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尊敬する人。

本日は私のバースデーでして、ヒト年齢で45歳になりました。しょこたん風に言うとレベル45。ドラクエならラスボスと戦うレベルです。

えぇえぇ、まごうかたなき中年♂です。

「完全に折り返し地点に入ったな」なんて妻と話しながら、内心「やっと折り返し地点なの?」と思ってました。「ただでさえ衰え感じているのに、もう45年も生きなきゃならんの?」と。おかわり45年…、もう恐怖でしかない。

私には“長寿は良いこと”という感覚がありません。

40歳を過ぎた辺りから、白髪が生え始め、少しずつ増え、額の皺も薄らと消えなくなってきました。最近じゃ顔に小さなシミまで出てきて、老眼の気配も感じます。運動不足もあり、お腹の肉もたるみ気味…。

今ですらこんな感じ。しかもここから若返ることって、普通にしていたら有り得ないわけで。

想定される今後。
・見た目の老い加速
・体の動き、反射神経等の衰え
・物忘れが酷くなる
・視野が狭まり、羞恥心が失われる
この辺りはもう確定要素。

人によっては自制心を損ない、抑制が利かないエゴの固まりになる。出来ないことが増え、心に余裕が無くなり、他者への気遣いどころじゃない。自分が生きることで精一杯なのだ。これまで仕事で関わって来たご年配達の多くはそうだった。

勿論、皆が皆そうなわけではない。

私は「尊敬する人は誰ですか」なんて聞かれると当惑してしまうぐらい、人を尊敬しません(尊敬って、所謂横文字のリスペクトとはニュアンスが違いますよね)。どちらかと言うと、関わった多くの大人達を、反面教師として育ってきた。

そんな私でも、カラオケ店で店長をやってた頃に、尊敬していた方がいました。

男性で、年齢は60代半ばだったと思います。

白髪頭で髪は年相応に抜け落ちて寂しく、いつもチェックのキャスケットをかぶっておられました。

いつもお一人様で、好みの部屋があり、毎回予め電話で予約をされます。時間は毎回1時間〜1時間半。ドリンクはホットコーヒーにミルクのみが定番。

入店するとまず帽子を取り、フロントの私達に向かって、柔和な笑顔で「こんにちは」と挨拶をされます。私達も同じように挨拶を返します。

歌うのは演歌です。カラオケ大会に参加させていて、その練習にいらっしゃるのです。

退店される時も、入店時と同じ笑顔で「ありがとうございました」と挨拶をしてくれます。私はいつも、それはこちらの挨拶なんだけどなぁと思いながら、同じように挨拶を返しました。

部屋はいつも綺麗なまま。清掃の必要がない状態で帰られます。

実際歌は本当に上手で、地区の大会で何度も入賞されており、入賞すると決まってお店まで報告に来てくれます。そして「ありがとうございました、いつも良い環境で練習させてくれるおかげです」と仰り、手土産を持参されるのです。

ご年配の常連様の多いお店だったのでいろいろな物(お小遣いも)もらいましたが、これほどお客様から店員の方が感謝されるというのは、もう感動しかありません。バイトの子達と「本当に良い人だよね。我々もああいう風に歳をとらなきゃね」と話していました。

当時私が暮らしていたアパートの近くの病院で、清掃の仕事をされていました。おそらくシルバー人材でしょう。出勤の時にすれ違うことがあり、「おはようございます」と声をかけると「行ってらっしゃい」と言ってくださりました。朝からとても良い気分で仕事に向かうことが出来ました。

謙虚に、良い生き方をしていないと、あの笑顔は出せないだろうな。

どうせもう何十年も生きるなら、誰かに疎まれながら陰口を叩かれて生きるより、「良い人だな、尊敬するな」と思われて生きたい。心の底からそう思わせてくれる人だった。

私は引っ越して、仕事も変えたし、そのカラオケ店はコロナ禍に勝てず(他の事情もあり)、店を閉めた。

もう会うことも無いかも知れないけれど、尊敬する人は?と聞かれたら唯一思い浮かぶのが、その方なのです。

関口さん、元気かなぁ。

コロナ禍も終わったし、カラオケ大会で楽しく歌っていると良いなぁ。

あの優しい笑顔に、いつかまた会いたい。

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