『レトロマニア』の渋谷系の話だけ読む
「ポストロック」というタームを生み出した音楽批評家、サイモン・レイノルズが2011年に出した『Retromania』という本があります。海外では先にハードカバー版が出て、その数年後に普及版のペーパーバック版が出る、という順番で出版されまして、ワタシは2012年に出たペーパーバックのほうを持ってます。
なぜこの本を持ってるかというと、2010年に翻訳が出た『ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984』という本があまりに名著だった影響で、サイモン・レイノルズという著者を少し気にしていた時期だったんですね。それで新刊が出たんだなーとは一応認識していて、でも買うほどではなかったんですが、しばらくしてからたまたま出版社のサイトだったかレビューサイトだったかを見た時に、渋谷系に言及してるらしいことがわかったんですよ。何の本なのかはよくわからんけどとりあえず資料として買っておくか、という流れでした。
結局、渋谷系のところをざっと読んだだけで、この本全体が何を言ってる本だったのか知らないまま時は流れます。その後、Vaporwaveのzineを作っていた2017年に、Vaporwaveという単語が登場する以前に存在した、過去の大衆文化を参照し想起させるノスタルジア的音楽のキーワード「hypnagogic pop」を調べてたら、どうもアメリカでは「hypnagogic pop」で、イギリスではその前から「hauntology」という呼び名があったようだ、とわかってきました。イギリスのほうの命名者はサイモン・レイノルズとマーク・フィッシャー(もちろん『資本主義リアリズム』の)。
んで、サイモン・レイノルズの『Retromania』に、そういったVaporwaveに到るような、過去の大衆文化を参照する音楽の話が載っているようだと、徐々に認識してきます。あ、だから渋谷系の話が載ってたのか、と……。
振り返りはここまでにして、ではこの本の渋谷系の項目は何が書いてあったのか?を久々に再読したので、とりあえず読書メモを残しておきます。気になったらみなさんも読みましょう!
ここから先は
ばるぼらさんの全記事アーカイヴ
2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?