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渋谷系とインターネット

インターネットで渋谷系が盛り上がったって話を『教科書~』やその他で何度かしてるんですけど、第三者からすると理解が難しいようです。その話を聞いた人の反応は「趣味があう人と話せたら盛り上がるよね」という感じかと思います。ちょっと違うんですね。ここではいつもより若干細かく説明しましょう。

渋谷系というのはリスナーの文化です。実際のところ、ミュージシャンが主導したのではありません。送り手と受け手を分けた場合、受け手が主導したという意味です。送り手側の多くが否定的に渋谷系を捉えたのは、そこに自分たちが主導でない何かを読み取ったからでしょう。まあ、ジャンル名なんてだいたいそうなんですけども。音楽家は音楽をやってるだけなのに、そこに別の意図や括りを見られて居心地が悪い、というのはよくある話だと思います。もちろんリスナー型のミュージシャンが先導したという言い方はできますね。

で、渋谷系というのはだいたい1993年~1996年頃に言われたものです。その時期の日本で何があったかというと、インターネットの普及の開始時期なんですね。1993年に商用利用が解禁され、1994年に首相官邸ホームページができ、1995年にインターネットが流行語になり、1996年にヤフージャパンができました。渋谷系の流行っていた時期と、日本でのインターネットの盛り上がりは、同じ時期なんです。それゆえに、初期のインターネットで若者が交わしていた話題に「渋谷系」もあったわけです。

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