大人のための文章教室

大人のための文章教室 

清水義範 講談社現代新書

文章を書くのがとにかく遅く、適当に書くと支離滅裂になりがちなので、この手の文章書き方本のようなもの最近良く読んでいる。

この人の本は読んだことはなかったのだが、これは面白くて役に立ちそうだと感じた。

最初に伝わる文章を書くには、ワープロではなくて手書きにすべしとか書いてあるので、読むのをやめようと思ったが最後まで読んでよかった。

一文を短くするとか、接続詞の使い方とか、「です。ます調」「である調」は統一するとか、基本的なことだけでなく、ちょっとした裏技が追加されていて、それが面白く「なるほど」と思うのだ。

短文ばかりでは、ぶつ切りの印象が強く、くどい印象になってしまうので、短文にときおり長文を混ぜてリズムをだすとか、読点「、」をうってから後でどう文を締めるか考えているようだと書き手の迷いが表れてしまうとかは、ドキッとさせられた。

文章は伝えたいことがはっきりと伝わるように書くのが第一で、書き手が賢いと伝わるように、つまり技工をこらして名文のように見せる必要はない。

ということが、実に多くのページを割いて書いてあった。文章を書く以上は後半のスケベ心とは無縁ではいられないこと、また、伝えたいことが伝わる文章を書くのは本当は簡単ではなく、それなりに技術がいるのだ、ということが実に丁寧にかいてあったのには納得させられた。

その後は、手紙、実用文(報告書など)、紀行文、随筆と行ったケーススタディが続いている。ちょっとした裏技などが書いてあるのは、得をした気分になった。

何か物をもらってお礼状を書く場合、もらって嬉しかったのか、そうではなかったのかで内容がガラッと変わってくるとか、報告書は提出する相手の意とをくんで書くべきだとか、書く機会があったら読み返したいと思った。

随筆の代表の「徒然草」「枕草子」を

徒然草・・・私は利口だからみんな見習え

枕草子・・・私は感性が優れていてセンスがいいのよ

といったことが書いてあると言っているのは痛快だった。

最後にトレーニング方法が書いてあって、要はたくさん読んでたくさん書くことなのだが、ただ書いただけでは意味がなく、読んでもらわねばならないということだった。

そして、若い人にはお互いに批判しあえる仲間を、年配者にはホメ合える仲間を作るようアドバイスしている。

というわけで、ぜひともホメてくれる相手が欲しいものである。


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