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雪解け

 雪は何を思い空から地上へと降るのか。  冬でも降ることが珍しく、積もるのもまた珍しいコンクリートジャングルの中。私は、窓から外を眺めながら、何となく考えていた。その時の雪は本当にしんしんと音が聞こえそうな程に静かで、不気味な綺麗さがあった。  交通網も混乱していて、家の外に出ても仕方ないと雪を眺める口実を作る。本当は変な胸騒ぎがして怖かった。何をしても心ここにあらずで、雪を眺めていても楽しかったとは言えない。食事も程々に寝ようとしたが、眠れず、外の寒さを肌で感じながら、ぼー

    • これまでとこれから

      世界は言葉で溢れている。 言葉の多くは目には見えないが、そこに確かに存在する。多くの人は人の外側に出た言葉を注視しがちだ。しかし、最も言葉が多く存在しているのは人の内側だと私は思う。些細なアイディア、今にも霧散しそうなストーリー、ふつふつと湧き出す想い。忙しい日常生活で、ふと忘れてしまいがちだが、埋もれてしまった言葉たちの多くはいつまでも輝く日を待ち続けてる原石だ。 私たちは表に出し切れていない心の財産を多く持っている。それに氣づいてしまった今、蔑ろにしたくない。 拙い表現に

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