見出し画像

自作の太陽熱調理器3号機に対する考察

毎週金曜日にお送りしている、太陽熱の利活用に関する話も、今回で5週目に突入した。今週は先週紹介した自作の太陽熱調理器3号機(通称「ワンコ3号」)に対する考察をお送りしたい。
今回の考察は、ワンコ3号のさらなる改造のための考察ではあるが、前のモデルであるワンコ2号との比較から話を進めたい。もしワンコ2号のことを読んでいない方は先にそちらを読んでから本稿を読まれることをオススメする。

材料の集めやすさに対する考察

ワンコ2号では、焼きそばの容器に収まるサイズの缶を用いる必要があった。しかし3号ではその制約が取れた代わりにペットボトルに収まるサイズという条件になった。
条件としては3号のほうがゆるい。そのため3号のほうが使える缶の種類が多い。実際、およそ全ての缶コーヒーの缶を3号で用いることができる

材料の集めやすさは汎用性につながる。よって2号よりも3号のほうが、よりお手軽になったと考えられる。

出力に関する考察

ワンコ3号で作ったお湯は、ワンコ2号で作ったお湯に比べて、少々ぬるい。

しかしワンコ2号が250mLであったのに対し、3号は400mLである。
元の水温は20度もないのだが、とりあえず20度と仮定し、2号が80度まで上がったとする。この仮定条件における2号は( 80 - 20 ) ✕ 250 = 15000 cal の出力を得られたことになる。一方3号は75度くらいにしかなっていないため、( 75 - 20 ) ✕ 400 = 22000 cal を得られたことになる。
ここで ( x - 20 ) ✕ 400 = 15000という方程式をたててxについて解くと、3号で作るお湯が57.5度の時に2号と同じだけの出力を得られたことになる。

確かに得られたお湯の温度は低いものの、得られた熱量は3号のほうが上回っていることがわかる。得られた熱量は22000 / 15000 = 1.47ということで、50%近く改善している。

さらなる改良に向けた考察

いくら熱量が上回っているとは言え、実際に使う上では、より熱いお湯を作れるほうが役立つ。熱すぎる分には水でうめて使えば良いし、どうせ時間が経てば冷める。

太陽からの熱それ自体は、コントロールできない。コントロールできるのは、
(1)いかに効率良く太陽熱を集めるか
(2)いかに無駄なく太陽熱を蓄えるか
(3)いかに太陽熱を逃さないか
である。

まず(1)に関しては、私は「そろそろ焼きそば容器から卒業しても良いのかな」と考えている。レジャーシートのような(エマージェンシーシートのような)ものの上に3号の中身だけ置いたほうが、より高温になるかもしれない。
そして(2)については、例えばアルミ缶を五徳のようなものの上に置くことで、アルミ缶の底からも熱を蓄えられるようにすることが考えられる。もちろん、この場合は、アルミ缶の底の部分も黒く塗る必要がある。

最後の(3)に関して、今回はペットボトルを用いた。ペットボトルと缶の間の空気が、装置の外の空気と缶の中身の間で断熱材の役割をしている。それ自体は悪くないのだが、この断熱材としての空気も温められていることに注意されたい。先に述べた(1)や(2)とも関わってくることであるが、本来なら缶の中身だけを温め、保温したいのだが、断熱材役の空気が無駄に温められることで缶の得られる熱が目減りしている可能性がある。
今回は適当に切ったペットボトルを被せただけだった。しかし、このことを思うと、缶の高さに合わせてもう少し低い位置で切ったペットボトルを用いたほうが良いのかもしれない。

まとめと次回予告

自作の太陽熱調理器ワンコ3号は、前のモデルである2号と比較して、得られるお湯の温度それ自体は低いが、全体として得られる熱量は4割ほど高くなっていることがわかった。そして、まだまだ改良の余地があることも確認した。
改良の方針は、いくつか考えられる。その中からいくつかを実際に試すにあたり、次回はちょっとスペシャルな材料を紹介したい。

何もサポートは金銭に限りません。「スキ」をすることやシェアすること、素直なコメントを残してくださることも、立派なサポートです。 それでも金銭的なサポートをされたい方は、どうぞご自由に。