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中国映画『海洋天堂』を語る~4/2 世界自閉症啓発デーによせて~

 本日4/2は、国連が定めた「世界自閉症啓発デー」です。今回はその「世界自閉症啓発デー」によせて、自閉症児の母でもある私の視点も含め、中国映画『海洋天堂』の魅力を語ります!

※多少のネタバレを含みますので、ご注意ください<(_ _)>


『海洋天堂』のあらすじ

 妻に先立たれた王心誠は、自閉症を持つ21歳の息子(王大福)とのふたり暮らし。ある日、自分の余命が僅かであることを告げられた王心誠は、大福との心中を試みるが…

中国映画『海洋天堂』とは?

 薛暁路(シュエ・シャオルー)氏が監督・脚本を手掛けた、中国と香港の合作映画です。2010年に中国で公開され、日本では2011年7月に劇場公開されました。

 脚本は、監督の14年間にのぼる自閉症施設でのボランティア経験をもとに書かれたそうです。主人公王心誠役の李連杰(ジェット・リー)氏はその脚本を読んで感動の余り号泣し、なんとノーギャラでの出演を熱望したという逸話も!

見どころ①:当事者家族と支援者の苦悩のリアルさ

 社会のセーフティーネットの脆弱さによって、自閉症当事者やその家族の苦悩、そしてそれを支える支援者が奔走する様子が、とてもリアルに描かれています。
 
 21歳の大福は、自閉症を持ってはいるものの体は至って健康です。当時の中国の社会的擁護の対象である未成年や高齢者ではありません。親亡き後の大福の居場所を探そうと、病を抱えた体に鞭打って乳児院や養老院を駆け回る王心誠の姿には、同じ立場の親として、非常に胸を締め付けられました…

見どころ②:大福役の俳優、文章(ウェン・ジャン)氏の高い演技力

 この作品を語る上で欠かせないのが、自閉症を持つ21歳の青年、王大福を演じた文章(ウェン・ジャン)氏の高い演技力です。

 薛暁路監督の鋭い観察眼を通して書かれた脚本の素晴らしさもさることながら、自閉症児者独特の視線や指の動き、声の抑揚など、自閉症児の親から見ても、文章氏の演技には目を見張るものがありました。作中の彼を見て、思わず一瞬「自閉症の演者がいるのか」と思ってしまった程です。

 彼の演じる大福からは、自閉症児者特有のチャーミングな魅力が醸し出され、重いテーマの作品に不思議な軽やかさすら感じさせます。

見どころ③:美しい映像、音楽、主題歌

 王心誠役の李連杰(ジェット・リー)氏の熱意に動かされ、撮影や音楽にも一流のスタッフが集結しました。

 撮影はアジア映画を中心に活躍する、クリストファー・ドイル氏、劇中の音楽は久石譲氏、そしてエンディング曲は、台湾のスター周杰倫(ジェイ・チョウ)氏などが担当しました。どのシーンの映像や音楽を切り取っても、その全てが美しい作品となっています。

まとめ:『海洋天堂』は、世代も国境も超える名作

 14年も前の作品ながら、「親子の愛」という普遍のテーマを美しく描き、今もなお見る者に感動を与え続けている映画『海洋天堂』。

 日本では本日4/2~4/8を、自閉症を含めた発達障害啓発週間として、様々な啓発イベントが各地で行われる模様です。

 ご興味のある方は、ぜひこの機会に一度『海洋天堂』をご鑑賞ください♪

☆配信での視聴はこちらからも可能です。

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