした。
今でも飲み物こぼしを【お茶こぼし】と言ってしまう癖が抜けない元CAは多いのではないでしょうか?
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