笑いの消費期限(それ、まだ笑える?)

この記事をお読みの方の中に、
ユーモアをお持ちの方は
いらっしゃいませんか?

ウィットや、
エスプリでも構いません。

読者様の中に、
〈笑い〉をとれる方
いらっしゃいませんか?


♪Attention please
◼️自信過剰にご注意ください

ここで「我こそは」
と名乗りを上げる方に、

私は、
(20%)と、羨望(30%)、
疑惑(50%)の入り交じった
眼差しを向ける。

自己肯定感、高くてスゲェな…。
と、感心すると同時に、

ユーモアを伝える相手(=笑わせる相手)
の情報が何もない状況で、
「自分のユーモアは相手に通じる」
と確信できる、自信の信憑性
疑わずにいられない。


日本のお笑い文化に精通している、
自分と同年代の人を笑わせることは、
私でも何とか出来るかもしれない。

流行りのギャグとか、
鉄板ネタを参考に出来るからだ。

しかし、
アフリカのマサイ族や、
アマゾンのヤノマミ族を前にしたら、
何を話すか、という問題以前に、
何語を話せばよいか分からない。
完全にお手上げだ。

では、
英語圏内の相手であれば、
ハリウッド映画を参考に、
笑わせることが出来るだろうか。

いや、下手をすると、私の言動が、
宗教的、人種的なコードに引っ掛かり、
私(の人間性)が大怪我しそうなので、
早々にhold upだ。


つまり、
国籍、言語、宗教など、
相手のバックグラウンド
深い理解(と共感)がなければ、
相手を笑わせることは不可能に近い。

相手のことを全く知らない場合、
自分のユーモアセンスに自信を持つことは、
無謀であると同時に、傲慢でさえある。


♪Attention please
◼️ギャグの賞味期限にご注意ください

日本文化圏外に出た瞬間、
ユーモア(笑い)は、
まず、言語の壁に阻まれ、
次に、文化の網に足をとられる。

では、日本文化圏内であれば、
ユーモア(笑い)のハードルは
下がるのだろうか。

人種宗教の問題がほぼほぼ消失し、
文化などの共通意識がある、
日本人同士であれば、笑いは共有しやすい。

だが、ここでも分断は、ある。


世代(時間)の壁だ。

一昔前、大いにウケたギャグでも、
現役世代には通用しない。

私は、『銀魂』(作者:空知英秋)を
爆笑しながら読めた世代だ。

同作品で使われている
ギャグの(ほとんど全ての)元ネタ
把握していたからだ。

しかし、
それらのギャグの元ネタを知らない世代が、
私同様、爆笑しながら読む、とは思えない。


また、
「何を面白いと見なすのか」
という感覚(笑いのツボ)の違いは、
個人差だけにとどまらない。

笑いのツボは、
時間軸にも大きな影響を受ける。

若い頃、笑えたことが、
年齢を重ねるにつれ、笑えなくなった、
という経験はないだろうか。

「面白い」と感じた記憶はあるが、
「面白い」と感じる感覚が消失する経験だ。

肩パットやワンレン・ボディコンが
完全に過去のものとなったように、
恋愛や結婚における意識が変化したように、
美意識や常識などの全ての感覚は、
時間と共に確実に変化する。


全米が泣いた映画は
定期的に誕生するようだが、
日本の全世代が笑ったギャグは
まだ(おそらく)誕生していない。

全日(日本の全世代)にウケるギャグが
奇跡的に誕生したとしても、
そのギャグの賞味期限(純粋に笑える期間)
儚く、後世には記録としてしか残らない。

そのギャグの「何が、どう面白いか」
という説明(記録)がなければ、
通じない(笑えない)ギャグは、
もはや死んだも同然だろう。


♪Attention please
◼️時代の変化にご注意ください

今、すべての変化がとても急速だ。

常に、新しい物が発見され、
技術が進歩し、生活や制度が変わり、
人間の感覚に影響を与え続ける。

社会常識や人間の価値観は、
おのずと変化する。

過去の映画を観ていると、
作品の時代背景や原作者、
製作者の意図を尊重し、
オリジナルのまま放送します。
という冒頭テロップを
頻繁に見かけるようになった。

ここで、この冒頭テロップは不要では?
と感じる方は、気を付けた方がいい。


冒頭テロップは、
「作品中(過去)の常識や価値観」は、
現在のそれと、そぐわないものになった。

という変化の認識を明示するものであり、

冒頭テロップを表示しないということは、
「作品中(過去)の常識や価値観」を
現在においても肯定する
という意思表示(メッセージ)に繋がる。


今の時代の変化速度は、
過去とは比べ物にはならない。
しかも、その速度は年々加速気味だ。

かつては、
世代を経なければ生まれなかった変化が、
今や、数年単位でやってくるのだ。

唯一無二のユーモア(笑い)のセンス
どんなに輝かしい経歴を築こうとも、
変化を受け入れられない人は、
笑わせる方から、冷笑される方にまわる。
(それでも、「笑い」を提供している
ことに変わりはない、が…)

笑いの消費期限には、
細心の注意が必要なのだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?