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【Audible】川上未映子『マリーの愛の証明』朗読・青柳いづみ

Audibleを使い始めたので、ちゃんと聴いたものの感想などちらほら書いていこうと思います。

今回はこちら。

川上未映子『マリーの愛の証明』
朗読・青柳いづみ
時間:40分ほど

Audibleは月額制で、毎月一冊無料になるコインが配布され、他は購入、という感じなのだけれど、
無料で楽しめるポッドキャストというジャンルもあり、
これは「短編文学チャンネル」という中に収録されていた。

私は著作権切れの文豪以外は全く疎いので、
こういう形で現代の作家さんの作品に触れられるのは嬉しい。

マリーという女の子が何か特殊な寮に入っていて(不遇な子たちが集まっている様子)そこで元彼女に
「私たちに愛はあったの?」
と問われてムニャムニャ考えるお話。

見えない物があるのかないのか、という問いから、
一度経験した事は、今は持っていなくてもどこかにある、という所にたどり着くのが面白かった。
愛について語られるその言葉は、物語冒頭ではマリーの辛い記憶の場でも同じように語られる。
「思い出すということは、それがあるのと同じ」

淡い色彩な雰囲気の物語だけれど、かなり重たい物が底に流れている感じで味わい深い。
そして割と分かりあえない人々の話のようで気に入った。マリーが熱弁を振るうのを途中から飽きて聞いている元彼女だったり、かと思えば物語そのものがマリーに飽きたように視点を変えていったり。
終わり際の、どんどんズームアウトしていくような感覚が印象に残る。

朗読は青柳いづみさん。
淡々と読み続ける系の朗読で、まるで癖がなく素直に聴ける。
人物演じ分け、みたいな事もまるで大袈裟でなく淡々と。だが少しの間や微妙な気持ちの変化で、誰の台詞かは分かりやすい。
なるほど、こういう攻め方もあるのか、と。
作品の雰囲気によくマッチした読みで印象的でした。

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