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「9つのパン」で、未だに尾を引く失敗談

こんにちは。お局CAのKOUです。今日は、彼女はANA CAの同期の中でも、いつも頂点を目指している「チーフパーサー王」と呼ばれる人のお話をします。

それは、たった9つのパンで 地獄を見た話、です。

その日も彼女はチーフパーサーとして乗務していました。お客様が搭乗し終わってドアが閉まった後に、何やら地上係員がドアの外側の窓から、パンを持ってアピールしています。どうやら、お客様にお配りする朝食のパンが不足していて、それを積み残したままドアクローズしてしまった様子です。

チーフパーサー王は、大慌てて直ぐコックピットのキャプテンに連絡したところ、「もう一度ドア開けてもいいよ」と言ってもらい一安心です。

ドアを開けると、ひたすら謝っている地上係員から9個のパンを受け取って、再びドアクローズをしました。その後は順調なフライトで、数分遅れで羽田空港に着陸しました。今日も一日めでたしめでたし、のはずだったのですが。。。

ここから地獄の始まりです・・・。
フライトを終え、客室本部に戻ると上司から呼び出されたチーフパーサー王。上司からは、
「たった9個のパンのせいで到着時刻が遅れてしまったではないか!同じ空港から同じ時刻に出発したJALは定時に到着しているのに!だいたい、朝は寝ているお客様が多いんだから、9個のパンの不足があってもどうにかなっただろう。チーフパーサーとして定時性を優先する意識が必要だ!」と、それはそれはお叱りを受け、この件について反省文を書けとのお達しがありました。

しかもその反省文は、「インシデント(大事になったかもしれない出来事)レポート」という正式な文書として書くようにとのことでした。こうやってこの事例は、後々までCAたちへ引継がれることになり、彼女は一躍有名人になりました。「チーフパーサー王」はこんなことで頂点を目指していたわけではないはずですが、結果この悔しさはその後の彼女の活躍につながっていくんです。失敗談は人を奮起させるものですね。

さて、その後「チーフパーサー王」はCAを退職した今でも、同期会で「9」という数字が出ると、ネタにされ続けています(笑)。そういえば「9」は「苦」と言われたりしますが、まさに彼女にとってはそんな数字でしょうか(ごめんなさい)。

でも考え方次第で捉え方は変わります。「9」は一桁の数字で最大であることから完成、完結などの頂点を意味するなんて聞いたことがあります。さすが「チーフパーサー王」!(フォローOK)

それにしても、航空会社の定時性の意識の高さには改めて素晴らしかったな〜と思います。そういえばANAは「定時性キャンペーン」とかをよく実施していて、会社を上げて、1分の遅れも出さない取り組みをしていました。これって地上係員、整備員、CA、キャプテン全部門が取り組まないと成り立たないんですよね〜。


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