見出し画像

アンダーグラウンド考古学(僕らはみんな厨房だった)

アンダーグラウンドというものがインターネットにも昔あった。それは一般にはハッククラック(ハッキング/クラッキング)が主流で、他にもコンピュータ・ウイルスの情報や、違法なファイルのやり取りもその中に含まれる。しかしアングラの本体はその精神性にあり、本道の裏側や横道に隠れた場所にこそ何かがあるという、別視点の発見の試みだった。今のインターネットにその視点はあるだろうか。誰かにとって安全で、誰かにとって健全になる前の、あやしく危ないインターネットをたどる。

UG(アングラ)の王道は「exploit」「overflow」「サーバ侵入」をはじめとするハッククラック方面だが、日本では他にも「WAREZ」「Proxy」「掲示板荒らし」の三つが大きなジャンルだった。この三つはどれも初心者が導入しやすいのが特徴で、本来ハッカーを目指すなら知っていて当然ともいえるUNIX・ネットワーク・マシン語などの知識を持っていなくても、とりあえず問題ないのである。夏休みに海外の厨房はウイルス作りに熱中するが、日本の厨房はWAREZを集め掲示板を荒らすのが毎年恒例の行事だった。
こうした判りやすいUGに触れているうちに、もっと上を目指してプログラミングの勉強をしたり、UNIXを導入したり、システム管理(エンジニア)関連の試験を受けるのが常道である。UGはコンピュータに対する興味の入り口なのだ。ここでは別項を用意した「WAREZ」を除く、歴史の大まかな流れを解説したい。なおUGの中でも異色な「テイストレス」についても最後に触れる。

ここから先は

20,669字 / 8画像

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?