マガジンのカバー画像

BluebeeTC | 短編小説集|雑多版

52
ランダムにその日思いついた文章を投稿しています。 僕自身は書きながら深刻になりすぎたりしますが、読者さんには、サーと読み流していただいて、面白いと言っていただける方がいれば、良か…
運営しているクリエイター

#短編小説

Milk Tea

「なんで、タロさんは、俺の車の話なんか聞いてくれるんかなぁ」と、ミルさんは言った。 僕らは午後に、紅茶を飲みながら、世間話をしていた。 ほんとは珈琲が飲みたかったけど、それはいいとして、ミルさんの行きつけの紅茶の専門店があると言うので来てみたのだ。 「それは僕に興味があるからですよ」と僕はミルさんのつぶやきに答えた。 「興味や言ったって、タロさん車も乗らんでしょう。そやのに、なんで そんな熱心に車の話してくれんるかと。」 ミルさんには、まだわからない。僕がミルさんの

Hermit Crab (ヤドカリ)

「中身はアザラシなんですよって」とヤドさんは言った。 「なるほど、ということは、ヤドさんのいつもの絵文字の中の白い生き物は甲殻類じゃないんですね。」と僕は言った。 「はい、違いますよって」 ヤドさんの声はとても立っている。一つ一つの言葉が聞きやすく、聞いているととても落ち着くのだ。 それでも、向かい合わせで、ヤドさんと座っていると、少しむず痒い感じがする。 「ヤドさんはお仕事何しているんでしたっけ?」と僕は聞いた。 「えーとね、まぁマッサージのお仕事ですね。」

Mug Cups

僕とチエさんは陶芸教室に来ていた。 休日を合わせての陶芸教室、とても気分が良かった。 チエさんと遊ぶのは久しぶりだ。 「タロちゃんは陶芸やってたんだっけ?どこだっけ?」 「滋賀と奈良で陶芸をしてました。と言っても、作品の管理の仕事ですよ。僕の作品を作って売っていたわけではないです。」 チエさんは陶芸をしたことがないと言っていた。いや、どうだったな。近頃頭がフワフワとしている感じがあって、記憶が曖昧なのだ。 「タロちゃんは、最近どうなの?」チエさんはそう言うと、陶芸

High Ace

三日連続の投稿です。近頃、思ったよりたくさんの人が読んでくれるのでうれしいです。今日も書きます。朝方、友達と話しながら、思いついたフィクションです。 介護のお仕事について、お話することもある友達について想像しながら書いた短編小説です。 良ければ一読ください。 _____ 「僕の車は、車椅子リフト付き車椅子の福祉車両だから、点検はしっかりとしないといけないの。」とカネさん言った。 カネさんとは、ふらっと立ち寄った南のバーで知り合った。彼女と別れて傷心で、ダーツでもしなが

Drums

昨日の投稿を思ったよりたくさんの人が読んでくれたのでうれしくてまた今日も書きます。仕事終わりに友達と話しながら、思いついたフィクションです。 楽器のドラムについて、お話することもある友達について想像しながら書いた短編小説です。 良ければ一読ください。 _____ 僕らには、共通の話題がたくさんある。 僕とこうちゃんは、友達としての歴は短いけれど、それぞれの会話を楽しむだけの共通認識がある。 共通認識ってのは、つまり、こうちゃんとだから「できた」ことであって、他人と簡