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怪しの話

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You Tubeのの星野しづくさんのチャンネル「不思議の館」と、ツイキャス(You Tube)の「怖い図書館」に投稿した、不思議な話や怖い話をほぼ週1回のペースで掲載しています。
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2024年6月の記事一覧

これはYさんという50代の男性から聞いたお話です。 Yさんが40代だったある年の6月のことです。 その日、朝のうちはよく晴れていて、天気予報でも雨の確率が低かったので、Yさんは傘を持たずに出勤しました。 しかし、午後から雲行きが怪しくなりはじめ、彼が仕事を終えて自宅の最寄り駅に着いた午後9時頃には、雨は本降りになっていました。 駅から自宅までは歩いて15分ほど。 タクシーのりばを見ると、数人の列ができていましたが、タクシーは一台もいない状況でした。 列に並ぶか、濡れる

今回は昔、大阪のとあるバーで働いているK子さんという女性から聞いたお話です。 K子さんは高校卒業後、地元の会社に就職しましたが、肌に合わず、2年ほどで退職して大阪に出てきたのだそうです。 たいしてお金もなく、かといって別に新しい就職先の宛もなかったK子さんは、とりあえずの働き口として水商売を選んだのでした。 彼女は店にほど近い安アパートの一室を借りて、そこで暮らし始めました。 各階3部屋ずつの2階建てアパートで、K子さんは2階奥の角部屋でした。 古いアパートでしたが間取

二階の窓

今回は数年前に、とある蕎麦屋でノゾミさんという40代の女性から聞いたお話です。 ノゾミさんが大学時代のことです。 彼女は、住宅街の一角にある学生マンションに住んでいました。 周辺は古い一戸建ての住宅が多く、狭い道路と用水路が縦横に交差する、昭和の面影が残る街並みでした。 マンションを出て、いくつか角を曲がると、歩いて10分とかからずにコンビニやスーパーのある大通りに出られます。 そんな大通りへの道の途中に、T字路が一箇所ありました。 そのT字路を右へ曲がって少し行くと、最