EV三輪車の試乗:感想編

お読み頂き誠にありがとうございます。
EV三輪車(側車付軽二輪)の試乗を終えて駅の片隅にあるパン屋さんで柚子茶を飲んでいたら一通のお知らせが。なんと私の書いた「普段使いできる旅行用の風呂セット」がnoteの「生活術 記事まとめ」という公式マガジンに追加されましたとのこと。
ひよっとしたら、そんな生活術を求めてこの私の記事をお読みになる方もいるかもしれないのでワクワク・ドキドキなのですが…ごめんなさい、数日前に私がnoteを始めたのは、「EV三輪車の話」と「太陽熱の利活用の話」を書こうと思ったからです。どちらも超ニッチでマニアックな話で世間ウケしないだろうから、たまには「それ以外の話」も書いておこう、と。なので今回の私の記事に生活術を期待された方は、本当にごめんなさい。それでも少しお付き合い頂ければ幸いです。

さて、これまで何回かに分けて「EVコンバートした軽トラに乗りたいと思いつつ、そのハードルの高さから何も出来ずにいた私が、側車付軽二輪と呼ばれるカテゴリに属するEV三輪車を購入することに決める」という話を書いている。そして今日(2021年10月27日)、お目当てのEV三輪車「EV BOSCO」の実車を見て乗って実際にオーダーしてきた。
今回はその一部始終を書きたいのだが、手始めに率直な感想から書きたい。

EV BOSCOの見た目の印象

そもそも「EV三輪車を欲しい」「無理ならEVに改造が出来そうな三輪車を欲しい」と、色々なメーカーの色々な車種をネット上で見比べていたので、EV BOSCOが少しノスタルジックでオシャレなEV三輪車であることはわかっていた。
ただ、写真はプロのカメラマンの手にかかれば、いくらでも綺麗に見せられる。実物を見てガッカリなんてこともありうる(お菓子のパッケージに印刷された写真とかは、その典型かもしれないが)。やはり実物を見て、実際に乗ってみてという体験は大切である。

今回、私の購入するEV BOSCOに関して言えば、写真は盛っていない。造りもしっかりしている(意外と頑丈そうだ)。
そして、確かにカワイイのだが、たまたま隣にあったアペ(ベスパカー)よりは大きい。

EV BOSCOの運転席に座ってみた感想

私の身長は167cmと、さほど高くはないが、典型的な日本人の体型のため、かなり座高が高い。そんな私ですら、頭は天井にギリギリ付かない。頭の上に手のひらを乗せてギリギリ付くかどうかという感じである。
なので恐らく、よほどバスケやバレーボールの選手でもない限り、頭が天井にぶつかる心配はないだろう。それでも視線を低くしたい方は、座面のアンコ抜きをしてもらえないか相談したら良いと思う。トライク(バイクとして扱われる三輪車)のように運転席の天井を取り外してしまうのもテだ。

座り心地は全く問題ない。硬すぎず柔らかすぎず、実に快適である。運転席の座面は広いため、私のようにケツデカな人でもドッシリと座ることができる。全くお尻が痛くならない。
私は別に気にならなかったのだが、ガレージ・ボスコのスタッフさんは、私が座った直後に「運転席はもう少し後ろに設置できる」と言う。そんなに窮屈そうに見えたのだろうか…別に膝が前に当たるということもない(脚が短いから当たらないか?)。
ともかく、それを聞いてとっさに私は
「背もたれ、いらないです」
と言った。背もたれがなければそれだけ軽くなって、かねてからの私の念願である「搭載したソーラーパネルで自走するEV車」を実現しやすくなると思ったのだ。

ダウングレード。ひたすら削れるところは削りたい。元々ボスコさんは、そういう具合に削れる限り削る世界に身を置いていたことがあるとのことで、その思いはしっかり共有できている。可能な限り1gでも削れる限り削れば、それだけ1回の充電で走ることのできる走行距離も伸びるし、最高速度も多少は伸びるだろう。
何しろ日本で現在入手可能なEV三輪車は、坂道で時速が8km/hしか出ないという。そんなに弱々しいモーターしか積んでいないという。そんなのでは陸橋を超えるのだって後続車両に迷惑をかけてしまう。他の車とはいえイライラは事故の元だ。

EV BOSCOの運転席回りの収納

普通の自動車だと助手席のところにグローブボックスがある。同じようにEV BOSCOも運転席に座った状態で左前方に鍵のかかる小物入れがある。
いわゆるダッシュボード全体は比較的フラットなので、滑り止めシートなどを敷けば箱ティッシュを置くことも出来そうである。

なお三輪車ということでドアがないので、カーブする際に運転席から物が落下するのは気をつけたほうが良い。基本的に何か箱に入れるか、ロープなどで縛っておくのが良さそうだ。
運転席に座った自分の足元の左側に、今回の試乗に行くのに背負っていたモンベルの13Lのポケッタブルのリュックサックを置いてみた。きちんと乗っかってくれる。リュックサックのショルダーベルトに足を通しておけば脱落の心配もないだろう。もし学生さんなら「通学の足」としてEV BOSCOを使うこともできそうである。

運転席に座った時に、額の前のあたりは余裕がある。
というのも、このEV BOSCOにはサンバイザーがついていないことで、極めて良好な視界を保っている。とは言うものの、しばしば私は高速道路に乗った際の通行券や領収書や、出庫する際にゲートに通さないとならない駐車券のようなものをサンバイザーに挟み込むことがあるので、サンバイザーがないということを素直に喜ぶこともできない。
それで、ちらっと「ここにちょっとした棚を作れそうですね」と言ったところ、ガレージ・ボスコさんは「邪魔だからなくしてもらった」とのこと。そこら辺は好みでつけてもらうこともできるし、ないままにしても良い。「そうですね、軽量化のためにはなくて良いですね」と私は流す。ほんと1gでも軽量化して、1回のフル充電での走行可能距離と走行速度を伸ばしたいのだ。

運転席には当然ながらハンドルがある。と言ってもEV BOSCOの場合、側車付軽二輪というカテゴリのため、二輪よろしく自転車のハンドルのようなハンドルバーがあると言ったほうが正確だろう。乗用車についているような、輪っか状のハンドルはついていない。
そして当然ながら、ハンドルは車体に固定されている。軽自動車のハンドルの下を見たことのある人ならイメージがつきやすいとは思うが、ハンドルの下のあたりには何本かケーブルが出ている。そのケーブル類をカバーする意味合いもあって、ウォールポケットのような布がEV BOSCOにはついている(この色も選ぶことができる)。
このウォールポケットのようなものは、確かにカワイイしおしゃれなのだが、私はこれも取り付けないことにした。代わりにモールシステムを採用するか、適当な間隔で「もやい結び」を作ったロープでも張ろうと思う。繰り返しになるが、1gでも軽量化したいのだ。

ちなみにEV BOSCOは電気の力で走るため、いわゆるギヤは「前進・停止・後退」しかない。オートマ限定免許でも運転することができる。
運転の際は、バイクのように右手首をひねると加速し、その右手首を戻すと減速する。普通の自動車だったら右足を踏み込むとアクセルをふかすことになるが、EV BOSCOの場合は右足を踏み込むとブレーキがかかる。つまり、直進している時は左手を全く使うことなく運転できる。
そのため、もしドリンクホルダーをつけるのであれば、私は左手でアクセスしやすい位置に取り付けようと思う。ただし、これはバックパックに取り付けられるボトルホルダーを先ほどのモールシステムかロープに取り付けることでドリンクホルダーにしようと考えている。単に軽量化が見込めるだけでなく、わざわざ車用のドリンクホルダーとかリュックサック用のドリンクホルダーといった具合にあれこれ買わなくても1個買って使いまわすほうがお財布にも優しいと思う。
なお、軽量化に関しては運転席に座る人の体重を10kgくらい減らすのが手っ取り早いというのは、言われなくてもわかっている。私の場合、バセドウ病のせいで食欲が増えてしまい、バリバリ運動していた学生時代よりも10kgほど体重が増えてしまっているので。。。

EV BOSCOの運転席からの視界

運転席に座った時の視界は悪くない。カウルの付いたバイクよりは断然"フロントガラス感"があるため、走っている最中に虫が目に入るような心配はなさそうだ。
ただし、視界に関して言えば、華奢な感じのするワイパーが気になった。これはゲリラ豪雨に追いつかなそうだ。それとサイドミラーの見づらさが気になった。サイドミラーについて言えば、もっと大きいものが欲しいところだ(私は見た目よりも安全重視だ)。まぁ最悪、運転席の横から顔を出せば余裕で車体の後部の角が見えるから、サイドミラーは"お飾り状態"でも構わないと言えば構わないのだが。あとはルームミラーがないことも気になった。側車付軽二輪にはルームミラーはなくても構わないのだが、やっぱりあったほうが安全だろう

それら気になったことを1個1個伝えて確認してゆく。気になったことは些細なことでも声に出すのが良い。

まずワイパーは、ブレードと呼ばれるゴムの部分だけ大きいものに交換しても、ブレードがフロントガラスのへりにぶつかってしまうため意味がないとのこと。
そのかわり、ワイパーの根元の部分から付け替えることで大きなブレードを取り付け可能にできるかもしれないとのこと。そのようなカスタマイズは今までやったことがないため確実にできるとは言い切れないものの、できるだけ探してみるとのこと。
なるほど、言ってみるものだ…まぁ私としても念のためフロントガラスにはガラコをしっかり塗り込むようにしよう。

次にサイドミラーは「現地の工場にサイドミラーを付けない状態で出荷してもらう」という。
え、サイドミラーがなかったら、バイクも乗用車もアウトだから三輪車だってアウトですよね?!
これまた「そんなことして走れるんですか?」と素直に尋ねる。するとボスコのスタッフさん曰く「現地で穴を開けないで、日本に持ち込んでからサイドミラーの高さを決めて取り付ける」とのこと。納得。

最後のルームミラーについては、EV BOSCOではないもののガソリンで走る三輪車で、ドラレコとバックモニターを付けたものにも乗せてもらった。このドラレコも私が欲しいと思っていたオプションなだけに助かる。

細かいことも声に出してみる

本当は、まだまだ色々と感想はあるのだが、それは次回メカニカルな部分について語る際に折り込みたい。ただ、感想として今日一番の「!」は意外にもオーダーシートを記入していた時のことだった。

このオーダーシートはEV BOSCOの細かい仕様を現地の工場に伝えて「作れますか?」と確認するのに用いられる。オーダーが通れば手付金を払って製造に入るという流れなのだが、車体のボディカラーもこのオーダーシートに書き込む。

屋根にあたる部分は金属ではなく幌である。その色を決める時に(本当は内心「色は性能に関係ないから、おまかせします」と言いたいところなのではあるものの、その気持ちを抑えて)「アイボリーだと汚れが目立ってしまいそうですよね?」と私が確認するのだが、その確認をしながら新たな素朴な疑問が湧き起こった…
「幌は洗車する時、水を掛けて大丈夫ですか?」
この質問にボスコさんは一気に顔が青ざめる。
「EV車は水をかけちゃダメです!」
あ、忘れてた、EVだ…ほんまアホや私。

ともかく、そんな馬鹿を言ってしまうほどEV三輪車であることを忘れるくらい、普通の軽自動車みたいな感覚の乗り物だと私は感じたのだった。

なお、他のEV三輪車もそうかもしれないが、EV BOSCOに関して言えば、洗車はせいぜいかたく絞った雑巾で拭く程度である。

まとめと次回予告

今回はEV BOSCOという三輪車に乗った感想を書いてみた。全体的に、思った以上に乗り心地は良く、EV三輪車であることを忘れるくらい普通の軽自動車みたいな感覚の乗り物だと感じた。
ワイパーのように、いくつか細かいカスタマイズをお願いする際、ボスコさんは誠実だと感じた。都合の良いことばかりは、言わない。
今回はEV車であるにもかかわらず、モーターやバッテリーといった電気回りはほとんど書いていない。メカニック編とでも銘打ってそこらへんのことを次回は書きたいと思ったのだが、なかなかのボリュームになってしまった。そのため、タイヤ周りの話を中心に次回は書きたい。

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