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ダボス・アジェンダ2021 -- Day 3

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターでは、ダボス・アジェンダ(1月25日 - 29日)の会期中、4月6-7日に開催されるグローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット(GTGS)につながる議論をnote発信しています。

Day 2はこちら⇩

■Mobilizing Action on Climate Change【小池都知事登壇】

Time to Act (今こそ、行動を)―― 気候変動や環境政策への具体的な行動を加速化させるセッションに、小池百合子東京都知事がパネリストとして参加しました。中国、韓国、スペイン、スイスを含めた各国からのパネリストがそれぞれの取り組みを紹介しながら、気候変動対策への『行動』を力強く呼びかけました。

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小池都知事は「政府だけでなく、最前線である都市の行動が必要」と述べ、2050年までの二酸化炭素ネットゼロ排出という目標と、市民や企業との団結を求める「Climate Emergency Declaration: TIME TO ACT」というスローガンを披露。「東京グリーンボンド」や「東京版ESGファンド」といったグリーンファイナンス施策を組み合わせたエコフレンドリーな都市としての知見を活かし、「C40都市気候リーダーシップグループ」など世界的な都市連携を通じた行動に意欲を見せました。

■Transforming Food Systems and Land Use【国谷裕子氏モデレーター】

毎年 10 億トンを超える食糧が廃棄される現代。十分な栄養にアクセスできない20億の人々。自然環境保護と対立する農業――パンデミックで課題が顕在化した脆弱な食糧システムをどのように改革するのか。朝日新聞SDGsプロジェクト・エグゼクティブ・ディレクターの国谷裕子氏が、モデレーターとして世界のリーダー達と議論しました。

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オランダのMark Rutte首相は、政府と国連が果たすべき重要な役割に加え、インパクトの拡大には民間セクターの強力な関与が必須であると訴えました。さらに世界経済フォーラムのフード・イノベーション・ハブ構想を紹介し、この取り組みの事務局をオランダに設置することを発表。世界各地のステークホルダーと連携し、食糧システムの改革に取り組むことを表明しました。

中国最大の乳製品メーカー、China Mengniu Dairy Co.の最高経営責任者である Jeffrey Lu Minfang 氏は、需要と供給を繋ぐデータプラットフォームによって、サプライチェーンを可視化し、廃棄物削減やCo2削減を可能にする取り組みを共有。中国国内の90%をカバーする同社ならではのインパクトに自信を示しました。

政治・経済な課題が優先されるなか、これまであまり注目されてこなかった食糧システムの改革。2021年にはバイオダイバーシティ(生物的多様性)COP15、続いて国連食糧システムサミットが開催される予定であり、更なる議論と行動が期待されます。

■Shaping a New Ocean Economy【JICA北岡伸一理事長登壇】

気候変動で消滅の危機にある海洋国家に、パンデミックは追い討ちをかけています。ヘルスケアへの限定されたアクセス、観光停止による経済への壊滅的な打撃など、ブルーエコノミーと呼ばれる海洋経済の回復と保全に取り組むこのセッションでは、JICAの北岡伸一理事長が登壇しました。

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長年に渡って海洋国家を支援してきた北岡理事長は、その直面する危機をPeople、Prosperity、Planetの3つで表現。人間(People)へ影響として、分散環境、観光業への過度な依存、低い食糧自給率、限定された医療・教育アクセスといったハンディキャップをあげました。経済資源(Prosperity)では陸地面積の約2,000倍ある貴重な海洋資産を有しているものの、違法なフィッシングによる乱獲がサステイナビリティを大きく損ねている状況を指摘。環境領域(Planet)では深刻な海洋汚染にも言及しました。さらには太平洋地域の平和への脅威を踏まえた国際協調体制の必要性を強く訴えました。

第3日目を終えて

ダボス・アジェンダが取り上げるさまざまな課題への道筋として議論されているのが「連携」であり、具体的な手段に「テクノロジー」が挙げられています。ただし「連携」は政治的・社会的な分断を乗り越える必要があり、「テクノロジー」はその活用だけでなく力の統御(Harness)についても行動の選択が必要です。第4日目となる明日のセッションの大テーマは、いよいよ「テクノロジー」です。


世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター
ティルグナー順子
大原有貴(インターン)


Day 4(Part I)はこちら⇩


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