勝手に動画分析 #34「練られた構図に動きが加わると、すごくいい」
こんにちは、BYNDのNATUです。
BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。
noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。
今回は馴染みあるロケーションをかっこよく仕上げたMVを。得も言われぬエモ。
Sweet William - See, Saw feat. GAGLE (Official Music Video)
(via Youtube|Sweet William)
Director/DoP/Editor: Yudai Maruyama
Bcam Operator: Haruta
Lighting Support/Pyrotechnician: Ippei “Troy” Fukuda
Stylist: Daisuke Deguchi
Stylist assistant: Anji Fujimoto
Colorist: fmlik
Title Design: Takahiro Yasuda
Producer: Shin Ohira
Production Manager: Ippei “Troy” Fukuda
Production: CEKAI
今回の5項目チャートはこんな感じです。
今回のエクストラ項目は「構図眼」。
そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。
[LOOK:★★★★★]
なんだろう、このLOOKなんとも心地よい。明暗の演出は海外作品テイストのようでいて、全体のトーンとしては日本作品らしく淡さがあったり、すごく引き込まれます。ティール&オレンジの色調を立たせつつクドすぎない甘めのグレーディングもうまいなあと感じました。個人的に最近の日本のクリエイターの色作りには注目していて、海外のハイレベルな調整を取り込みながらもジャパンカラーに変化させて行くような勢いを感じています。
[音:★★★]
MVということでサウンドデザイン面はありませんがチルな楽曲の空気感をちゃんと映像としても引き継いでいてしっかりマッチしています。
[編集:★★★★]
短尺とゆったりとした尺を織り交ぜた不思議なテンポ感で進むカット編集が独特な世界観を生み出しています。MVらしく音にハメていたり敢えてハズしていたりしながら、急に長めに回す叙情的でナラティブなカットを差し込んで視聴者を世界にグイッと引き込んできます。カットごとの「物語性」の濃度をとても上手く使っていて、物語性の薄いインサートを細かく切り替えながら想像力を掻き立てるように進む編集もまた日本クリエイターらしいというか、癖になる良さがあります。ほんの少しのさじ加減でニュアンスが変わってくる展開の運び方は監督撮影編集を一挙に手掛ける作り方だからこそな気もしますね。見事。
[構成:★★★]
主人公の足取りを追うという構成自体はシンプルなものの、光も巧みに使いながら作品としてしっかり読後感に浸れるうまい構成。始まり・中間・締めと、キラーショットになる画を抜かりなく配置しているのも地味ながら効いています。
[構図眼:★★★★★★]
たとえ身近な場所だとしても構図をしっかり練ることで力のある画を作っていけるんだなと改めて思わされてしまったこの作品。練られた構図のなかで動きが展開することにより魅力が跳ね上がるのは動画だからこそ。この作品からはその動画の力をガツンと見させられました。感情を揺さぶる強い構図を見つけ出す眼、この作品からは抜群にそれを感じます。
さて、以上いかがでしたでしょうか。
動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。
それではまた次回。NATUでした。
(Writer:スタッフ NATU)
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