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今回の短編は、引っ越しとガスの開通をしながら思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ ドーム上海へ引っ越してきたのは6月の1週目だったと思う。 仲介業者から部屋の鍵をもらい忘れていて、3時間も大家さんを待ち続けた。 携帯の充電は電話連絡という方法を思いつく前になくなった。 タイミンが悪かったのだ。 大家さんによると、こんな天気の悪い日にわざわざ越してくるなんて想像もしてなかったという。 「今時、携帯も持っていないなんて、あんた変ね」と
今回の短編は、彼女とライブに行ってみたいなと思いながら書いたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 彼女とライブに来たのは初めてだった。 僕は昼を過ぎたばかりだというのにビールを片手に列に並んでいた。 6月8日、気温は28度。じめじめとした空気に僕はかなり嫌気がさしていた。 僕は彼女の列に並ぶことへの真剣さに少し驚いていた。 この人の列には幸福人とと不幸な人がいると、僕は思った。 こと、右斜め前に立ち空を仰ぐ若者など、表し難いほど苦い顔を
今回の短編は、梅雨入りのニュースを見ていて思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ MTGの合間の休憩時間に、手持無沙汰なA氏が私をランチに誘ってきた。 「どこから説明しようか。 私たちに必要なのはいかにして雨に対抗するか、あるいは、あり得ないが、打ち負かす術ではない。 雨に関しては降っているか降っていないかも個人差があるということなんだ」とA氏が言った。 僕にははっきり言って、A氏がいったい何を言っているのかわからなかった。 だって