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【開催報告】デジタル化する国家と社会を展望する

2021年11月12日@オンライン
登壇者(敬称略)

石倉 洋子(デジタル庁 デジタル監)
向山 淳(アジア・パシフィック・イニシアティブ 主席研究員)       山室 芳剛(世界経済フォーラム第四次産業日本センター長)

セールスフォース・ドットコム社主催の「Salesforce Success Anywhere World Tour」にて、共同企画セッション「ダイアログ:デジタル化する国家と社会を展望する」を開催しました。デジタル庁の石倉デジタル監を迎え、日本のデジタル化について論じた内容の一部をご紹介します。

Salesforce Success Anywhere World Tourおよびオンデマンド配信はこちら。↓

デジタル化の「最後のチャンス」

「。新成長戦略」の鍵はDXにあると言われる一方で、世界ITランキングは27位の日本。デジタル人材の不足に加え、組織やマインドセットのありかたなど多くの課題を抱えています。こうした現状の打破を期待されているのが、今年9月に新設されデジタル庁です。同庁の石倉デジタル監は、今が「日本を根底から変える最後のチャンス」であると強調しました。

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行政のデジタル化における課題と解決策のひとつとして、省庁や地方自治体ごとの現状把握と、共通フォームによるデータ標準化が掲げられました。そして国内の官民の連携に留まらず、知識やスキルを持つ海外人材を積極的に活用していく重要性が語られました。

テクノロジーがトラストを担保する時代

サイバーセキュリティの分野でゼロトラストアーキテクチャ(あらゆるものを信頼しない設計)が重要視されるように、デジタル時代におけるトラスト(信頼)のありかたが世界的に議論されています。世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターの山室センター長は、新たなトラストを模索するこの過渡期においてその解決の鍵はテクノロジーにあると指摘。アプリを介在したタクシー利用が安心につながっていたという東南アジア駐在時代の経験を、人(運転手)ではなくテクノロジー(アプリケーション)によって信頼が獲得された事例として挙げました。

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さらに、信頼の構築に必要な3つのチェーン「Trust・Trustworthiness・Governance」についても紹介しました。詳細は、日立製作所と当センターにて共同執筆した以下の白書に記載されています。↓

「完璧の呪縛」

「完璧」を目指すがゆえに実行への準備に時間をかける日本の習慣を「完璧の呪縛」と呼ぶ石倉デジタル監は、随時アップデートできるというデジタル時代には、改善することを前提にした機敏な実行とその継続というマインドセットの切り替えが非常に大切であることを強調しました。

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完璧の呪縛からの解放は、国際的にはアジャイル・ガバナンスというキーワードで議論されています。山室センター長は「全ての法案がアジャイルである」ことを義務付ける法律がデンマークなどで採択されていることを紹介し、日本においても行政部門におけるアジャイルな動きを支援するためにGovTechデジタル法制局などを政府と当センターが連携して進めていることを明かしました。

【ご参考】GOVERNANCE INNOVATION Ver.2 アジャイル・ガバナンスのデザインと実装に向けて:経済産業省

終わりに

日本がDXにおいて周回遅れであることは、その道の専門家でなくとも多くの国民が認知しているのではないでしょうか。モデレーターを務めた向山研究員が随所で強調したように、デジタル庁の設立は日本社会が抱えるさまざまな呪縛を打破するチャンスであり、なかでも官民連携や国際連携といった新たな潮流には目が離せません。

今回の共同企画セッションは、デジタル庁発足前に平井大臣(当時)をデジタルガバナンスラボにお招きした際に発言のあった当センターとの連携が発端となりました。こちらもあわせてご一読いただければ幸いです。

執筆:
世界経済フォーラム第四次産業日本センター
佐藤良磨(インターン)




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