EV三輪車のための電気の計算

この記事における三輪車とは側車付軽二輪のことである。つまり、ヘルメットは不要で高速道路も走れて、車検も車庫証明もいらない、後部座席があれば人も乗せられるという大変便利で安上がりな車が、ここで言う三輪車である。
このたび私がEV三輪車「EV BOSCO」を購入するにあたり、今一度、電気の計算をしておきたい。電気に詳しい方は、読み飛ばしていただいて構わない。
なお、私は高校受験の時は5科目で、大学受験も5教科7科目を学んだものの、大学受験は生物・化学で臨んだため、電気の知識はうろ覚えである。この記事は、きちんと調べ直して書いている。

家のコンセントで充電可能とは

私の購入するEV BOSCOは、家庭のコンセントで充電ができる。
家庭のコンセントというものを調べたら、日本の家庭では電圧100Vの電気がコンセントに届いており、一度に1500Wのものまで使うことができるという(タコ足配線は危険なので避けること)。

電圧の単位がボルト(V)であることは良いとしよう。このボルトというのは小学生みたいな言い方をすると、「どれだけビリビリ来るか」を数値化したものである。そう言えば中学生の時に心の中で「電気ヴィリヴィリのV」とつぶやきながら覚えていたなぁ。
人体は電気を通すものの、単三乾電池のプラス極とマイナス極がそれぞれ親指と人差し指に当たるような状態で挟むように持ったところでビリビリ来ない。何かの折に家庭用の電気が人体を通るとすると、せいぜいバチッと痛みが走る程度である。それが静電気になると数千〜数万ボルトにもなるため、爪が割れたり電子機器が壊れたりする。
電圧の圧は、指圧の圧。電気風呂のビリビリは、電気の指圧だから電圧、という感じである。

一方のワット(W)は、「どれだけの仕事を電気が行うことができるか」を示す単位である。ここで言う仕事とは、ライトであればどれだけ明るくできるかであり、電子レンジならどれだけ加熱できるかである。
同じコンビニ弁当でも、家のレンジだと何分間か温めないと食べられないのに、コンビニのレンジだと30秒くらいでアツアツになるというのは、コンビニにある業務用レンジがそれだけパワフルということである。仕事のデキるやつ、といったところだろうか。
さて、今さきほど、パワフルという言葉を使ったが、ワットというのは電気のパワー、すなわち電力を示す単位である。しばしば例えば「ニンニクと生姜のWパワー」なんて表記を見るが、そのWはパワーだと思うと不思議な感じだと中学生の時にこじつけて覚えていたなぁ。

必要な電力量はWhで

私は悲惨なニュースを見たくないという理由から、テレビを断捨離してラジオを愛用しているのだが、テレビを見ていた時は受信料はともかく電気代が高かった。テレビをやめてラジオにしたら、電気代が安くなったことに驚いた。
ちなみに色々とラジオを試したのだが、今の私が愛用しているのはモンベルが出している手回し式のラジオである。仮に充電池がダメになっても自分で充電池を交換できる。この充電池は、家庭用の電話の子機に使われるようなバッテリーなので、普通に電気屋さんで取り扱いがある。
その電気代なのだが、請求書には「これだけ電気を使ったから何円請求します」という具合のことが書かれている。その時の使った電気の量を表す単位がワットアワー(Wh)である。
このWhは、見ての通り電気のパワフルさを表すワットと時間を掛け合わせたものである。先程のコンビニ弁当の例で言えば、家庭用500Wの電子レンジはコンビニの1500Wの電子レンジに比べてパワーが3分の1しかないから、同じだけ温めるには3倍の時間がかかる、ということだ。

実際の車に当てはめて計算する

さて、私の購入するEV BOSCOというEV三輪車は、フル充電に3時間かかる。家庭用のコンセントから供給される電気の量は最大で1500W×3h=4.5kWhとなる。
フル充電で75km走ることができ、最高速度は60km/hであるから、75km÷60km/h=1.25h、つまり1時間15分で4.5kWhを作ることのできるソーラーパネルを積めば、ノンストップで走り続けられる計算になる(ソーラーパネルの重量などは無視しているし、私だってサービスエリアでコーヒーくらい飲みたいが)。
ここから少し混乱しそうではあるがそのようなソーラーパネルとは、4.5kWh÷1.25h=3.6kW、つまり1時間に3.6kWを作ることができるソーラーパネルということになる。

よし、見えてきたぞ。こういうパネルを探して来れば良いんだな。
重たい荷物も積むかもしれないし、場合によっては災害用のバッテリーにでも充電させておけばいいから、とりあえず4kWくらい積んでも良いのかな。余った電気を蓄える災害用のバッテリーは、「背もたれ」にでもできないかな。

ソーラーパネルの電気以外の物理的制約

ところで私の購入するEV BOSCOは、側車付軽二輪というカテゴリの三輪車である。そのため荷台の寸法は1180mm×1160mmしかない。
運転席の頭の上にソーラーパネルがかぶさることは可能なので、1180mmのところは1400mmくらいならセーフだろう。しかし横幅1160mmは守らねばならない。はみ出すわけにはいかない。
そういうサイズで十分な発電量を確保できるのだろうか…。

実はサイズの面で暗雲が立ち込めてきている。さきほどパネル探しの見通しがたったと喜んだかと思えばショボンである。まるでドカベンの漫画に出てくる岩鬼みたいに一喜一憂してしまっている。
そんな一喜一憂はカッコ悪いと思いつつも、仕方ない。電気のことはEVのキモなのだから、1つ1つ丁寧にやっていくしかない。

まとめと次回予告

今回はソーラーパネルの設置に必要な計算をしてみた。ソーラーパネルの重量などを無視すれば、とりあえず3.6kWのソーラーパネルでEV BOSCOは走り続けられる。
この計算は、EVだけでなく家庭用の電力のオフグリッドにも応用可能な計算である。

次回は、EV BOSCOの実車に備え付けられている電気系統について書く。

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