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可能性をつぶす悪手

最近仕事をしていて思うことについて話してみたいと思います。

電気回路設計という仕事柄、新しい回路を導入したい時がありますが、
その際は電気回路、特にアナログ回路の場合、デジタル回路のように単純なHigh/Lowという信号ではなくアナログ的な電圧や電流で回路を設計していきます。

そこには、部品ばらつきや、使用環境のばらつきなど多くのばらつきが複雑に絡み合って回路としてのばらつき、最終的には製品の性能ばらつきの原因となっていきます。

そのため、ばらつく要因をシミュレーションではなく、肌感覚として覚えるために実際の回路定数を変更して変化を見るという方法をとります。
どの部品が原因でどこがばらつき、最終的な製品の性能ばらつきにどれだけの影響を与える可能性があるのかを調べる非常に泥くさい仕事です。

その場合、必要としている製品の性能を示すパラメータと直接関係のないパラメータについて傾向分析をしていくことも多々あります。

しかしながら、現在している仕事ではその部分の蓄積が全くなく、というより、どこかの段階で技術継承されてこなかったのです。
そのため必要なパラメータの洗い出しをやり直して、新規回路に置き換えようと画策しました。

ところが、トヨタで採用されているDRBFMという手法をやっていく中で、全く知見のない社員が自分の例を挙げ真っ向からその回路を否定するという本来DRBFMではあってはならない手段に出たのです。

その場は、議論持ち越しということで収まりましたが、よくよく考えてみると、そこには必要なパラメータが全くなく、製品での性能ばらつきのデータより導いた結果をもとにパラメータを決めており最終的には失敗して元の方式(今時考えられないボリューム抵抗による製造工程での調整)に戻したのでした。

性能ばらつきの要因となっているパラメータが分かっていないのに回路及び回路定数を決めていたのです。
また、実際にはその社員が実験により導き出したものではなく、製造ラインのデータと別の担当が行ったあたり試験の結果を組み合わせただけのものであることが分かりました。

完全なる悪手です。

私もやる気が失せましたので、明日にでも上長と今後の方向性(仕事を続けるか否かを含めて)話し合うと思っています。
最悪の場合には、派遣解約からの派遣会社退職になると思います。

心臓に罹るストレスを減らし、大動脈弁膜症の手術を延ばすためには致し方ありません。
すでに腹は括りました。

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