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洗脳

『〇〇、お母さんのこと好き?』
『〇〇はお母さんのこと裏切らないよね』

「うん、大好きだよ。お母さんの味方だよ」

お母さんの期待通りの言葉

洗脳の始まりだった。

大好きなお母さんへのプレゼント。
 目をくり抜かれ床に落ちてたマスコット
 ゴミ箱の中にあった手紙

お母さんは毎晩、寝ている私を見にくる。
ベッドに入って2時間後、電気がつく。
私はうっすら目を開けた。
お母さんがベッドの真横に立っていた。
私を見下ろしていた。
そのまま、ずっと。ずっと見下ろしていた。

時間が経つと、横の机の方を見た。
机上にあった日記を手に取った。
それを読んで、机に投げて、また私を見る。
しばらく私をにらんで、
そのまま下に降りていく。
毎日、毎日。

20時過ぎに帰ってくる。
リビングで皿を投げている。
その後すぐ私の部屋に来る。
私の胸ぐらを掴んでベッドから引きずり下ろす。

「お前は家族が不幸になればいいと思ってる」
「お前がいるから家族は幸せになれない」
「お前はいらない」
「家族じゃない」
毎日、毎日。
2、3時間怒鳴って暴力を振ったあと
お母さんは下に降りていく。


朝は笑顔で私を見る
私はあいさつをしようとして口をパクパクする
声が出ないから今日も殴られる
その繰り返しの日々

物音を立ててはいけない
寝ているところを起こしてはいけない
話しかけてはいけない
裏切ってはいけない
私は幸せになってはいけない

お母さんが決めた
お母さんに決めさせられた
私は幸せになれない

全部、洗脳だった

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