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レタッチで雨降りの写真を作る

季節がら、note でもアジサイの花の写真を多く見かけるようになってきました。気候の異なる海外に住んでいても(いや、住んでいるから、かな)、雨の中でしっとりと咲くアジサイを見ると、日本の四季の情緒を感じます。
でも、雨って思うように写真に写らないんですよね。

お手本は、どしゃ降りの雨

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これは昨日アップした写真ですが、背景に落ちてくる雨粒が白いラインになって写り込んでいます。これはレタッチじゃなく、ホントに降ってます。写真で見ると大した雨には見えないけど、実際にはザァーっと音がしてアスファルトの上に水煙が立つ程のどしゃ降りでした。バルコニーの植物を屋根の下で撮ってるからいいものの、とてもカメラを持って外に出る気にはなりません。でも、そのぐらいの雨じゃないと写らない。しとしと降る小雨ぐらいでは写らない。写ったとしても、ホコリや糸くずと間違えそうな短くて細ーいラインが、せいぜいひとつかふたつだったりして、あんまり雨降りって感じがしません。
そこで、思うように写らない雨はレタッチで入れちゃおう、という話です。

元になる写真を用意

まずは、雨を降らせたい写真を選びます。私は今回、このカタツムリの写真を使ってみます(ピンがイマイチですが、まあ雨が似合いそうではあるので)。

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もし新たに撮り下ろすなら、水滴がついていたり濡れた質感があったりする被写体を選ぶと、リアルな感じになります。陽が射してる分には、ぜんぜんOKです。お天気雨ってのもありますからね。あと、画面の半分ぐらいは遠景をボカすなどしてスッキリさせた方がいいです。背景がゴチャゴチャしていると、せっかく雨のラインを入れても目立ちません。

実際の手順

さて、では雨を降らせていきます。
ちなみにレタッチソフトは Photoshop を使っていますが、フリーソフトのGIMPでも(メニューやツールの名称は違うかもですが)同様の操作ができると思います。たぶん。試してないけど。また、オリジナル画像のコントラスト・色調補正などは、あらかじめご自分の好みで済ませておいてくださいね。ここでは純粋に雨を降らせる手順のみの紹介です。
オリジナル画像を Photoshop に取り込んだら、新規レイヤーを作成します。このレイヤーに、エンピツツールを使って雨のラインを描きます。色は白(♯ffffff)で、太さは画像サイズによりますが、作例では800×1200ピクセルの画像サイズに対して、線の太さは8ピクセルです。

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これは粒の大きい雨なので、線はやや長めに描きます。マウスで引っ張らずに、起点をクリックしてからシフトキーを押しながら終点をクリックして、きれいな直線にしましょう。2~3本で充分です。完全に平行にする必要はありません。平行っぽいけどよく見ると角度が違う…というぐらいが自然です。
線が描けたら、レイヤーの描画モードをオーバーレイに変更します。

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真っ白けだったラインが、背景を透かした光の線に変わります。これだけでも透明なものが移動した軌跡っぽいですが、あまりにクッキリしすぎていて、いかにも描きましたって感じです。
そこで次に、フィルターからぼかし→ぼかし(ガウス)を選んで、レイヤー全体にかけます。ぼかしの半径は8.0ぐらい(かなり強め)を目安に、好みで調整してください。

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これでずいぶん自然な感じになりましたよね。いちばん上の「どしゃ降りの時に撮ったリアル雨」に、ちょっと近づきました。ちなみに、背景が明るい部分の方が線が見えやすいのが分かると思います。もし背景が明るくて線がハッキリしすぎると感じたら、レイヤーの不透明度を下げてみてください。
ひとつのレイヤーに関しての操作は以上です。
この後は、また別の新規レイヤーを作って、太さの違う線をエンピツツールで描き、描画モードの変更→ぼかし→レイヤーの不透明度の調節という操作を繰り返します。

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これは新たに重ねたレイヤーに、さっきより細い線(幅4ピクセル)を入れたところ。この後の操作は上と同じなので細かく書きませんが、基本的に「太い線ほど長く・本数は少なく・ぼかしは強め」、「細い線ほど短く・本数はやや増し・ぼかしは弱め」という方向で調整します。新しいレイヤーを作るごとに線を徐々に細くしながら、3~4枚重ねていくと、こうなります。

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どうでしょう?
あまり違和感なく、雨が降ってる感じになったと思いませんか?
この作例では、いちばん細い線は幅1ピクセルです。このぐらい細くなると、描画モードは通常のまま不透明度を下げるだけでもいいかもです。ぼかし(ガウス)は半径0.8ぐらいの微々たるものですが、それでもきちんとかけた方がいいようです。

ナチュラルに仕上げるコツは、
・ 面倒がらずに複数レイヤーを使って線の太さや長さを変えること
・ 調子にのって線の本数を増やし過ぎないこと
ぐらいでしょうか。ハッキリ言って、作業は簡単です。

レイヤー操作のできるレタッチソフトをお持ちでしたら、ぜひ雨を降らせて遊んでみてください。