ある日の記憶 -芋虫と味玉-
私はある日、行きつけのスーパーでクッソでかい芋虫を見かけた。
いや、実際にはあれは芋虫などではなかった。そう思っていただけであった。実際は味付け卵だった。
行きつけのスーパーで日常的な買い物をしていたとき、白に限りなく近い茶色の楕円が一列に連なり、真空パックされた商品が目に入った。
体に衝撃を受ける。あれは何だろう。まさか....芋虫?
異常にテンションが上がった。どこにでもあるような街中のスーパーにもとうとう昆虫食が並ぶ時が来たのか?しかもでかい。自分の行きつけのスーパーが大きい虫を調理した食品を売っていると知ったらワクワクが止まらない。何の虫の芋虫(幼虫)だろうか?どこで取れたものだろう?期待しながらそれを手にとりよく見ると―
味付け卵だった。芋虫などではなかった。
私は目が覚めた。芋虫なわけが無いだろう。
日本で流通している食用芋虫について調べたところ、…………………………
一匹の全長は茹でた鶏卵一個に満たない。
これが
私にはこう見えていた
連なった卵が芋虫に見えたのだ。
私は罪悪感と自己嫌悪に苛まされた。
なぜこのような歪んだ認知をしていたのか、自分はでかい芋虫を売っている
奇妙なスーパーに通っているというステータスが欲しかっただけなのかもしれない。ただ単に虫を食べたいだけなら自分で売っているお店を探し現時点スーパーには求める必要はない。つまりはそういうことだ。
そんなくだらない理由で味玉を芋虫と誤認したのである。非常に申し訳ないと思っています。その味玉ですが買って食べてみたところ結構美味しかったです。