どうやっても嫌われちゃう男 ~ 啾々吟
最初はいいのに、だんだんと人から距離を置かれてしまう人。
距離を置かれるだけならまだしも、疎まれてしまう人。
入学や就職やサークルなど、人生の節目でやってくる人間関係の仕切り直し。
スタートはみな同じなのに、またしても起こる人との距離。
なぜかいつもいつもそうなってしまう...
なんかわかる自分。
とある小説を読んだ時、
自分の進む未来が言い当てられたような、見えてしまったような気がした事があった。
あまりに辛い内容だったのでそっと流してはみたものの、
何かが上手くいかなかった時に、折に触れて思い出すのはあの小説。
もう一度読みたくて、検索したらたどり着けた。
松本清張
短編「啾々吟(しゅうしゅうぎん)」
そういえば、結婚相談所で婚活をしていた時、
プロフィール欄に
お相手の希望:「小説を読まない人」という事を書いている人がいてびっくりした事があった。
下らないもの(小説)に時間を割いている人はお断りします(大意)
というような理由だったと記憶している。
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同年同日に産まれた三人の男の話。
江戸の終わりの話で、3人の身分は異なっており、
殿の子息 > 家来の子息 > 軽輩の子息(どうしても距離を置かれる男)
真ん中の男の目を通して語られる一番身分の低い男の性質。
身分の低い男は、真ん中の男よりも頭も良く器用なため、
初めは重用されるも、いつの間にかいろいろな人に距離を取られしまう。
「なぜそのような距離ができるのか」という描写はなく、
真ん中の男から見た彼の性質のみが語られる。
「何か彼に人好きのせぬものがあるのではなかろうか」
「彼は理由もなく、他人に見放されるという、そういう宿命的な性格を持っているのではなかろうかとさえ疑った」
「ついに誰からも一顧もせられなかった」
「他人に終始容れられない宿命だった」
理由もなく見放されるという事はないし、「宿命」という言葉で片付けるのは違和感もある。
これに共感するという事は、
「宿命として受け入れた諦め切った人生」を示しそうだけど、
改めて読んでみると、
さすがにもう少し足掻こうよ と思えた自分がいた。
距離を置かれる男のよくない部分も見えたので、
初めて読んだ時と違った解釈が出来てホッとした。
諦めからは脱しているようだ。
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