何を目指してミックスするのか

概要

音について、高い音、低い音、ピッチを合わせるくらいのことしか知らない。
しかし、色において、RGBや明度、彩度があるように、音についても多面的なパラメータがあるはずで、紫が赤と青を混ぜて作られるように、例えば俗にケロケロ音と呼ばれる音など、音にもレパートリーがあり、それぞれの作り方があるのではないかと考えたので、音を制御するためのパラメータや一般的に用いられる音のパターンについて調べて理解を深めたい。

良い音とは

良い音とは - shure

  • 気になった言葉

    • 「十分な周波数レンジとフラットレスポンスが必要」

      • 周波数レンジ

        • 人が認識できる周波数の範囲は、20Hz~20KHzまで

        • 例えば、トランペットでドの音を鳴らしても、単にその周波数の音がなるわけではなく様々な周波数帯で大小の音が組み合わさって音になる。

        • スピーカーによって、周波数ごとの音量(周波数特性)が違う

          • スピーカーの再生周波数帯域が狭いと、原音を再現できない→悪い音になる

        • イコライザを使うことで、信号段階で周波数ごとの音量を調整できるのでスピーカーに合わせてイコライザを使うとよい

        • 音量を上げると一般的に中音(ボーカルなど)に比較して低音(ドラムやベース)が聞き取りやすくなる。周波数が一様に音量が上がるわけではない。

      • フラットレスポンス

        • マイクが、録音対象の楽器の周波数レンジ全体において、線形にサンプリング可能であること

        • 歌を録音する場合には、ボーカルの周波数帯でフラットなマイクを用いることとフラットな特性が得られる環境であることが良い

          • ピンクノイズと呼ばれる周波数帯に渡って一様な音量レベルのサウンドを流し、サンプリングすることで入力機器の周波数特性が得られる。

            • フラットな入力機器でピンクノイズを流したスピーカーの音をサンプリングすることでスピーカーの周波数特性が得られる。

    • 「「信号」は聞く人の耳におけるノイズおよび反射音レベルよりも少なくとも 20 デシベル大きくなければなりません。」

      • S/N比

    • 「反響音のレベルが高いと、聴衆は 1 つの音が停止した箇所と他の音が開始した箇所を区別できないので、音の明瞭度に影響します。反響音のレベルが著しく低いと、ライブ感がなくなり無響室になります。」

      • 直接音と反射音の比率(直接音対反射音比)

      • ライブ or デット

    • 潜在音響レベル(PAG-Potential Acoustic Gain)

理解を言語化してみる

いい音には、定量的な部分(音量など)と定性的な部分(好みなど)があり、ここでは主に定量的な部分について考える。
また、デジタル音源を再生しスピーカーを介して聞く場合の良い音に関して考える。
いい音に対する、悪い音としては、①原音(実際に演奏した音)と乖離が大きい、②聞き取りづらいというものが挙げられる。
①の要因と対策として、
原音に対してスピーカーの再生周波数レンジが十分でなく音を再現できない場合があり、スピーカーを変えることが対策になる。
スピーカーの周波数特性によって原音の周波数特性が再現できない場合があり、スピーカーに合わせてイコライザを利用することが対策になる。
セルフチェックの方法
②の要因と対策として、
音源の信号レベルが小さすぎる場合、アンプやスピーカーの発生するノイズと混ざって聞き取りづらくなる場合があり、音源の信号レベルを大きくすることでS/N比を改善できる。
反響音のレベルが高いと、聴衆は 1 つの音が停止した箇所と他の音が開始した箇所を区別できない場合があり、反響音のレベルを下げる、時間を短くすることで改善できる。下げすぎるとライブ感がなくなるため、適当なレベルに設定する必要がある。

ケロケロ声について

音程補正ソフトを極端にかけることで周波数特性が不自然にフラットになり、ケロケロ声になると言われている。
よい声やボーカルエフェクトのバリエーションではない。

よいボーカルとは(ピッチが合ってないとなんで悪い音になる?)

基本的には

  • ピッチが合うこと

  • リズムが合うこと

  • 表現力があること

「ピッチが合う」とは

https://www.otonoblog.com/entry/music/logic/majorminor4

メロディには「調性」という音のセット(例: ト長調など)があり、基本的にはそのセット内の音を使います。(カラオケでキーを変えるというのは、この調性を変えている)
発声した音の周波数が、このセットの前後の音に対しての間隔がずれることをピッチ(間隔)がずれると呼んでいて、その場合に聞き手に違和感を与えるため、ピッチが合っていないのは悪い。

「表現力がある」とは

歌い方で感情を表現し、曲の歌詞などに合わせて歌い分けること。
(楽器であれば、演奏技法をシチュエーションや指示に合わせて正しく選択、組み合わせて使用できること)
例えば、スタッカートをかけることで軽快な印象を与え、喜んでいるような表現ができる。

よいボーカルエフェクトとは(曲調に合わせた声とは)

イコライザ

前述の通り、フラットレスポンスの得られる環境で録音されることが望ましいが、多くのボーカル音源の周波数特性はフラットではないため、違和感のある部分をイコライザーで補正することができる。

コンプレッサー/リミッター

ボーカルはあらゆる楽器の中でもダイナミクスの差がもっとも大きいため、そのままで楽器のオケに乗せると、聞こえるところと聞こえないところの差が甚だしく、聞き取りづらいものになる。
音量の大きいところを圧縮することで、上部に余白が埋まれ、全体の音量を底上げできる。

リバーブ/ディレイ

リバーブは残響音、ディレイはやまびこ音を再現する。
反響音を調整し、音にライブ感をつける。
前述の通り、レベルを上げすぎると聞き取りづらい音になる。
オケの反響感とあわせることでオケとボーカルをなじませることができる。

ディエッサー

擦過音を低減するフィルタ。

ピッチ補正

ピッチを調性にあわせる。

結論

録音後のミキシングによって、音源の忠実度や聞き取りやすさをあげることで、定量的ないい音にすることができることがわかった。
また、良い音、悪い音に関する理解も深まった。
しかし、「曲調にあった歌」「歌唱力が高い」のような部分に関しては、歌い手の表現力に委ねられるため、ミキシングによって歌唱力を上げることは難しい。

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