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一番下のCAのぺイワーク~出発前編~

こんにちは。お局CAのツッキーです。むか~し昔(平成時代)、一番下のCAはしなければならないことが沢山ありました。これを下の仕事(ぺイワーク)と呼んでいました。今はきっと先輩達も分業してくれているのではないかと期待します。ちょっと当時のマニュアルな時代のぺイワークをご紹介しますね。(当時の自分を誉めてあげたい~。)

出社してから真っ先にボードをキープ

一番下のCAが出社して一番大慌てなのが、出発前のプリブリーフィングの準備です。先ずは乗務する飛行機と同じ機種の平面図が描かれた、1.5メートルほどの大きな机のようなボードを確保します。このボードは、飛行機の種類別になっていて数が限られています。万が一他のクルーに自分たちが使用する飛行機のボードを取られて自分たちのブリーフィング時にボードがない!!なんてことになったら、そのフライトでのあなたの評価は地に落ちてしまったのと同じこと。フライト中肩身の狭い思いをします(私は経験者。。。)。

だからと言って、制服に着替える前にカバンなどでボードをキープすると、これまた「着替えてからにしてください!」と叱られます。あまり早くキープしすぎるのもNGなのです。(でも、時間帯によっては、ホントにすぐボードがなくなるんだから。。。朝7時台の出発便とか、大変なんだから。。。)

「あなたとは乗務できません!」・・・

ボードを確保したら、各ポジション(CAはドアに配置されそれをポジションと呼びます)ごとに非常用装備品という消火器や救急箱など緊急時に使用するアイテムの絵が描いたコマを並べます。それは双六のコマのようなものですが、双六を始める時のようなワクワク感はなく、緊張感で吐きそうになるんです(他の人はわかりませんが、私はそうでした)。

今はipadが各CAに貸与されたりIT化が進み、すぐにポジションの非常用装備品を確認できるので、こんなアナログなことはしていないと思いますが、当時は出発前にこのボードで自分の担当装備品を確認するということをしていました。そして、チーフパーサーによっては自分のポジションの装備品を暗記していないと、「あなたとは乗務できません!」と言われ、辛い思いをします(これも私は経験者。。。)。ですから、私のような物覚えが悪いCAはポジションが決まったらすぐに、自分の装備品をブツブツと唱える作業があります(泣ける~)。

30センチの厚みのマニュアルを持参

余談ですが、現在のipadのマニュアル化は別の意味でも羨ましい限りです。当時のCAはその日乗務する飛行機ごとに10センチくらいの厚みがある機種別マニュアルを持参しなければなりません。国内線など、途中で飛行機の機種が変わると2種類の10センチマニュアル(すでに20センチです!)を持参します。更に、ステイなどでステイ明けの次の日に別な機種に乗務するとなれば、2日目乗務分のもう1種類のマニュアル(ここでもはや厚みが30センチです~)を、持参するわけです。荷物が上手くまとめられない不器用なCA(これも私。。。)は本当に哀れなことになってしまいます。

手書きのアロケーションチャート

さて話を戻しまして、一番下のCAの2つ目の出発前の大変な仕事は、アロケーションチャートと言って、クルーをセニョリティ(当時は役職・入社年度の職位)順に名前とセニョリティを手書きで書く作業です。出発前のプリブリーフィングでは、各CAの飛行機のポジションをチーフパーサーが決めます。そしてブリーフィングとの時に、このアロケーションチャートにポジションを書き込んでいきます。

紙は複写式になっていて、記入後各クラスのパーサーにそれぞれ配布します。各クラスのパーサーはこれで自分のクラスのCAを確認できるわけです。その他の平(ひら)CAはこのアロケーションチャートをもらえないので、自分で他の人のポジションをメモします。

当時一番多いCA数は、国内線で12名、国際線で18名でした。このアロケーションチャートを手書きで10名くらい書いたあたりで、お名前やセニョリティを間違えた時には、当然新しい紙に書き直しです。せっかくここまで書いたのに。。。と、ガックリです。

10名超えると変な汗が・・・

そして何故かこの10名超えたところで間違ってしまうんですよね~。毎回10名超えたところから、手が震え、変な汗が出始めます。もはや呼吸も苦しくなります。この記事は間違ったらすぐに直せますね。天国のようです。何度も恐縮ですが、当時の自分を誉めてあげたい~。

まあ、これを乗り越えてプリブリーフィングにたどり着くわけですが、これまたたま~にチーフパーサーが、ポジションを間違えちゃって「これ書き直して~」とかおっしゃる方がいるんです。「2重線で直せばいいんじゃないですか?」なんて言えません。

ペイワーク大変だったな~と思い返し、まだまだ沢山あることに気付きました。そこで今回は~出発前編~と題しましたので、また続きを書きます~。何だか書いていて当時は大変だったわ~というより、よく頑張った私って偉いわ!とか、とても懐かしく良い思い出です。辛い話が笑って話せるって大切ですよね~。

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